パソコン以外の家電やウェアラブル端末がインターネットに接続される「IoT」(Internet of Things)時代が到来しようとしている。それに合わせて、カセットテープやビデオテープなどの「磁気テープ」が、徐々に復活してきている。大量のデータがネットワークに生まれているなか、その存在感が大きくなっているのだ。


磁気テープが再び売れている

産業用磁気テープで世界首位の富士フイルム <4901> の磁気テープ売上は、2015年まで3年連続で増加している。

経済産業省の経済産業省生産動態統計年報によると、録音・録画以外の用途の磁気テープの生産量は2009年から2012年にかけて約30%の増加。2013年には減少しているが、長期的には増加する傾向にあると考えられる。

磁気テープの需要が増加すると考えられる理由はふたつ。ひとつは、IoTの時代には、保存するデータ量が大きく増加すること。もうひとつは、磁気テープがハードディスクに比べてより安く、安全にデータ保存できることだ。このふたつを詳しく見ていく。


世界のデータは毎年40%ずつ増えている

ビッグデータ解析のAureus Analyticsによると、ビッグデータの影響で、世界のデータ量は毎年約40%ずつ増加しており、2020年には現在の50倍に達すると予想されている。企業が大量のデータを集め、適切に分析することができれば、大きな利益を生み出すことができる。企業は、これまで廃棄されていたデータが金鉱に化ける可能性もあるため、保存しておくことが望ましいだろう。

また、ITに欠かせないサーバーの需要も増加していくことが予想されている。IT専門調査会社IDCによると、クラウド向けのサーバーは2013年から2018年にかけて、出荷額で平均約11.8%の成長が見込まれている。

これは、企業の考えからも裏付けできる。A.T. カーニーは各企業の最高情報責任者(CIO)、150人に対して調査を行っている。これによると、7割以上の回答者が「より短期間のIT導入を迫られ、これに対応することがIT部門の重要な成果指標になる」と予想している。企業にとって、IT投資によってデータの増加に対応するのは必要不可欠なのだ。