(写真=ZUU online編集部)
さまざまな分野でのIT活用は今なお、普及途上だ。ドイツの「インダストリー4.0」に代表される「ものづくり・製造」分野や金融分野でのIT活用だけではなく、ハイテクとは最も遠い印象を与えがちな「農業」でもIT化が進んでいる。
その中で、さまざまなベンチャー企業がこのビジネスチャンスを掴もうと取り組んでおり、米EDYN社はその一つだ。この農業ベンチャーのEDYNがついに、先日おこなわれたウェアラブルテック2015で、改めてその可能性を印象付けた。
農業への展開見込む「菜園イノベーション」
農業でのIT活用については例えば、建物内の光や温度、湿度を制御して植物の生育に適した環境を作りだし、農作物の効率的な生産を目指す「植物工場」や、ドローンを活用して撮影した作物を育てている農地の空撮写真から生育状況を正確に把握するといった取り組みが行われている。
「EDYN」はこれに対して、もう一つの農業分野でのIT活用法として注目されている「農業センサー」などを開発しており、その展開を目指している。同社プロダクトの一つが「 Edyn Garden Sensor(EDYNガーデンセンサー)」で、植物や作物を植えた土壌に刺すことで、「照度(光)」「湿度」「植物栄養」「土壌水分」などの環境をモニター。菜園や農地の状況のリアルタイムな把握が実現する。
さらに、同社は「Edyn Water Valve」の開発を推進。EDYNガーデンセンサーや地元の天気予報データなどから、植物に水を与えるタイミングを自動的に判断して、人の手を必要としない「水やり」が可能になる。
EDYN社のCEOを務めるジェイソン・アランブル氏はこうした製品の特徴と農業について、EDYNガーデンセンサーなどによって世界のどこでも農作物を清算できるようになり、人間自ら育てられるようになることで、食糧確保の安定性が増すことを期待しているとの考えを明らかにしている。農業を効率性を大きく変えかねない取り組みで、農作業の効率化や無人化、農業の再構築だけではなく、広くは食糧問題まで波及する可能性も秘めており、潜在的な影響力の高さを窺わせる。
「クラウドファンディング」で資金を調達
「EDYN」が注目を集めるもう一つの理由は、新たな資金調達の形として知られる「クラウドファンディング」を活用して事業を推進してきた点だ。インターネットを通じて不特定多数の人々から広く、少額を集めてファイナンスを行う方法で、プラットフォームとしては米国のインディーゴーゴーや、日本のキャンプファイヤーなどが知られている。
アランブル氏によれば、EDYN社は、ガーデニングを行う菜園で使用するセンサーデバイスやアプリケーションを開発するために、キックスターターで資金調達のプロジェクトを立ち上げており、これが目を見張る結果につながったという。
現在ではEDYN社は2336人から38万4201米ドルを調達。目標とする金額を大幅に上回る資金を調達したという。目標調達金額を達成しただけでも注目だが、それだけ多くのユーザーが投資したことも覚えておく必要があるだろう。それだけ多くの人々がEDYN社の事業に期待しているということだからだ。
しかし、EDYNガーデンセンサーを日本で実際に活用しようとすると、まだまだ問題がある様子だ。インターネット上では、キックスターター内の「EDYN」のプロジェクトに参加して、ガーデンセンサーを購入。使用して評価を投稿しているブログもある。
同ブログによれば、温度の表記が米国で使用される温度基準である華氏で、日本国内に住むわれわれが日常的に使用している摂氏に対応していないなど改善要望も出ている様子で、今後の開発を進める余地がまだまだありそうだ。(ZUU online 編集部)
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