日経平均株価は18日、約1カ月ぶりに2万円を割り込んだ。ギリシャ債務問題や米利上げ懸念などを織り込んだ形だが、一方の国内では景気回復ムードが継続しており、消費者の間で「派手な散財はできないけど、少しは贅沢(ぜいたく)をしてみたい」という「プチリッチ消費」が拡大している。

企業もこれらの消費行動に対応し、従来商品に付加価値を付けた高級商品を展開。独自ブランド「セブンプレミアム」を展開するセブン&アイ・ホールディングス <3382> をはじめ、乳飲料で高付加価値商品に注力する森永乳業 <2264> などに注目したい。

7&iHDはPB商品が収益けん引

「ちょっとした贅沢」を求める「プチリッチ消費」の代表例といえば、7&iHDのPB(プライベートブランド=自主企画)「セブンプレミアム」だろう。特に、付加価値の高い商品をそろえた「セブンゴールド」の商品群は、プチリッチ層の消費行動に直結し、ヒット商品を連発している。

例えば、「金の食パン」は、素材にはちみつなどを使用。もっちりとした食感の食パンを厚切りで提供し、従来商品の2倍近い価格ながらも大人気商品となっている。

「セブンプレミアム」は総菜から飲料、洗剤まで商品ラインアップを拡大しており、2013年2月期に4900億円だった同ブランドの売上高は今期は1兆円に達すると見通しており、今期に連結売上高6兆4000億円(前期比6.0%増)、営業利益3730億円(同8.6%増)を計画する7&iHDの収益源となっている。

ライバル社もプチリッチ消費に照準を定めている。ローソン <2651> は健康志向の商品などを取り扱う「ナチュラルローソン」を展開、店舗網を拡大してきたほか、昨年9月には高級食材・商品をそろえたスーパー「成城石井」の株式を取得した。

森永乳は乳飲料で高付加価値化

原材料高が懸念される食品・飲料メーカーも、高付加価値商品でプチリッチ消費に取り組んでいる。森永乳は4月に乳飲料「PREMiL(プレミル)」ブランドを一新。テトラ・トップの容器を採用したほか、サイズをコンパクト化。成分では牛乳と比較しタンパク質やカルシウムを多く含んでいる。

関東甲信越や関西地区などで発売しており、高額商品ながら消費者の反応は良好という。同社はアイスの「PARM」やギリシャヨーグルトなど幅広い年代をターゲットにした高付加価値商品での成功例があり、同ブランドへも期待が高まっている。

森永乳の今3月期連結営業利益は前期比51.3%増の103億円と大幅増益を計画。株価は1月高値515円をピークに調整が進み、同商品のヒットが株価の起爆剤となる可能性がある。

ほかにも、ビール業界ではキリンホールディングス <2503> が昨年9月に、クラフトビール(地ビール)で知られるヤッホーブルーイングに出資。サッポロホールディングス <2501> は今年4月にブルワリー(醸造所)併設の地ビールレストランをオープンするなど、各社がクラフトビールの市場拡大を目指している。

また、食料品関連では6月に新制度「機能性表示食品」がスタートしており、キリンHDが脂肪の吸収を抑える効果のあるビール風飲料を発売するなど、同制度の関連商品が話題となることも考えられる。過去には「トクホ関連」が物色されこともあり、新たなテーマ発掘にどん欲な個人投資家の買いを集める展開にも期待できそうだ。(6月19日付株式新聞掲載記事)

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