会社員とは違って、個人事業主は自分で税の申告をしなければならず、毎年苦労している人が少なくない。確定申告を行う際には、少しでも節税するために、所得税を減らす工夫をする人も多いが、問題になるのが「所得控除」である。今回は、所得控除と確定申告の方法を詳しく説明する。

井上 通夫
井上 通夫
行政書士。大学卒業後、大手信販会社、大手学習塾などに勤務後、福岡市で行政書士事務所を開業。現在、相続・遺言、民事法務(内容証明、契約書、離婚協議書等の作成)、公益法人業務、各種許認可業務など幅広く担当。

所得控除にまつわるQ&A

所得控除,種類,確定申告
(画像=PIXTA)
Q


所得控除とは何か?

所得控除とは、ある一定の基準を満たす場合に、所得から一定の金額が控除される制度である。これにより、所得税などが課税される所得額が減額され、税金が軽減されることになる。

所得控除とは、ある一定の基準を満たす場合に、所得から一定の金額が控除される制度である。これにより、所得税などが課税される所得額が減額され、税金が軽減されることになる。


Q


所得控除にはどのようなものがあるのか?

所得控除には、以下の14種類がある。種類と各所得控除の対象者は、以下のとおりである。

基礎控除……すべての納税者(ただし、2020年から所得額2500万円を超える人は除く)
配偶者控除……年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が103万円以下の世帯
配偶者特別控除……年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が150万円以下の世帯
扶養控除……扶養している親族がいる納税者
医療費控除……納税者、生計を一とする家族の年間医療が10万円を超える世帯
寄附金控除……一定の寄付金を支払った納税者
社会保険料控除……各種社会保険料を支払った納税者
 控除の対象となる社会保険は、健康保険、国民年金、厚生年金保険などの保険料の本人負担分、
 国民健康保険の保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、労働保険料(雇用保険)の本人負担分、
 国民年金基金や厚生年金基金の掛金、その他一定の社会保険料である。
生命保険料控除……生命保険、介護医療保険、民間の個人年金に加入している納税者
 控除額は生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の合算で最大12万円である。
地震保険料控除……特定の損害保険のうち、地震に関する損害部分の保険料や掛金を支払った納税者
小規模企業共済等掛金控除…小規模企業共済の掛金を支払った納税者
寡婦控除……夫と死別、あるいは夫と離婚した後、婚姻をせず、生計を一にする子がいる納税者
 (ただし、総所得金額等が48万円以下、または他の人の同一生計配偶者や扶養親族を除く)
寡夫控除……合計所得金額500万円以下で、妻と死別、あるいは妻と離婚した後、婚姻をせず、生計を一にする子がいる納税者
 (ただし、総所得金額等が48万円以下、または他の人の同一生計配偶者や扶養親族を除く)
勤労学生控除……勤労による所得があり、所得金額が65万円以下、2020年(令和2年)分以降は75万円以下で学生、生徒である納税者
障害者控除……自分自身、あるいは扶養家族が障害者である納税者
雑損控除……震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの災害、盗難、横領などによって、資産に被害を受けた納税者(ただし詐欺・恐喝は含まれない)

所得控除には、以下の14種類がある。種類と各所得控除の対象者は、以下のとおりである。

基礎控除……すべての納税者(ただし、2020年から所得額2500万円を超える人は除く)
配偶者控除……年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が103万円以下の世帯
配偶者特別控除……年収1220万円以下の納税者で、配偶者の所得額が150万円以下の世帯
扶養控除……扶養している親族がいる納税者
医療費控除……納税者、生計を一とする家族の年間医療が10万円を超える世帯
寄附金控除……一定の寄付金を支払った納税者
社会保険料控除……各種社会保険料を支払った納税者
 控除の対象となる社会保険は、健康保険、国民年金、厚生年金保険などの保険料の本人負担分、
 国民健康保険の保険料、後期高齢者医療保険料、介護保険料、労働保険料(雇用保険)の本人負担分、
 国民年金基金や厚生年金基金の掛金、その他一定の社会保険料である。
生命保険料控除……生命保険、介護医療保険、民間の個人年金に加入している納税者
 控除額は生命保険料・介護医療保険料・個人年金保険料の合算で最大12万円である。
地震保険料控除……特定の損害保険のうち、地震に関する損害部分の保険料や掛金を支払った納税者
小規模企業共済等掛金控除…小規模企業共済の掛金を支払った納税者
寡婦控除……夫と死別、あるいは夫と離婚した後、婚姻をせず、生計を一にする子がいる納税者
 (ただし、総所得金額等が48万円以下、または他の人の同一生計配偶者や扶養親族を除く)
寡夫控除……合計所得金額500万円以下で、妻と死別、あるいは妻と離婚した後、婚姻をせず、生計を一にする子がいる納税者
 (ただし、総所得金額等が48万円以下、または他の人の同一生計配偶者や扶養親族を除く)
勤労学生控除……勤労による所得があり、所得金額が65万円以下、2020年(令和2年)分以降は75万円以下で学生、生徒である納税者
障害者控除……自分自身、あるいは扶養家族が障害者である納税者
雑損控除……震災、風水害、冷害、雪害、落雷などの災害、盗難、横領などによって、資産に被害を受けた納税者(ただし詐欺・恐喝は含まれない)


Q


所得控除と給与所得控除の違いは?

所得控除は、収入から一定の金額が控除される制度で、主に個人事業主が確定申告する際に適用される。一方、給与所得控除は、会社員などの給与所得者に適用される制度で、所得税を算定する際に、1年間の給与所得に応じて一定の金額が控除される制度である。

所得控除は、収入から一定の金額が控除される制度で、主に個人事業主が確定申告する際に適用される。一方、給与所得控除は、会社員などの給与所得者に適用される制度で、所得税を算定する際に、1年間の給与所得に応じて一定の金額が控除される制度である。

所得控除とは?

所得控除とは、所得から一定の金額を差し引く制度である。所得税は、1年間の所得額に対して課税されるため、その額が大きければ大きいほど納税額が高くなる。

そこで、納税者の個々の事情に合わせて所得額を減らすことで所得税を低くし、税負担を軽くする措置が取られている。所得控除は全部で14種類あり、適用条件や金額は、納税者の事情によって異なる。

所得控除と給与所得控除の違いは?

所得控除と名称が似ているものに、給与所得控除がある。

所得控除とは、前述のように、確定申告を行う際に、所得(売上-必要経費)から差し引かれる金額のことである。所得控除は、所得税額などを計算する際に、納税者の個人的事情を加味するためのものだ。

一方、給与所得控除とは、会社員などの収入から差し引かれる金額のことである。一般的に必要経費が認められない会社員について、給与収入から一定の金額を差し引いて課税するというものだ。なお、差し引かれる収入には、給与ボーナス、住宅手当、家族手当なども含まれる。

所得控除の種類

所得税控除には、「物的控除」と「人的控除」がある。

物的控除とは、一般的に支出に対する控除で、家事上の支出や損失について、控除するものである。また人的控除とは、一般的に人に対する控除で、個人の事情について控除するものである。各控除については、以下に詳しく列記する。

●物的控除

1.雑損控除

災害、盗難、横領によって、資産に損害を被った場合に適用される控除である。次の2つのうち、 多いほうの金額が控除額となる。

・(差引損失額)-(総所得金額等)× 10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)- 5万円
※災害関連支出の金額……災害により滅失した住宅、家財などを取壊または除去するために支出した金額

2.医療費控除

1年間に本人、配偶者、その他家族が一定額を超える医療費を支払った場合に適用される控除である。実際に控除される金額は、以下の計算式で求められる。(最高200万円まで)
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)- 10万円(※)
※総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%

3.社会保険料控除

1年間に本人、配偶者、その他家族が社会保険料を支払った場合に適用される控除である。社会保険料とは、健康保険料、国民年金保険料、厚生年金保険料などである。

4.小規模企業共済等掛金控除

納税者が、小規模企業共済等の掛金の支払いがある場合に適用される控除である。小規模企業共済とは、小規模企業の経営者、役員の退職金を拠出するために積み立てる共済である。    5.生命保険料控除

納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合に適用される控除である。

2012年(平成24年)1月1日以降に締結した保険契約の場合の控除額は、以下のとおり。

 年間支払保険料等  控除額
 2万円以下  支払保険料等の全額
 2万円超 4万円以下  支払保険料等×1/2+1万円
 4万円超 8万円以下  支払保険料等×1/4+2万円
 8万円超  一律4万円

2011年(平成23年)12月31日以前に締結した保険契約の場合の控除額は、以下のとおり。

 年間支払保険料等  控除額
 2万円以下  支払保険料等の全額
 2万円超 4万円以下  支払保険料等×1/2+1万2500円
 4万円超 8万円以下  支払保険料等×1/4+2万5000円
 8万円超  一律5万円

     6.地震保険料控除

地震保険料を支払った場合に適用される控除である。控除額は、以下のとおり。

 年間支払保険料等  控除額
 5万円以下  支払金額の全額
 5万円超  一律5万円

7.寄附金控除

納税者が、国、地方公共団体、特定公益増進法人などに、寄附をした場合に適用される控除である。控除額は、次の2つのうち、いずれか低い金額から2000円を差し引いた額である。

・1年間に支出した特定寄附金の合計額
・1年間の所得金額などの40%

●人的控除

1.寡婦(寡夫)控除

配偶者と死別または離婚をして、一定の要件を満たす場合に適用される控除である。控除される 金額は、原則27万円であるが、特別の寡婦は35万円になる。    2.勤労学生控除

納税者が、勤労学生の場合に適用される控除である。控除額は27万円である。

3.障害者控除

納税者または納税者と生計を同じくする配偶者・扶養親族が障害者の場合に適用される控除で ある。控除金額は、障害者が27万円、特別障害者が40万円、同居特別障害者が75万円である。

4.配偶者控除

納税者に控除対象配偶者がいる場合に適用される控除である。対象となる配偶者は、以下の4つ の要件をすべて満たす必要がある

・民法の規定による配偶者であること(内縁者は除く)
・納税者と生計を一にしていること
・年間の所得金額が38万円以下、2020年(令和2年)分以降は48万円以下であること
・白色申告専従者、青色申告専従者でないこと

控除額は、以下のとおり。

 納税証明書の所得額  控除額
一般の控除対象配偶者  老人控除対象者配偶者 
 900万円  38万円  48万円
 900万円超950万円以上  26万円  32万円
 950万円超1000万円以下  13万円  16万円

5. 配偶者特別控除

配偶者控除が適用されない配偶者がいる場合に、配偶者の所得額に応じて適用される控除である。対象となる配偶者は、以下の3つの要件をすべて満たす必要がある。

・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得金額が38万円超123万円以下、2020年(令和2年)分以降は48万円超133万円以下であること
・白色申告専従者、青色申告専従者でないこと

控除額は、以下のとおり。

   納税者の所得額 
 (↓)配偶者の合計所得金額  900万円以下  900万円超
 950万円以下
 950万円超
 1000万円以下
 48万円超 95万円以下  38万円  26万円  13万円
 95万円超 100万円以下  36万円  24万円  12万円
 100万円超 105万円以下  31万円  21万円  11万円
 105万円超 110万円以下  26万円  18万円  9万円
 110万円超 115万円以下  21万円  14万円  7万円
 115万円超 120万円以下  16万円  11万円  6万円
 120万円超 125万円以下  11万円  8万円  4万円
 125万円超 130万円以下  6万円  4万円  2万円
 130万円超 133万円以下  3万円  2万円  1万円

6. 扶養控除

その年の12月31日現在の年齢が16歳以上の扶養家族がいる場合、適用される控除である。

控除額は、以下のとおり。

   控除額
 一般の控除対象扶養親族  38万円
 特定扶養親族(19歳以上23歳未満)  63万円
 老人扶養親族(70歳以上)・同居老親等以外の者  48万円
 老人扶養親族(70歳以上)・同居老親など  58万円

7. 基礎控除

納税者本人の控除で、控除額は一律38万円である。ただし、2020年(令和2年)分以降は、納税者本人の所得額によって、金額が異なる。

所得控除の計算方法

所得控除は、確定申告の際に申告する。

簡単に説明すると、まず1年間の事業収入から経費を差し引き、所得を算出する。経費は、売り上げのために必要となる費用に限られ、基本的に領収証が保存できるものである。次に、所得金額から該当する各種控除の金額を差し引く。算定された金額が、課税対象となる所得額である。

所得控除の確定申告のやり方

確定申告書Bの収入金額等欄に1年間の収入金額を記入し、その収入金額から必要経費を差し引いた金額を所得金額欄に記入する。

さらに、その下にある所得から差し引かれる金額欄に該当する控除の金額を記入し、下部にすべての控除の合計額を記入する。所得金額から控除合計額を差し引いた金額に所得税がかかることになる。