中国の新聞
(写真=PIXTA)

中国の大手金融経済新聞のネット版に当たる金融経済サイト「21世紀網」(21世紀ネット)が突然閉鎖された。アクセスできないではなく閉鎖されたことは、中国をよく知る人たちにとっても驚きのようだ。


編集長はじめ8人が公安に逮捕

中国のサイトを定期的に見られる方はご存じだろうが、サイトが突然アクセス不能になるということは珍しいことではない。

天津の倉庫爆発事故や抗日戦争70周年パレードも同じである。サイトにアクセスすると通知欄に「サーバーが見つかりません」と表示が出ているが、上部バーにはサイト名が表記されており、そのうち見られるようになるだろうと思いきや、なかなかつながるようにならない。

中国に住んだことのあるジャーナリストが不審に思って調べたところ、なんと昨年、当該サイトの編集長を始め8人が上海公安に逮捕され、広告料で莫大な利益を得ようとしていた旨で刑事起訴されていたというのである。

そして今年になってこのサイトは、社会を混乱させるものであるとして閉鎖されたのである。そして探しまわった挙句、現在は「21世紀経済網」として運営されていることが分かった。


逮捕理由も明確ではない……中国の現実

このサイトの運営会社は閉鎖される以前までは目をつけられた形跡はない。そのうえ、今回上海公安に逮捕された理由も具体的に書かれていない。見せしめなのだ。上海出身の高官に対し不都合なことでも書き、コネもなかったのだろう。

チャイナリスクいまだ健在、油断禁物なのである。悲しいかなこれが中国。決して、けなしているのではない、現実なのだ。


「天安門」と百度で検索しても……

チャイナリスクの1つである「情報統制」について考えてみよう。

まず中国のサイトにアクセスしたり電話をかけたりする場合、中国電信を経由する。携帯電話でも同様。そしてその内容は北京にある情報統制を行う専門の街で常時監視されていると言われている。もちろん外国語にも対応しており、その技術の高さには瞠目するばかりである。

例えば中国の検索エンジン百度に「天安門」と入れてみて欲しい。1989年の天安門事件は出て来ないはずである。出ても外国サイト、または1976年の天安門事件が取り上げられている。中国では閲覧不可であろう。因みにグーグルには1ページ目から天安門事件が表示される。天安門事件はタブーであり、中国国内では64と日付で言うことが多い。