サラリーマンには給与所得控除という制度がある。所得税の金額を計算する際、各種所得の合計金額から各種所得控除の金額を差し引くことができる制度で、その仕組み知っておくことで手元に多くの給与が残るよう税金を節約できるかもしれない。
所得控除とは?
給与所得控除とは、給与所得者の収入から一定額を差し引くという制度だ。サラリーマンの場合は、収入から給与所得控除額が引かれた「給与所得」で所得税や住民税といった税金の額が決まる。式で表してみると、以下のようになる。
収入-給与所得控除=給与所得(課税対象)
ちなみに収入に計上されるのは毎月の基本給のほか、ボーナスや交通費、住宅手当や家族手当も含まれる。いわゆる年収のことだ。会社の商品を無料で譲り受けたなど、現金支給だけでなく現物支給も収入としてカウントされる。
(引用元:給与所得控除と所得控除は違う? 給与から引かれる金額の計算方法)
なぜ所得控除があるのか?
なぜ給与所得控除は存在するのだろうか?それには「サラリーマン」と「個人事業主」の納税者の違いが関係している。
サラリーマンやOLなどの給与所得者にとって、「確定申告は会社が行うもの」だろう。所得税などの各種税金は「源泉徴収」という形ですでに給料から引かれているので、わざわざ自分で確定申告をする必要がない。
対して、個人事業主は自分で確定申告をする義務がある。自分がその年にどのくらいの金額を稼いで、どのくらいの経費を使ったかを税務署に報告することで、税額が決定されるからだ。
(中略)
経費とは「業務に必要な費用」のことだが、サラリーマンでも経費がかかる場合があるはずだ。例えば、スーツやネクタイ、通勤用の靴などは、明らかに業務に必要な費用だろう。しかしサラリーマンは会社が確定申告を行うため、経費に計上できない。
このようなサラリーマンの業務にかかる経費を考慮して「給与所得控除」というシステムがある。給与所得控除は確定申告をしないサラリーマンの「経費」としての役割を持っているのだ。
(引用元:給与所得控除と所得控除は違う? 給与から引かれる金額の計算方法)
所得控除の全14種類について
給与所得控除には細かく分けて14種類がある。
控除種類 | 概要 | 対象者 |
---|---|---|
基礎控除 | ほかの所得控除のように、一定の要件に該当する場合に控除されるのではなく、一律に適用されるもの。金額は38万円。2020(令和2)年分以降からは納税者本人の所得金額に応じて異なる。 | 全員 |
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納税者の配偶者(妻や夫)の年間所得が少ないときに納税者側が受けられる所得控除のこと。この所得控除を受けるには、配偶者の合計所得金額が48万円以下であるなど条件を満たす必要がある。 | 妻や夫の年間所得が一定以下 |
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妻や夫の年間合計所得金額が48万円を超えても適用を受けられる所得控除のこと。受けられる控除金額は、納税者本人および配偶者それぞれの合計所得金額によって異なる。 | 妻や夫の年間所得が一定以下 |
扶養控除 | 納税者と生計を同じくしている親族などのうち、年間の合計所得金額が38万円以下(給与所得のみを得ている場合は給与収入が103万円以下)の人がいる場合に受けられる控除のこと。2020(令和2)年分からは合計所得金額が48万円以下の人も対象となる。 | 親族の合計所得が一定以下 |
障害者控除 | 納税者自身、あるいは同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることがきる。なお、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族がいる場合にも適用される。 | 納税者本人や家族が所得税法上の障害者 |
寡婦控除・寡夫控除 | 夫や妻と死別、もしくは離婚した後、婚姻をしていない人が受けられる控除。合計所得金額が一定以下であることなどが条件となる。男性と女性とで控除される金額が異なる。 | 配偶者と死別、離婚した後、婚姻をしていない |
勤労学生控除 | 給与所得など勤労による所得ある学生や生徒が受けられる控除。合計所得金額が一定以下であることや、特定の学校の学生・生徒であることが条件となる。 | 勤労による所得がある学生や生徒 |
社会保険料控除 | 納税者が自分自身や配偶者、親族の社会保険料を支払った場合に受けられる控除。対象となる社会保険料には健康保険、国民年金、厚生年金保険料、国民健康保険料などが含まれる。 | 社会保険料を支払っている |
小規模企業共済等掛金控除 | 企業共済や確定拠出年金など、小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合に、その支払った金額について受けられる控除。 | 企業共済や確定拠出年金などの掛け金を支払っている |
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生命保険料や介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に受けられる控除。 | 生命保険料などを支払っている |
地震保険料控除 | 損害保険契約などにかかわる地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合に受けられる控除。 | 地震保険料を支払っている |
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納税者が一定額を超える医療費を支払った場合に受けられる控除。保険金などで補てんされる金額は対象外となる。 | 年間に払った医療費が一定額以上 |
雑損控除 | 災害や盗難、横領などによって、資産について損害を受けた場合に一定額まで受けられる控除。対象になる資産や、損害の原因には条件がある。 | 災害などで損害を受けた場合 |
寄附金控除 | 国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に受けられる。ただし政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除の対象になる。 | 寄附やふるさと納税をした場合 |