会社員は、基本的に自分で確定申告することはないため、税金の仕組みに関する知識が乏しい人はいるだろう。自分が納める税金の計算方法についても、理解している会社員は少ないはずだ。この記事では、会社員が納める税金の仕組みや税金の計算方法、特に所得控除について解説する。
本記事は2022年2月の情報をもとに、最新の情報に更新し、公開しています。
所得控除とは何か?
所得控除とは、納税者の個々の事情に合わせ、個人の所得から一定の金額が差し引かれ、課税される所得額が減額される制度である。所得税は、1年間の所得額に対して課税されるため、その額が小さくなればなるほど、負担する税金が低くなる。
所得控除には、以下の15種類がある。種類と各所得控除の対象者は、以下のとおりである。
基礎控除
すべての納税者(所得額2500万円を超える人は除く)
配偶者控除
年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が103万円以下の世帯
配偶者特別控除
年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が150万円以下の世帯
扶養控除
扶養している親族がいる納税者
医療費控除
納税者、生計を一とする家族の年間医療が10万円を超える世帯
寄附金控除
国、地方公共団体(ふるさと納税を含む)、特定公益増進法人、社会福祉法人などに寄附をした納税者
社会保険料控除
各種社会保険料を支払った納税者。対象になる社会保険は、健康保険、国民年金、厚生年金保険などの本人負担分、国民健康保険の保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、労働保険料(雇用保険)の本人負担分、国民年金基金や厚生年金基金の掛金、その他、一定の社会保険料
生命保険料控除
生命保険、介護医療保険、民間の個人年金に加入している納税者。控除額は生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の合算で最大12万円
地震保険料控除
特定の損害保険のうち、地震に関する損害部分の保険料や掛金を支払った納税者
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済の掛金を支払った納税者
寡婦控除
夫と死別、あるいは夫と離婚した後、婚姻をせず、生計を一にする子がいる納税者。総所得金額などが48万円以下、または他の人の同一生計配偶者や扶養親族を除く
ひとり親控除
原則としてその年の12月31日時点で婚姻をしていないこと。または、配偶者の生死が明らかでない人のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる納税者。令和2年度分より「寡夫控除」に代わって適用される。
- その人と事実上、婚姻関係と同様の事情にあると認められる人がいないこと
- 生計を一にする子がいること。この場合の子は、その年分の総所得金額などが48万円以下で、ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られる
- 合計所得金額が500万円以下であること
勤労学生控除
勤労による所得があり、所得金額が65万円以下、2020年分以降は75万円以下で学生、生徒である納税者
障害者控除
自分自身、あるいは扶養家族が障害者である納税者
雑損控除
震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの災害、盗難、横領などによって資産に被害を受けた納税者。詐欺、恐喝は含まれない
所得控除の額の合計額とは?
所得控除の全種類に当てはまる人は皆無だろう。それでも多くの納税者は、いくつかの所得控除が適用されるはずだ。
「ちりも積もれば山となる」ではないが、所得控除の金額を合計すれば少なからぬ金額になるはずである。その金額を所得から差し引いたものが所得額となり、その金額に課税されることになる。
会社員の納税の仕組みとは?
●計算のステップ
会社員の税金は、次の3つのステップで計算される。
・1年間の給与収入(額面)から給与所得控除を差し引いて、給与所得を算出する
・給与所得から、扶養控除などの各種控除を差し引いて、課税される所得を算出する
・課税される所得に税率を掛けて、税金額を算定する
●会社の役割
日本では、所得税などの税金は申告制度になっている。本来であれば、納税者は自らの年収に基づいて税額を申告し、税金を納付しなければならない。
個人事業主などは確定申告を行って、税額を申告しているが、会社員は違う。ほとんどの会社員は、会社が1年間の給与収入から税金を簡易的に計算し、毎月の給与から天引きするという方法を取っている。この方法が源泉徴収である。
●年末調整
会社では、簡易的な方法で税金を計算するため、実際の税金との間で誤差が生じてしまう。そこで年に1回、「年末調整」でその誤差を調整する。
ほとんどの場合、年末調整前までに、源泉徴収によって税金を多く納めているため、年末調整で余計に納めた税金を個々の会社員に還付する手続きが取られることになる。
源泉徴収票とは?
源泉徴収票とは、会社から各社員に、1年に1回交付される文書のことである。この文書には、1年間に支給された給与、ボーナスなどの総額や納めた所得税の金額が記載されている。
所得税は、給与収入から健康保険料、厚生年金料などの社会保険料を差し引いた課税所得に課税される。 源泉徴収票には、課税所得額が記載されており、所得税がどの金額に課税されたかがわかる仕組みにな っている。
源泉徴収票が会社員に交付されるのは、年末調整の計算が終わった時期(12月から翌年1月までの間) と、会社員が退職したときである。年末調整の計算が完了した源泉徴収票には、1年間の給与収入、所得税が記載されている。また年の途中で退職した会社員の源泉徴収票には、その年の1月1日から退職日までの内容が記載されている。
源泉徴収票を簡単に表すと、以下のようになる。
支払いを受ける者 | 住所又は居所 | 受給者番号・個人番号 | |||
役職名 | |||||
氏 名 | |||||
種別 | 支払金額 | 給与所得控除後の金額 | 所得控除の額の合計額 | 源泉徴収税額 |
源泉徴収票の内訳
●支払金額
支払金額とは、会社が各社員に支給した1年間の給与の合計額である。税金、社会保険料などが差し引かれる前の金額で、一般的に「額面」といわれる金額である。
●給与所得控除後の金額
給与所得控除後の金額とは、支払金額から給与所得控除額を引いた金額である。給与所得控除額は、年収に応じて変わってくる。
例えば、2021年の給与収入が500万円の場合、給与控除額は、「収入金額×20%+44万円」で求められるので、「500万円×20%+44万円=100万円+44万円=144万円」となる。よって、給与所得控除後の金額は、「500万円-144万円=356万円」となる。
●所得控除額の合計額
所得控除額の合計額とは、給与控除額以外の所得控除の合計額のことである。毎月の源泉徴収ですでに計算された所得控除と年末調整で計算される所得控除が合算された金額である。
すでに源泉徴収された所得控除とは、社会保険料、配偶者控除、扶養控除、基礎控除の合計だ。年末調整では、会社員から申請された生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除などの合計額が、源泉徴収された所得控除額に加算されることになる。
●源泉徴収税額
源泉徴収税額とは、最終的な1年間の所得税の金額である。源泉徴収ですでに納めた所得税額ではなく、年末調整後の最終的な税金の額である。
所得控除の額の合計額にまつわるQ&A
所得控除とは何か?
所得控除とは、ある一定の基準を満たす場合に、所得から一定の金額が控除される制度である。これにより、所得税などが課税される所得額が減額され、税金が軽減される。
所得控除とは、ある一定の基準を満たす場合に、所得から一定の金額が控除される制度である。これにより、所得税などが課税される所得額が減額され、税金が軽減される。
所得控除の額の合計額とは?
所得控除には、基礎控除、配偶者控除など15種類ある。これらの控除をすべて合計し、所得金額から差し引き、その残額に所得税などの税金がかかる。
所得控除には、基礎控除、配偶者控除など15種類ある。これらの控除をすべて合計し、所得金額から差し引き、その残額に所得税などの税金がかかる。
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公開日:2020年11月22日
更新日:2022年2月17日
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