本記事は、高田 一洋氏の著書『マンション売却の錬金術:「マンションを売りたい」と思ったら最初に読む本』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
55平米2LDKは最強マンション
マンション選びにおいて、かつては「広さこそ正義」といった価値観が主流でした。しかし近年では、広さよりも機能性や価格、将来的な選択肢の多さといったバランスの良さに注目が集まるようになっています。そうした視点で見たとき、「55平米の2LDK」という間取りは、住み替えや資産活用の面でも優れており、非常に合理的な選択肢であることが分かります。これは単なる好みや傾向ではなく、市場の現実が裏付けています。
私自身も実際に55平米2LDKの物件を所有していた時、住みながら売却活動を行ったことがあります。その際、内見なしで購入希望の申し出があり、結果的にすぐ契約へと進みました。まさにこのサイズの物件が、市場で非常に高い人気を誇っていることを示す一例です。
初めてのマンション購入としては無理がなく、それでいて生活空間に余裕もある。等身大で選びやすいサイズ感が、多くの支持を集めています。
家族構成の変化にフィットする万能サイズ
55平米の2LDKは、単身者から夫婦、あるいは小さな子どもがいる家族まで対応可能な汎用性があります。1LDKだと荷物が収まりきらなかったり、将来的に手狭になったりしますが、2LDKであれば一部屋を寝室、もう一部屋をワークスペースや子ども部屋として使うことができます。3LDKになると広さは申し分ないものの、購入価格や修繕積立金・管理費も跳ね上がるため、初めてのマンション購入では負担が大きくなりがちです。
その点、55平米2LDKは価格的にも手が届きやすく、それでいて使い勝手も良い絶妙なサイズ感。住み始めの満足度が高く、将来的にライフステージが変わったとしても、売却や賃貸という出口戦略を柔軟に描けるのが大きな魅力です。
売却・賃貸の両面で強い市場価値
このサイズが最強とされる理由のひとつに、資産性の高さがあります。まず、賃貸市場において55平米2LDKのような広さは非常に人気があります。単身赴任中のビジネスパーソンや、小さな子どもがいる若年夫婦にとって、こうした間取りは希少かつ実用的です。しかし一方で、供給量は少なく、なかなか市場に出てこないため、出た瞬間に申込みが入ることも少なくありません。
売却の場面でも同様です。広すぎず、狭すぎない絶妙なサイズのため、内覧者の間口が広く、購入希望者が集まりやすいのが特徴です。購入価格を抑えられるので、マーケットにおいて非常に強力なアドバンテージです。
価格が下がりにくく、キャピタルゲインも狙える
築年数が経っても価格が落ちにくいという点も見逃せません。55平米2LDKは、需給バランスが安定しているため、築古物件でも相場が大きく下落しにくい傾向があります。加えて、リノベーションによってさらなる価値向上も見込めるため、資産形成としても注目されています。
実際に私の物件も、購入から数年後に購入時より高い価格で売却することができました。これは立地やタイミングといった運の要素も絡んでいますが、それでも基礎的な「サイズの力」が働いていたのは間違いありません。住まいとしてだけでなく、資産としても魅力があるという点で、55平米2LDKは初めて購入する方におすすめする選択肢です。
半住半投という新しい考え方にもマッチ
この物件サイズは「半住半投」という考え方とも親和性が高いです。つまり、自分が暮らしながらも、いずれは売却(または貸す)でリターンを得ることを前提とした住まい選び。マンションを「消費財」ではなく「資産」としてとらえる現代的な視点では、柔軟性と汎用性を兼ね備えた物件が求められています。
広すぎる部屋では予算が合わず、狭すぎれば住みにくい。そんなジレンマを解決する最適解として、55平米2LDKは非常に優れたバランスを持っています。購入時から出口までの見通しが立てやすく、経済合理性と居住満足度を両立できるからこそ、多くの人にとって「最初の1軒」にふさわしいと言えます。
リセールの掟
広すぎず、狭すぎず、使い勝手の良い55平米2LDKは、暮らしと資産の両面を支える「最強の布陣」。
1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産売買仲介営業・マンション販売・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師などを務める。自身の住み替え実体験や豊富な不動産知識に加え、20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。人気YouTubeチャンネル「東京不動産マニア」に出演中。著書に『高級マンション超活用術』(みらいパブリッシング)がある。
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