「バリュー投資の父」と呼ばれるエコノミスト
『賢明なる投資家(The Intelligent Investor)』という投資の本をご存知だろうか。「バリュー投資の父」と言われる米国のエコノミスト、ベンジャミン・グレアム(Benjamin Graham、1894−1976)が書いたバリュー投資(割安株投資)の教科書だ。グレアムはマンハッタンで投資会社を経営しながら、1928年から20年以上にわたり、コロンビア大学のビジネススクールで投資についての講義を行っていた。1929年の大恐慌を経験してバリュー投資へ傾倒していき、『賢明なる投資家』を出版したのが1949年、グレアム55歳の時だ。
「オマハの賢人」ウォーレン・バフェットが、過去最高の投資の本と称える『賢明なる投資家』について紹介しよう。
グレアムが作ったバリュー投資の流れ
グレアムの最も優秀な教え子がバフェットだ。グレアムからA+評価を得たのはバフェットだけだという。世界最大の投資持株会社バークシャー・ハサウェイの会長兼CEOであるバフェットは、グレアムから学んだバリュー投資を元に世界有数の資産を築いた。バフェットは、グレアムを父親に次いで影響を受けた人物して尊敬しており、自分の子供にグレアムと名付けたほどだ。
日本で存在感の強いバリュー投資ファンドに米国のブランデス・インベストメント・パートナーズがある。バリュー投資ファンドとしては世界でもトップクラスで、総運用資産は300億ドル。1974年に同社を創業したチャールズ・ブランデスはグレアムの信奉者だった。会社の理念にもグレアムの名前が出てくる。同社は、日本に特化したファンドを1997年に設定している。
大量保有報告書(5%ルール)で判明しているだけでも、ホシデン <6804> 、電気興業 <6706> 、双葉電子 <6986> 、ノーリツ鋼機 <7744> などの大株主だ。大塚家具 <8186> についても大株主であったため、親子によるプロキシ・ファイトのキャスティングボートを握っていたが、途中で売り抜けていたことで話題になったのを記憶している方も多いだろう。