基礎控除とは?

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(画像=PIXTA)

所得税の計算をする際に、所得の合計から差し引くことができる仕組みが所得控除で、合計14種類ある。

医療費控除や配偶者控除や扶養控除等、納税者の条件に応じて、使える控除と使えない控除がある。

●基礎控除額が48万円に

2020年の税制改正で、それまで38万円だった基礎控除額が、48万円に引き上げられた。年収要件も加わり、基礎控除額が10万円上がって負担軽減の人も多いが、一定の年収以上の人には負担増となる。

●相続税の基礎控除

所得税だけでなく、相続税にも基礎控除がある。こちらは一律ではなく、相続税の基礎控除は3000万円+600万円×相続人の数となっている。控除額内に収まれば、相続税を払う必要はない。

相続税の基礎控除

亡くなった人から、取得した財産に対してかけられるのが相続税である。

預貯金、不動産、有価証券など、あらゆる財産が相続財産となる。その相続財産が一定額を超えると、相続税の申告と納付手続きが必要となる。

手続きは相続開始(被相続人の死亡)を知った日の翌日から10カ月以内となっている。

相続税は基礎控除額以内なら申告も納税も必要ない。

●平成27年に相続税の基礎控除改正

平成27年1月1日より、相続税の基礎控除が引き下げられた。

国税庁によると、平成30年分の相続税の課税割合は約8.5%だった。平成26年までおおむね4%台だったことを考えれば、基礎控除の改正で、相続税の課税対象者が倍増したことになる。

●相続税の基礎控除の計算方法

改正前は5,000万円+1,000万円×相続人の数が基礎控除額だった。

改正により、3,000万円+600万円×相続人の数に改正された。

4人家族(夫婦子供二人)で、夫が亡くなれば、4,800万円までの相続財産なら相続税はかからない。

●相続税の配偶者控除

法定相続分で言えば、配偶者は2分の1の相続財産を受け取れることになっている。そのため、相続税の負担も重くなってしまう可能性もある。

配偶者には、1億6000万円までか配偶者の法定相続分相当額までは相続税がかからないことになっている。つまり、1億6,000万円以内なら、相続財産を全て配偶者に相続させれば、相続税がかからないことになる。

ただしその場合、配偶者が亡くなって、子に相続する際に相続税の負担が重くなることになるので、先のことも考えて相続しなければならない。

基礎控除はいつの間にか引かれている?

所得税の基礎控除は全ての人に該当する税であるから申告も必要ない。源泉徴収で納税している人にとっては、基礎控除は勝手に引かれているイメージだろう。

所得税は48万円の控除額を想定しているので、所得税48万円以内なら税金をかけない。

もし、所得が48万円以下にもかかわらず、所得税が徴収されていたら、還付申告すれば、税金が戻ってくる。

2020年基礎控除の改正

2020年から税制改正により、基礎控除が38万から48万円に引き上げられた。同時に給与所得控除は原則10万円引き下げられている。そのことによって、負担増になる人が居る。

●減税?増税?

令和元年(2019年)分以前は、年収に関わらず一律38万円だった。

基礎控除が48万円になるのは、合計所得が2,400万円以内の人だけで、2,400万円超の人は段階的に16万円ずつ控除額が下げられる。

●基礎控除ゼロの人も

令和元年以前の基礎控除なら、高額所得者でも基礎控除を受けられない人は居なかった。

2,400万円超2,450万円以下なら32万円に、2,450万円超2,500万円以下なら16万円に引き下げられ、2,500万円超なら基礎控除額はゼロとなる。

住民税の基礎控除

2020年の税制改正で、所得税の基礎控除が引き上げられたが、住民税も同様に引き上げられる。

基礎控除額が33万円から43万円に引き上げられ、年収要件もある。令和3年以降の個人住民税から適用される。

基礎控除と給与所得控除の改正

基礎控除の引き上げと、給与所得控除額の引き下げも同時に行われる。

結局、払う税金はどうなるのか?

●給与所得控除の改正

給与所得控除は、給与から一定額を必要経費とみなして差し引いて控除するものであり、改正前から収入金額に応じて控除額が設定されていた。

2017年~2019年
給与所得=収入金額-(収入金額×(40%~10%)+18万円~120万円)

2020年以降
給与所得=収入金額-(収入金額×(40%~10%)+8万円~110万円)

収入金額に掛ける率(40%~10%)は今まで通りだが、それに加えた額がそれぞれ10万円引かれることとなった。

年収850万円以下の人にとっては、基礎控除が10万円引き上げられても、給与所得控除で控除出来る額も10万円減ったので、増税にも減税にもならない。

●合計所得850万円以上の人にとっては増税

合計所得660万円超1,000万円以下の人は2019年まで、収入金額×10%+120万円が控除されていた。合計所得1,000万円超の人は一律200万円が上限だった。

2020年の改正では、合計所得660万円超850万円以下の人はそのままで、年収850万円超の人は一律195万円が上限の控除額に下げられた。

同じ合計所得850万円なら給与所得控除で20万円控除できなくなる。基礎控除で10万円控除額が上がっても、マイナス10万円となる。10万円分が控除できなくなる。

高所得のサラリーマンのための所得金額調整控除とは?

850万円以上のサラリーマンには増税となるのが今回の基礎控除の引き上げである。2018年の改正でも合計所得が1195万円超の人にとっては、配偶者控除が受けられなくなっている。

子ども・特別障害者等が居る人に増税での負担を軽減するために、所得金額調整控除という制度が2020年から適用されることとなった。

●対象者は?

所得金額調整控除は、子どもと特別障害が居て、合計所得850万円以上の人が受けられる制度である。

23歳未満の扶養親族、納税者本人が特別障害者もしくは同一生計の配偶者又は扶養親族が特別障害者であれば適用範囲となる。

●特別障害者とは?

特別障害者の対象は、身体障害者手帳で障害等級1級又は2級に記載されているか精神障害者福祉手帳で障害等級1級に記載されているか、他には重度の知的障害や介護が必要な状態であること等が対象となる。

●控除額は?

所得金額調整控除の計算は、

(収入-850万円)×10%=控除額

となる。

1,000万円なら、15万円控除され、税率が20%なので3万円税金が軽減されることになる。1,000万円以上は1,000万円としてカウントされる。

これは夫婦で使うことができるので、夫婦ともに850万円超えているなら二人分使えることになる。

給与所得者の基礎控除申告書

基礎控除の改正に伴い、2020年の年末調整から提出する書類も変わることとなった。

●給与所得者の基礎控除申告書

2019年までの給与所得者の配偶者控除等申告書は、給与所得者の基礎控除申告書及び所得金額調整控除申告書と兼用になり、「給与所得者の基礎控除申告書及兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という書類の提出が必要となる。

●年末調整のために提出方法は?

年末調整で、配偶者控除、基礎控除、所得金額調整控除申告書を受ける人は提出が必要となる。

提出時期は、その年の給与等の支払いを受ける日の前日までに提出しなければならない。

基礎控除改正で気をつけたいトラブル

2020年は基礎控除改正以外にも、それに伴う給与所得控除の改正もある。それ以外にも、所得金額調整控除の創設や寡婦控除の改正とひとり親控除の創設もあり、住宅借入金等特別控除の区分追加もある。

一つだけでも混乱しそうだが、特に基礎控除については今まで提出が必要なかった控除なだけに戸惑いやトラブルになりかねない。

自動計算ソフトを使っており、今年の改正に対応していないなら、計算が変わってしまう。源泉徴収額が間違っていて、還付しないといけないとか後で不足分をもらわないといけないということもありうる。

基礎控除の引き上げによって、配偶者控除・扶養控除も48万円以下になり、配偶者特別控除も同様に10万円引き上げられる。38万円の感覚でいてしまうと、ミスにつながる。

青色申告の改正点

不動産所得、事業所得、山林所得がある人は青色申告をしなくてはならない。基礎控除の引き上げによって、青色申告にも影響がある。

ます、青色申告自体がわからないという人も多いだろう。

●青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の違いは、届け出の有無である。

青色申告は、申告承認の手続きと帳簿の記録と添付が求められる。帳簿には7年間の保存義務がある。 青白申告の手続きをすれば、基礎控除に加えて10万円か65万円の特別控除(2019年まで)を受けられる。

10万円の特別控除なら単式簿記、65万円の特別控除を受けるには貸借対照表と損益計算書を提出しなくてはならない。

●青色申告の改正点

2020年からの税制改正によって、青色申告の65万円の特別控除が変更される。

基礎控除は48万円に引き上げられるが、青色申告の特別控除は55万円に引き下げられる。

ただし、e-taxによる電子申告もしくは電子帳簿保存を行えば、65万円の特別控除を受けられる。

基礎控除引き上げによる103万円の壁はどうなる?

扶養控除内で働く、いわゆる103万円の壁が存在する。

103万円の壁では、給与所得控除+基礎控除を合わせると103万円になるのでこれを超えた額については税金がかかる。

例えば、配偶者控除なら今までは基礎控除内の38万円以内の合計所得なら、配偶者控除が受けられた。基礎控除は48万円に引き上げられたが、同時に給与所得控除も65万円から55万円になったので、プラスマイナスゼロなので、103万円の壁に変更はない。

結局、合計所得が48万円以内となっても、配偶者の給与収入が103万円以下なら、控除を受けられるので今まで通りとなる。

まとめ

相続税の基礎控除改正は平成27年から始まったが、今回の基礎控除改正も相続税の基礎控除改正と同様に富裕層への増税の意味合いが強い。

今回の基礎控除の改正は、給与所得控除がないフリーランス等には10万円控除が増えたことになる。 今後もこういった税制改正は頻繁にあり、自営業の人も会社勤めしている人も注意深く、チェックしておいた方がいいだろう。