高騰は、はじけた「中国夢」だったのか。

中国オンライン・マーケット大手である阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディング)の米ニューヨーク上場株は昨年9月に公開され、同11月には公開時より75%も急騰して120ドルをつけた。ところが、それをピークにその後は下落を続け、9月初旬には公開価格の68ドルを割り込み、61ドルまで下げた。

直近では63ドルと冴えないが、アリババ株はさらに下げるという声も多く、主要株主である米ヤフーやソフトバンクの財務への重荷になっている。

浙江省杭州市に本社を置くアリババの株主の90%以上は外国人であるが、同グループは収益の83%を中国で叩き出す。その中国経済の不調が大きな懸念材料である。9月8日、アリババは「中国の消費需要に、広く弱さが見られる」と発表した。

アリババ株下落の要因は透明性の欠如?

『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙によると、7-9月期に同社サイトで購入された商品量の伸び率は、当初の予想よりも一桁台半ばほど低くなるとされる。しかし、アリババは元の見通しを公表していないため、そもそもの予想がどのようなものだったのかが不透明であるという。

実はこの透明性の欠如こそ、アリババ株下落の大きな要因であると、投資家向けメディア『バロンズ』誌の9月12日付分析は指摘している。まず、同社発表の中国内アリババユーザー数は、6月現在で3億6700万人と、昨年12月現在の中国政府統計による全中国のオンライン購入者の数である3億6100万人を上回っている。アナリストは、こんなことがありえるのかと疑問視している。

さらに疑念を招いているのが、同社の中国人顧客1人当たりの年間消費額である。アリババの発表では1215ドルなのであるが、1人当たりの購買力平価が中国の7.5倍である米国でさえ、年間のオンライン購買額の総計は1人当たり963ドルに過ぎない。中国全土の実店舗の少なさから、オンライン購入が多くなる要因を差し引いても計算が合わないと、調査会社Jキャピタル・リサーチは指摘する。