(写真=大幸薬品HP)
2015年4月1日から、特許法が一部改正された。色彩のみからなる商標や音商標など、これまでなかったジャンルの商標登録が可能となったのだ。これを受け、大幸薬品 <4574> は4月1日、胃腸薬「正露丸」のCMで使用している、誰もが聞いたことのある「ラッパのメロディ」のサウンドを、商標登録出願したことを発表した。
新たな商標登録は、企業のブランド戦略の新しい流れとなるのかをみていく。
今回の改正によって、新たに商標の登録ができるようになったものは、次の5つのタイプに実例ともに紹介する。
①音商標
大幸薬品の他に、江崎グリコ <2206> がテレビCMで使っている「グ・リ・コ」の旋律を出願。CMなどに使われるサウンドロゴやパソコンの起動音などのように、音楽、音声、自然音等からなる商標であり、聴覚で認識される商標。
②動き商標
ソニー <6758> が欧州にて、ゲーム機器の動画について特許取得済み。テレビやコンピューター画面等に映し出される変化する文字や図形など、文字や図形等が時間の経過に伴って変化する商標。
③ホログラム商標
ニコン <7731> がドイツにて、カメラ製品などに貼付しているシールについて特許取得済み。見る角度によって変化して見える文字や図形など、文字や図形等がホログラフィーその他の方法により変化する商標。
④色彩のみからなる商標
タカラトミー <7867> が列車おもちゃ製品「プラレール」の線路に使っている青色を出願。商品の包装紙や広告用の看板に使用される色彩など、これまでの図形等と色彩が結合したものではない、単色又は複数の色彩の組合せのみからなる商標。
⑤位置商標
IBM(現在のレノボ)が米国にて、コンピュータキーボードの赤色カーソルコントロールデバイスについて特許取得済み。文字や図形等の標章を商品等に付す位置が特定される商標。
なお、欧米だけでなく韓国、台湾、香港、シンガポールなどでは、こうした商標をすでに導入している。
実効は未知数!?登録されてもブランド化失敗?
商標の制度面で世界に後れを取ってきた日本は、今回の改正でようやくグローバルスタンダードに立った。特許庁によると、各項目とも申請が相次ぎ、出願数は1週間で500件を超えたという。企業のブランド戦略において重要なファクターであることが伺える。
しかし、商標登録されればブランディングが達成されるという訳でもない。冒頭で述べた大幸薬品は2004年当時から海外でも正露丸を販売しており、このラッパのメロディを香港で商標登録していた。
ほかの国でもメロディの商標登録を検討している主たる目的は「偽物正露丸」の排除にあると言えるだろう。ただ、香港の実情を見る限り偽物は蔓延しており、この商標登録に効果が出ているとは言いにくい。
闇雲に新たな商標登録に躍起になる前に、自社の持つ優位性を再検証した上で、他の策を講じることが必要かもしれない。(ZUU online 編集部)
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