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Written by 石谷彰彦 12記事

マイナポータルで申告簡素化も

医療費控除の「領収書」が要らなくなる? 方針転換とマイナンバー制度の影響

所得税還付の1つの有力な手段である医療費控除の申告が、2017年分の確定申告(18年3月受付分)から変わろうとしている。

提出のためにかき集めていた医療費領収書だが、提出省略が原則となる。この方針転換には、マイナンバー制度が関わっている。

医療費控除添付書類 「医療費のお知らせ」も可に

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(写真=PIXTA)

企業などに勤めているビジネスパーソンは、給与以外の所得がなければ年末調整だけで所得税の計算が終わる。

だが多額の医療費を支払い医療費控除で所得税還付を受けるためには、確定申告が必要だ。

例えば2017年分の確定申告を行う場合、2017年1〜12月の医療費などの金額により、「医療費の額−10万円」の金額だけ所得から差し引くことができる。

医療費に充てた医療保険の給付金等があれば、その分は医療費の額から差し引くことになる。また10万円という数字は、所得の低い人(給与所得だけであれば年収311万円程度まで)であればもう少し下がる。

2016年分の確定申告までは、医療費領収書の提出義務があった(ただし電子申告で1件ずつ明細を作成する場合は提出省略できる)。この義務が2018年に提出する2017年分の確定申告からは原則不要となり、代わって医療費の明細書を提出することになる。

健康保険組合などから送られてくる「医療費のお知らせ」の提出は、これまで認められてこなかった。ところが一転、医療費のお知らせを提出すれば、その分の領収書は提出不要となる。

保険適用の医療費領収書で年間10万円を越すとなれば、例えば年間医療費15万円、1枚平均1000円なら150枚にもなる。領収書が100枚単位になることはざらにあるが、「医療費のお知らせ」数枚でまとめられ、しかもあらかじめ集計されているとなれば手間は相当省ける。

なお保険外適用の医療費や市販薬の購入代は、領収書をもとに別途自分で明細表を作成することになる。

2017年分〜2019年分は、移行期間として従来どおり医療費領収書を提出することも認められる。また自分で作成した明細表の元となる領収書は、5年間保存しなければならない。

マイナポータル利用での医療費明細連携が改正の前提

なぜ一転認められるようになったか? ここにはマイナンバー制度がからんでいる。

マイナンバーは、税と社会保障の共通番号である。マイナンバーでは保険適用医療費も申告所得情報も管理できる。

管理する側の都合ばかり押しつけられては、国民はマイナンバー制度に納得できない。申告などの手続きで提出する書類が少なくなるのなら、国民にもメリットがある。そのメリットを実感してもらうために、医療費控除添付書類も改正することになったわけである。

マイナンバーカードを使って利用できるマイナポータルにより、保険適用医療費データ(「医療費のお知らせ」の内容)を取り込み、電子申告できるようになることが予定されている。100枚単位の領収書を電卓やエクセルで集計するよりもはるかに省力化される。

改正早々のマイナポータル連携実現には疑問符も

2018年に入って2017年分の確定申告を行う際から医療費領収書の提出義務は無くなることは確実である。ただマイナポータルによる集計簡略化までできるかは不透明であり、2018年には間に合わない恐れもある。

マイナンバーを巡っては、複数の機関にわたる情報連携が難航している。例えば医療費に関しては健康保険組合などの保険者と国税庁が情報連携することになる。マイナポータル本格運用開始を2017年1月と予定していたものが、連携が難航したために7月・10月と2度にわたって延期した。

健康保険分野については情報連携は全面延期とも報道されている。マイナポータルによる集計簡略化に関しても、実際にいつから申告できるのかが見えてこない。

マイナポータル連携が遅れても集計簡略化にはなる

医療費控除は、領収書を集めて集計するのに手間労力がかかり、なくした領収書があると集計対象外となってしまう。医療費のお知らせが提出対象になるというだけでも、集計漏れを無くすことができる。

早期にマイナポータルで連携が行われるのが望ましいが、医療費控除による所得税還付申告の面倒さから避けてきた層にとっては一段ハードルが下がることになる。所得控除であるため、税率の高い高所得層ほど還付効果も高いと言える。(石谷彰彦、ファイナンシャルプランナー)

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