「人民元空売り」の画策がウォールストリートで進行中であることが、1月31日のウォールストリート・ジャーナル紙など複数のメディアに報じられた。一部のヘッジファンドが1992年のソロス氏のよる「ポンド空売り」や1997年の「アジア通貨危機」を、人民元で再現しようという動きだ。

多額の資本流出にどこまで中国は持ちこたえれるのか

英オムニ・マクロ・ファンドは既に2014年初頭から人民元の暴落を見越した動きをしているほか、2010年の欧州ソブリン危機の際に何百万ドルという利益をあげた米コリエンテ・パートナーズも、昨年9月からデルタ値(オプションのリスク指標。株式や為替、コモディティなどの原資産の変動に対し、オプションの価格がどの程度変動するかを示す)の低いオプションに専念しているなど、今後20~50%の人民元大暴落を予測する声が多数あがっている。

「その規模はサブプライム危機をはるかに上回るだろう」というカイル・バスCEO率いる米大手ヘイマン・キャピタル・マネージメントは、人民元や香港ドルを含むアジア通貨のショート(売り持ち)に専念するために、大量の持ち株やコモディティ、債券を処分しており、今後3年以内に人民元と香港ドルが値下がりすれば利益を得られる取引が、ポートフォリオの85%を占めている。

これらのヘッジファンドに加え、2010年に引退するまではソロス氏の右腕として知られていたスタンリー・ドラッケンミラー氏や、「ヘッジファンド・マネージャーの歴史上最高額」となった年間所得(40億ドル/約4838億8000万円)を弾き出したデービッド・テッパー氏など、並みいる著名投資家達も人民元の売り持ち態勢にあることが、事情に詳しい関係者から明らかになっている。

中国では近年、人民元安の影響で多額の資本流出が加速しており、世界中の金融機関が参加している国際組織、国際金融協会(IIF)の調べでは、昨年だけで推定6750億(約81兆7155億円)ドルが国外へ流れでている。

こうした状況でさらに民間や企業による現金引き上げが殺到すれば、たとえ3兆3000億ドル(約399兆6960億円)の外貨準備高を誇る中国といえども、到底持ちこたえられないだろう――というのが専門家やウォールストリートの見解である。(ZUU online 編集部)

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