モバイルマネーによる国際送金サービス「WorldRemit」

2010年英国で、ソマリランド出身の起業家イスマイル・アハメド氏が創設したFintech企業WorldRemit(ワールドリミット)が提供する、モバイルマネーを利用した国際送金サービスだ。

消費者の間で急激に普及するモバイルマネーの事業者と連携しながら、移民労働者向けの国際送金サービスを拡大してきた。銀行口座を持たないユーザーでも、モバイル端末とモバイルマネーがあれば利用できる手軽さが受けており、銀行インフラの整備が遅れるアフリカ、アジアなど新興国市場で急成長している。

TechStarsから生まれた米国発サービス「Remitly」

2011年米国シアトルで、著名なアクセラレータープログラムTechStarsを受講したマシュー・オッペンハイマー氏と同プログラムのメンターを務めるジョシュ・ハグ氏が共同創設したFintech企業Remitly(リミットリー)が提供する。同社は2012年、Beamit(ビームイット)から社名を変更している。

米国発海外向けのWeb/モバイル国際送金サービス。2012年にフィリピン向け国際送金サービスを立ち上げ、2013年に手数料の原則無料化を打ち出した(デビットカードによる即日送金の場合は有料)。

さらに2015年2月よりインド向け送金サービスを開始し、同年7月にはモバイルメッセージサービス企業のTalio(タリオ)を買収するなど、事業拡大や付加価値サービスの拡充に努めている。

日本勢は既存事業から海外送金サービスへ展開

欧米とは異なり、日本国内では既存の事業会社が海外送金サービスの新設・拡充を図るケースが主流だ。

たえば楽天銀行は、2013年より個人向け海外送金サービスを提供している。2014年8月、同行のスマホアプリをFacebookのユーザーアカウントと連携させた「Facebookで送金」サービスを開始したが、日本国外の銀行で送金を受け取ることはできない。

またLINEの場合、2014年12月にモバイル決済システム「LINE Pay」をリリースし、LINEアプリと同社の電子マネー「LINE Money」を組み合わせた個人間送金サービスを提供している。ただし「LINE Pay」は日本の携帯電話番号を有する端末向けサービスなので、同じく電子マネーを利用したWorldRemitと比較すると利便性に欠ける。

2020年東京オリンピック・パラリンピックを控えており、今後、国境を超えた送金サービスの需要は高まるだろう。日本勢には欧米企業のようなイノベーション、新しいサービスを実現してほしいし、行政にはスタートアップの活動を今以上に支援するような施策の実現を期待したい。(FinTech online編集部)