7月6日、Hondaで新社長に八郷隆弘氏が就任し、記者会見を行った。 同会見で八郷氏は「英国製の新型シビックタイプRを、日本の顧客に向けて導入する」と発表。
新型のシビック タイプRは、全く新しい高回転型のVTECターボ2.0Lエンジンを搭載し、306bhp/7,000rpmを発揮、最高速は269km/h。シャシーとエンジンをレーシーにコントロールできる+Rモードを搭載しているので、手軽にレーシングドライバーの気分が味わえるスポーツタイプのハッチバックだ。 同車はすでにドイツ・ニュルブルクリンク北コースにて「 量産FF車のニュルブルクリンク最速タイム」を記録している 。
まだ日本での販売詳細が発表されていないものの、先立って英国で発表された販売価格は、通常モデルが29,995ポンド(570万円)、GTバージョンが32,295ポンド(615万円)とかなり高額だ。
Hondaの世界旗艦車とはいえ、シビック タイプRは従来、とくにエントリーモデルに関しては気軽に入手できるスポーツカーだったので、今回の新型Rはこれまでとは全く違う形に生まれ変わったと言ってもいい。
シビック タイプRの英国工場に200万ポンドを新規投資
新型シビックの5ドアモデルは、3,000人が働くイギリスのホンダ工場で生産が行われる。この工場に、新たに200万ポンド(377億円)が投資された。1985年からの投資累積額は22億ポンド(4200億円)に上る。
ホンダ・ヨーロッパの副社長、フィリップ・ロス氏は、「シビック タイプRを故郷である日本に輸出できることは、とても嬉しいことだ。ヨーロッパでもオーダーを伸ばすことができるし、新たな需要を創出できるのは疑いようのないことで、とても素晴らしいニュースだ」と喜びの声を上げている。
先日ホンダのイギリス工場からシビック タイプRがラインオフして、量産化のスタートを切った。工場のマネージメントディレクターである滝沢氏はこうコメントした。
「シビック タイプRはHondaにとって、レーシング・スピリッツやイノベーション、情熱を表した象徴的なモデルだ。私たちは、ここイギリス工場が唯一のシビック タイプR生産の場ということにプライドを持っている。高い品質水準が認められているという証であり、従業員たちにもコミットメントを継続させていくことができる」
また、八郷氏は2012年 欧州経済不況時の英国で、ホンダモーターヨーロッパ・リミテッドの副社長を務めた経験を持つ。生産を行う国が不況時であったとしても抗えるノウハウと自信があるというのは重要なことである。
工場内に開発・生産・購買の一体フロアを作り、議論を重ねて生まれたという「シビック タイプR」には、新社長スタートをして最初の真価が問われる重要な一台という思いが込められているはずだ。
そして、「シビック タイプR」のブランド力なら、日本国内でも600万円前後という価格帯でも十分行けると踏んだのであろう。