4月10日、2万円の大台を突破した。2000年4月以来15年ぶりとなる。取引直後から買い注文が増え、午前9時7分に前日比63円73銭高の2万0001円45銭と一時的に2万台を回復した。

最近の日経平均株価の動向について個人投資家の間では様々な見方が出ている。日経平均は1月中旬の安値から約2か月の間でほぼ3000円上昇し、昨年10月中旬の安値からは約5か月で5000円以上も上昇した。

こうした値動きに対して、一部に「バブルではないか」と警戒する向きがある。その一方で、「まだまだバブルといえるレベルではない」という見方もある。

ある銀行系アナリストによると、最近の株式市場全体のPER (Price Earnings Ratio=株価収益率)は17倍程度である中で、バブル期にはPERは70倍程度もあったため、これを比べると、現状はまだバブルではないと説明している。

バブルの頃は、いわゆる「土地バブル」であったため、たとえ赤字会社であっても、土地を持ってさえすればどんどん株価が上がるような時代だった。今と比べるととても想像できないような状況だ。

株価の上昇を分析的にみてみると、これまで日本銀行が黒田東彦総裁の打ち出した「量的質的緩和」でこの2年間、コンスタントにリスク資産を買い上げてきていることや、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が1~2月にかけて8000億円以上も株式を買い、株価を下支えしていることが背景にある。

こうした状況に加えて、外国人投資家が優良銘柄に積極的に買いを入れることで、一段の上昇を狙うという構図になっている。一部の個人投資家が感じているように、株価が今後大きく上昇することに対する期待感が市場に広がっているのは確かである。

既にメディアで報道されているように、多くの企業が2014年度に好業績を記録する見通しで、春闘も主な大企業の間で本格的な賃上げが2年連続で実施されることになり、しかもその水準は去年を上回るところが目立った。

こうした市場環境から、投資家の間に「バブルではないか」という高値警戒感が出てもおかしくない。

ただ、足元の景気状況はさほど良くはない。家計消費は2月まで11か月連続で落ち込んでいるほか、4月1日に発表された日銀の3月短観の内容は振るわず、先行きについて大企業、中小企業とも悪化を見込んだ。企業が設備投資に依然として慎重な姿勢を崩していない点も気になるところだ。

今後期待出来るプラス材料は、原油安効果の発現や、賃上げによる所得増加の効果、法人税減税などがあげられる。一方で2月の鉱工業生産指数は前年同月比3・4%マイナスと3か月ぶりに低下した。

昨年4月からの消費増税は家計の消費には重しとなり、今年4月からの食料品の値上げなども消費者の心理には大きく影響している。

ただ全体でみれば緩やかな景気回復基調は維持され、株価が大きく崩れることはないと見られる。当面、多少の調整売りが出る可能性はあるものの、その後一段の上昇を試せるかどうかは米国市場の動向などにも影響されるだろう。(多嘉村博記/国際経済ジャーナリスト)

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