失業保険,扶養
(写真=Thinkstock/GettyImages)

離職と同時に家族の「扶養」に入る場合は、失業保険(失業給付)を受け取ることができるのだろうか。失業保険と扶養の関係、扶養に入るベストなタイミング、扶養に入る場合・扶養から外れる場合に必要な手続きについて解説する。

扶養とは

同一世帯内の家族によって生計が維持されている場合を「扶養されている状態(被扶養者)」とする。税金を扱う際の「扶養」と、健康保険や年金の「扶養」は、管轄も条件も異なるものだ。

・税制上の扶養
扶養控除は、納税者と生計を同じくしている親族などの人で、年間の合計所得金額が38万円以下(給与所得のみを得ている場合は給与収入が103万円以下)の場合に対象となる。

被扶養者となると、生計を立てている納税者の課税所得から38万円が控除されるのだ。対象者が配偶者のときは、扶養控除ではなく配偶者控除が適用され、やはり38万円が控除されることになる。

・健康保険・年金の扶養
健康保険にも「被扶養者」というものがある。健康保険の被保険者と生計を同じくする配偶者や家族で、年収が130万円未満(被保険者と被扶養者が同居の場合は、被扶養者の年収が健康保険加入者の2分の1未満)ならば被扶養者とされ、保険料を支払う必要はない。

厚生年金の被保険者の配偶者で年収が130万円未満の場合は、国民年金保険料の支払いも免除されるが、国民年金保険料を支払っているとして金額と期間は加算される。

失業保険と扶養の関係

失業保険の受給条件には「結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき」は、失業保険を受け取ることができないとされている。結婚を機に仕事を辞めて配偶者控除の対象になる場合は、結果的に失業保険を受け取ることもできないということになる。

また「定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき」も、失業保険を受け取ることはできないとされている。したがって、離職して家族の扶養になろうと考えている場合も、必然的に失業保険を受け取ることができないことになる。

扶養に入るべきタイミング

では、どのタイミングで家族の扶養に入ることがベストといえるだろうか。

・失業保険の受給期間が終わってからがベスト
失業保険を受給するためには、家族の扶養に入らずに今後も再就職する意思があることを示す必要がある。家族の扶養に入っていないということは、国民年金保険料や国民健康保険料の支払い義務があることになり、支出も生ずることになる。失業中ということを申請すれば、国民年金保険料の支払いは猶予されるが、免除されるわけではないので注意が必要だ。

だが、フルタイムで働いていたならば、国民年金保険料(2016年度の保険料は月に1万6260円)と国民健康保険料(自治体によって異なる)の月々の支払い額よりも、失業保険として受け取ることができる金額が多くなることが多いので、それぞれの保険料を支払ってでも失業保険を受け取るほうがいいだろう。

・フルタイムで働いていなかった場合は要確認
フルタイムで働いていなかった場合は、国民年金保険料と国民健康保険料の合計が、失業保険の給付金額を上回ることがある。どちらが多いのか計算してから、扶養手続きをするといいだろう。

扶養に入る・扶養から外れる場合の手続き

扶養に入るタイミングを決めたら、次は扶養に入ったり、扶養から外れたりする手続きをしなくてはならない。

・健康保険の扶養に関する手続き
「健康保険被扶養者(異動)届」に記入し、被扶養を希望する人の収入を確認できる書類(退職証明書や雇用保険受給資格者証の写し、年金受け取り金額を記載した書類など)と、被保険者と被扶養希望者の続柄を確認できる書類(世帯全員の住民票など)を、被保険者の勤務先に提出する。

・税制上の扶養に関する手続き
「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、扶養者の勤務先に提出する。配偶者控除を希望する場合も同様だ。

扶養のタイミングは大切

離職する人にとって、失業保険の給付をどのくらい受け取ることができるかは重要なことである。家族の扶養になる場合も、保険料などを計算したうえで適切な扶養のタイミングを選ぶようにしたい。