Honda歩行アシスト
「Honda歩行アシスト」(写真=プレスリリースより)

高齢化が進む中で、新しいタイプの身体・運動補助装置が注目を集めている。パワーアシスト・ロボット、スーツなどと呼ばれるものだ。不自由になった身体や運動を補助する装置は、その目的と用途によってさまざまで、病気や怪我、老齢化で不自由になった身体機能を支援・補完するものや、力仕事や何時間も同じ姿勢で行う作業を補助・軽減するものなどがある。作業用で最近、話題になったのは独アウディの「チェアレス・チェア(椅子のない椅子)」だろう。両脚の背面を支える外骨格のような装置をつけることで、椅子なしで座った態勢を長時間保っても疲れないというものだ。


医療分野のロボット市場は2020年に1.3兆円

安倍政権も成長戦略の一環として、日本の優れたロボット技術を世界に売り出したい考えを持っており、地方自治体や独立行政法人も法制、資金などの面で数々の支援・補助策を打ち出している。研究者や技術者向けに、イノベーション支援するウェブサイトを運営しているアスタミューゼによると、医療の分野で活躍するロボットの市場規模は、介護・見守り、手術などの活用領域も含めれば2020年に約1.3兆円になると予測されている。

身体・運動補助装置のなかでも、「歩行アシスト」は特に関心が高い。
「歩く」という活動の基本を支える道具として代表的なものは車椅子だが、手動のものは腕力が必要だし、電動でも大きさや進路の傾斜・段差などの制約によって移動範囲が限られる。またある調査報告は、この移動範囲の狭さが高齢者の認知症の一因となると指摘している。