高齢化のピークを2020年以降に踏まえ、両親など家族の介護のために仕事を辞めざるを得ない人が激増するのではないかと懸念されている。さらにはその多くが40代、50代とみられており、多勢が 働き盛りだったり、管理職としてビジネス現場で中堅の役割を担っていたりすることから、 日本社会に甚大な被害を与えかねないと受け止められている。

これら介護を理由にした一斉退職は「介護離職」とされており、本人のキャリアを中断させてしまうだけではなく、企業にとっても大量の中堅層が唐突にビジネスの現場から姿を消してしまいかねず、企業活動そのものも滞るのではないかと警鐘を鳴らす有識者も出てきている。

さらには、すでに年間10万人規模にまで拡大している 介護離職者数は 、企業などの組織にとっても大きな問題となりつつある。団塊ジュニア世代の一斉離職という事態に発展してしまえば、社会で活躍している働き盛りの人口も減り、経済や社会が衰退してしまうかもしれない、いわば非常事態なのだ。


増加しはじめる介護離職と、その深刻さ

2022年には団塊世代が75歳に達し、介護を必要とする人口も大幅に増加する可能性が高い。そのため2020年代半ばには「大介護時代」が来るとみられており、その兆候はすでに出てきているという。

例えば、厚労省の「平成25年雇用動向調査」によれば、2013年の介護離職者は9万3400人。離職者全体の約1.3%を占めており、5年前と比べて2倍に拡大しており、徐々に増加してきていると言えそうだ。さらには、一度離職してしまうと、介護に携わっている期間には収入が途絶えてしまい、自身の生活が立ち行かなくなる場合も報告されている。介護を必要とする高齢者世代と、介護そのものを担う若年世代の共倒れになってしまうリスクも指摘されている。

ほかにも、「家族に介護が必要になっている」との噂を理由に辞職を迫られたり、降格させられたりしてしまう人もいれば、築き上げてきたキャリアを手放さなければならない人もおり、介護の負担を抱えなければならない人々の環境はなお厳しい。団塊ジュニア達の大量離職という緊急事態に向けて、対策も待ったなしだ。