(ガーナの青年海外協力隊)
チョコだけじゃない、 日本人女性起業家が見たリアルなガーナ(8)
日本企業の東南アジア市場進出が珍しくなくなった現在でも、日本企業がほとんど踏み出さない地がある。それが最後のフロンティア「アフリカ」。まだまだ貧しい小さな市場で、リスクを犯してまで進出する価値がないと判断する日本企業が多いのが実情だろう。果たしてそれは真実だろうか?
オランダのビジネススクール卒業後、企業のバックアップなしに飛び込み、ガーナ初のオンラインファッションストアを設立した日本人女性起業家が、正攻法ではいかないからこそ、中小企業にもチャンスがあるアフリカビジネス最前線の模様と共にガーナの現状をお伝えします。
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「日本人は良いことしかしない」
ガーナに住んでから「日本人だ」と答える度に、必ずと言ってよいほど質問された言葉がある。「おまえはJICAで働いているのか?」
JICAのボランティア組織『青年海外協力隊』の存在はガーナで広く認知されている。ガーナは、隊員派遣数が上位7番目で、2015年2月末時点で1,233名の日本人が現地での活動にあたっている。インフラも乏しい任地で一人奮闘しながら、現地文化を尊重しながら、各々のスキルや知識を伝達していく日本式の活動はガーナの人に高く評価されてきた。
「日本人は良いことしかしない」という日本人像が、遠く離れたガーナでできあがったのは、ひとえに、積み重ねられた青年海外協力隊の真摯な活動の賜物である。その地に足のついた活動によって得た「気づき」を外部に情報発信して共有することを目的に、協力隊隊員有志で構成・発足した「フィールド調査団」という取り組みが行われている。
例えば、現地で義足を作るのにかかる費用がいくらか、どういった支援の仕組みが存在しているのか、なぜ出荷されず破棄されるオレンジが多いのか?など、専門分野に長けた隊員の日常活動が活かされた具体的なレポートになっており、新興国ビジネスのヒントがたくさん隠されている。
一方、ビジネスセクターにおいては、距離的に近い欧米はもとい、中国、韓国に比べて日本の存在感は大きく見劣りする。ガーナに在留する日本人は250人ほどで、その大半がJICAや大使館関係者である。現地に進出している日本企業は、日本人駐在員のいない企業やJV(ジョイント・ベンチャー)を含めても14社で、ODA案件関連企業を加えても20社前後だ。