2020年4~6月のGDPの落ち込みが27.8%と戦後最悪だったことからもわかるように、コロナ禍においてわれわれを取り巻く現実は深刻だ。

各業界が大打撃を受けており、現在でもその被害は大きくなっていくばかり。一方では、新型コロナウイルス感染への不安が国民を覆っている。その不安の正体は、「新型コロナウイルスを患っていかもしれない」という気持ちだろう。そんな感染への不安を払拭するためには、PCR検査を受けるのが最善策。ただ、多くの人は「受けたくても受けられない」のが現状だ。しかし、そうした状況を改善できるサービスを提供する企業が出現。大躍進を遂げている。

特集「コロナ禍で成功するベンチャー企業研究」の第3回は、セルフPCRキットで大躍進を遂げている「理晏」( https://piq.jp/lp )をご紹介する。

(文・フリーライター 根本直樹)

コロナ禍の昨今でまさかの引っ張りだこ

(画像=show999 / pixta, ZUU online)

コロナ禍によって売上が急落し、悲鳴を上げている企業は数知れないが、多忙すぎて嬉しい悲鳴を上げている企業も稀にある。ドクター派遣業の理晏株式会社(東京・港区)はその典型だろう。理晏が手掛ける「出張PCR検査」というサービスは、これまでテレビの在京キー局全局で取り上げられるなど、大きな注目を集めている。

出張PCR検査とは、検査を希望する企業や個人宅に、理晏と提携する医師が直接訪問し、その場で検体を採取してくれ、その後、数時間以内に結果がわかるというもの。ある医療関係者は、理晏のサービスの斬新さを次のように語る。

「これまで日本のPCR検査体制には国民の不満が募っていました。最大の問題は受けたい人が簡単に受けられないこと。最近はだいぶ緩和されましたが、それでも基本的には何らかの症状が出て病院を受診し、医師がOKを出さない限り、検査を受けることができません。医療機関や保健所のパンクを防ぐためとはいえ、これでは国民の不安はぬぐえない。理晏のサービスはそんな人々のニーズを見事にすくい上げるもので、引っ張りだこになるのも当然だったと思います。しかも1回2万5000円と、相場に比べて安価だったのも受け入れられた大きな要因です」

在宅でPCR検査ができる画期的な「出張PCR検査サービス」

サービスの提供はコロナ禍以前から

コロナ禍に突如、注目を集めることになった理晏だが、代表の北條康弘氏は「コロナはたまたま」だと語る。どういうことか。