アクティブシニアという言葉を象徴するように、スポーツジム(フィットネスクラブ)に通うシニアの割合は高いです。一方で、スポーツジムの費用は固定費として継続してかかり続けるものになります。人生100年時代を迎え、老後が長くなる中で節約ができるならしたいところです。持病がある方は、この費用を医療費控除することもできるでしょう。今回は、この制度の中身について解説します。

スポーツジムに通うシニアの割合はどれくらい?

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(写真=PIXTA)

若い世代も、シニア世代もスポーツジムに通う割合はほぼ同じです。楽天インサイトが2017年に実施した「スポーツに関する調査」でこんな傾向が浮き彫りになりました。この意識調査は、20~60代の1,000名を対象に行ったものです。その中で「スポーツジムに通っている」と回答した割合を、世代別にまとめた結果は次の通りになりました。

20代16.5%
30代11.8%
40代15.6%
50代15.5%
60代15.4%
出典:楽天インサイト「スポーツに関する調査」

ちなみに、60代が運動している理由は「健康維持」が約8割を占め、続いて「体力維持」「趣味」という順番になっています。「健康維持」や「体力維持」は60代が一番多く、年齢が下がるにつれ、その割合は減少傾向です。20代では「美容」の割合が多くなっており、このことから年代によってジムを利用する目的が違うことが分かります。

同アンケートによれば、スポーツにかける予算(施設利用料、アイテム購入費)の平均金額が一番多いのは50代の7,202円。60代は6,111円で20代の5,158円を上回っています。全世代を通してみると、1万円以上という方も15%程度います。

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの方はジムの費用が控除される場合も

仮に、月1万円のスポーツジムに通ったら年間12万円、60~80歳まで通ったら20年間で240万円になります。まとまったコストになるため、できるなら節約したいところです。そこで、スポーツジムの利用料を医療費控除できる制度の検討も一案といえます。対象となるのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の方です。

こういった方々が運動をして体質や習慣を改善することは「運動療法」という治療に位置づけられるため、医療費控除ができるようになります。利用の流れは、かかりつけ医に運動療法の処方せんを書いてもらい、厚生労働大臣が指定した「指定運動療法施設」を利用することで所得税の還付を受けることが可能です。

ここで注意したいのは、「スポーツジムを利用するだけでは医療費控除の対象にならない」という点です。医療費控除の対象にするには、あくまでもかかりつけの医師による運動療法の処方せん交付が必須です。また、運動療法後は実施証明書の交付を受け、それをもとに医師から確認書を出してもらいます。

厚生労働大臣に認定された施設だけが医療費控除できる

もうひとつ、スポーツジムの費用を医療費控除する方法で重要なのは、「通う予定のスポーツジムが制度に該当する施設か」ということです。厚生労働大臣が認定するスポーツジムや疾病予防運動施設、医療機関型施設などを総称して健康増進施設(運動型)といいますが、2019年1月現在、全国で350施設あります。そのうち利用料を医療費控除できるのは「指定運動療法施設」です。

「これから通う予定の施設が該当するか」「近所にこの制度に該当する施設がないか」は下記のサイトで検索できます。