不動産投資セミナー

(写真=ZUU online編集部)

「これから個人は『お金』にどう向き合うべきか」をテーマにした「お金のEXPO」が2015年11月22日、品川インターシティホールで開かれた。扱われた内容は投資、税金、年金、保険、Fintech(フィンテック)など多岐にわたり、元総務相の竹中平蔵氏や人気ファンドマネジャー、独立系ファイナンシャル・プランナーらが”今知っておきたい「お金」の知識”を語った。

イベントはマネーフォワード主催。今回はその中から「成功するマンション投資は実績15000戸の賃貸管理会社に聞け!」と題した日本財託の重吉勉社長の講演の内容をお届けする。

今、不動産投資が注目される理由

会場は満席で立ち見をする参加者の姿もあった。不動産投資が今ここまで注目される背景には、老後に対する不安の高まりがある。

老後に必要な資金はいくらだろうか。生命保険文化センターの調査によると「ゆとりある老後」を送るためには夫婦で月々37万円の生活費が必要であるという。ここから公的年金を差し引くとおよそ4000万円を現役時代に準備しておく必要があると試算できる。将来は年金額が現在の水準より低くなると見込まれるので、現在現役の人たちはさらに多くの資金が必要になる。

不動産投資によって不労収入を得ることができれば、安心して老後を迎えることができるのではないかと重吉氏は呼びかける。「不動産投資は値上がりを期待したり節税を目的にしてはいけない。じゃあ何が目的か。不動産投資は長期的に安定的に家賃収入を受け取り、老後の経済的自由を手に入れることが目的なんです」

「次のテナントが決まらない物件」7つの特徴

日本財託グループは中古ワンルームマンションの販売・管理などを行っている。1990年に設立し、2015年10月末の管理戸数は1万5032戸に上る。同社によると入居率は99.11%(2015年10月末現在)であるという。

そんな日本財託グループを率いる重吉氏が「今一番リスク少なくて投資効率がいい」と言い切る不動産投資が「東京の中古ワンルームマンション」である。

重吉氏によると、努力してもなかなか次のテナントが決まらない物件(オーナー)には「7つの特徴」がある。「7つの特徴」は30年前から変わっておらず、同社が「東京都の中古ワンルームマンション」にこだわる理由がここに隠されている。「7つの特徴」をまとめると次のようになる。

①高利回り物件が成功への近道と思っている
不動産投資で利回りばかり気にしている人がいるが、入居者あっての利回りである。入居者がいなければ利回りは計算だけの架空の話。高利回り物件は土地が安く、建物が古いため利回りが高いのであって、今後も常に高利回りとは限らない。

②「郊外・地方アパート経営が一番」と思っている
重吉社長は地方や郊外へのアパート経営に手を出さない方がいい理由として「老朽化が早く10年経つと見栄えが悪くなる」「修繕コストが高い」「火災リスクと火災保険料負担が大きい」「土地持ち農家と『家賃』値下げ競争」「売却が困難」などを挙げる。重吉社長は「私の結論は地方や郊外のアパートには手を出すなということです」と話す。

③新築物件しか興味がない
新築はいつの時点から中古になるのか。正解は「購入者がその物件を登記した時点」である。たとえ一度も使っていなくても、その登記した瞬間から物件は中古になる。重吉氏の過去の経験から言うと、新築物件を登記後すぐに売りだした場合、その価格は新築購入時の6割程度となる。新築も築浅の中古も家賃はほとんど変わらないことを考えると、あらかじめ購入可価格の低い中古を買っておくほうがお得である。

④借りられるだけ借金をする
ローンには3つのリスクがある。「金利上昇リスク」「空室リスク」「家賃下落リスク」である。25年前、住宅金融公庫(今のフラット35)の金利は6%を超えていたという。ここ最近は「超低金利時代」が続いているが、今後上昇する可能性は十分あるのである。ローンを組むときは3つのリスクを見込んだうえで余裕を持って資金計画をたてなければ返済ができなくなる可能性がある。「借金が大きくなるほどリスクも大きくなる。不動産投資の最大のリスクは過剰な借金です」と重吉氏は強調する。

⑤節税が目的
不動産投資は事業として成り立つかどうかでみることが本来の姿である。つまり事業として成り立つかどうかが第一。不動産投資は節税を目的にしない方がよい。

⑥賃貸管理会社はどこも同じと思っている
賃貸管理会社とは5年、10年、20年の長い付き合いになる。もし間違った管理会社選んでしまうと家賃収入や出て行くコストが全然違ってくる。賃貸管理会社によって入居者をきめるスキルは異なっており、平気で割高の内装費用を請求してくる会社もある。信頼のおける賃貸管理会社を選ぶことは物件選びと同じくらい重要である。

⑦実務経験のないコンサルタントの言いなりになる
ここでいう実務経験とは建物管理と賃貸経営のことをどれだけわかっているかを指す。「少なくとも20年以上の経験が必要だと思っています」と重吉氏。不動産投資をした人で一定期間に限って成功するのはよくある話である。しかしそうしたいっときの知識だけでは今後、建物老朽化したとき修繕費はいくらかかるのか、古くなった物件の家賃はどこまで下がるのかを知ることは難しい。不動産投資では数十年にわたるリスクやコストを数値化し、資産計画を立てたほうがよいため、長年の経験があるコンサルタントを頼ったほうがよいのである。