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(写真=PIXTA)


はじめに

2015年7月末に公表された総務省の「平成27年版情報通信白書」では、特集テーマとして「ICTの過去・現在・未来」と題して、「社会全体のICT化」に向けた中長期な未来像を展望している。

近年、IoTやIndustry4.0などの新たな技術革新により、介護ロボットを初めとする各種ロボットがICTの端末として位置づけられるようになっていることを受けて、「情報通信白書」においても、「第2部第4章暮らしの未来とICT」の「第1節ICT端末の新形態」の第3項「3パートナーロボット」で、「介護用ロボット」、「コミュニケーションロボット」、「子育て支援ロボット」の3分野のロボットなどについて、利用意向のアンケート調査結果(*1)が示されている。

本稿では「パートナーロボット」のうち、主に「介護用ロボット」の利用意向に触れ、今後の介護ロボットの普及啓発について簡略な考察を加える。


「平成27年版情報通信白書」に見る「パートナーロボット」の利用意向

◆情報通信白書の利用意向調査

本稿で触れる「パートナーロボット」のアンケート調査結果(ネット調査、n=2,000)は、情報通信分野の多岐に亘る機器やサービスの利用意向の意識調査のごく一部である。従ってロボットだけを対象とする詳細な意識調査ではなく、年齢的にも13歳以上の一般の人々へのネット調査である。このため、調査結果を検討する上で、幾つかの留意点を踏まえて置かなければならない。

一つ目の留意点は、一定のICTリテラシーを有する回答者が対象であり、新技術の利用に関して前向きの人が多いと推察されるという点である。二つ目は、特定の介護ロボットではなく、抽象概念としての多様な介護ロボットを念頭に置いた回答が大半を占めていると推察されるという点である。

介護ロボットは開発・普及が進行中の過渡期にあり、現時点では、厳密な利用意向調査は難しい。したがって、この意識調査の結果は、現在の生活者一般の介護ロボット等に対する利用意向として重要な調査結果であり、前述の点に留意しつつ集計結果に検討を加えたい。