2008にふるさと納税制度が導入されてから、9年が経った。今ではこの制度もすっかり定着し、雑誌やニュースなどで返礼品などが取りざたされることも多くなった。しかし、この制度の本質は地方を活性化させることだ。地方に寄付をすると、その金額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除されるふるさと納税制度だが、その控除はどのような仕組みになっているのか。今回は、ふるさと納税の税金控除の仕組みを分かりやすく解説する。

ふるさと納税,寄付金額
(写真=PIXTA)

目次

  1. 仕組みと申告方法を理解してふるさと納税の利用を
    1. ふるさと納税の控除額の計算方法
    2. 所得税からの控除
  2. 住民税からの控除(基本分)
  3. 住民税からの控除(特例分)
  4. ふるさと納税寄付金控除の申告方法
    1. 確定申告が必要な人
    2. ふるさと納税した際の受領書などを残しておく
    3. 翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をする
    4. 住民税の控除(申告不要)
    5. 確定申告が不要な人
    6. ふるさと納税ワンストップ特例の申請書の提出
    7. 住民税の控除(申告不要)
  5. 確定申告とは
  6. 確定申告の提出方法
    1. 所轄税務署の窓口に持参
    2. 郵送で所轄税務署に提出
    3. e-Taxで送信

仕組みと申告方法を理解してふるさと納税の利用を

ふるさと納税は寄付金控除のひとつだが、一般的な寄付金控除とは異なる点がある。住民税控除の特例分という「ふるさと納税のための控除」を設けることで、地方自治体への寄付の金額から2000円を差し引いた額全額を、所得税や住民税から控除することが可能になっているのだ。

ふるさと納税寄付金控除の申告方法には、確定申告とワンストップ特例制度の2つがある。それぞれ、手続き方法やその後の控除のプロセスが異なるので、注意しておきたい。

ふるさと納税の控除額の計算方法

ふるさと納税には「納税」という言葉がついているが、寄付金控除のひとつだ。各自治体に寄付をすることで、原則として寄付額から2000円を差し引いた金額が、所得税と住民税から控除される。

例えば1万円を寄付すると、2000円を差し引いた8000円が所得税と住民税から控除される。住民税の控除は、さらに基本分と特例分に分かれる。住民税控除の特例分はふるさと納税特有のもので、他の寄付金控除にはない。寄付金の額から2000円を引いた金額の全額を控除できるように、特別に考え出されたのが特例分なのだ。ただし、住民税の特例分には一定の上限(

個人住民税所得税割の2割)があるので、注意が必要だ。ふるさと納税全体の計算式は以下のとおり。

ふるさと納税控除=所得税控除(+復興特別所得税控除)+住民税控除(基本+特例)

所得税からの控除

ふるさと納税は原則、所得税と住民税からその控除額を計算する。所得税の確定申告における寄付金控除には、所得税率を掛ける前の所得から差し引かれる「所得控除」と、所得税率を掛けた後の税額から直接差し引かれる「税額控除」があるが、ふるさと納税は所得控除に該当する。そのため、ふるさと納税をした金額から2000円を引いたものに所得税率を掛けた額が、所得税からの控除額になる。2037年12月31日までは、所得税のほかに所得税率の2.1%の税率の復興特別所得税がかかり、ここからもふるさと納税の控除がおこなわれる。所得税等から差し引かれる控除額は、以下の算式の合計額となる。

所得税からの控除額=(寄付金-2000円)×所得税率
復興特別所得税から控除額=所得税からの控除額×復興特別所得税率2.1%

所得税率は以下の表で確認できる。

所得税速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超 330万円以下 10% 9万7500円
330万円超 695万円以下 20% 42万7500円
695万円超 900万円以下 23% 63万6000円
900万円超 1800万円以下 33% 153万6000円
1800万円超 4000万円以下 40% 279万6000円
4000万円超 45% 479万6000円

※課税される所得金額は、所得金額から所得控除を差し引いた後の金額。

住民税からの控除(基本分)

ふるさと納税は所得税だけでなく、住民税からも控除される。住民税は基本分と特例分にわかれるが、基本分はふるさと納税だけでなく、寄付金控除すべてに共通の基本的な計算方法だ。ふるさと納税をした金額から2000円を引いたものに、住民税率を掛けた額が住民税からの控除額(基本分)になる。計算式は以下の通り。

住民税からの控除(基本分)=(寄付金-2000円)×住民税率10%
※住民税の内訳は道府県民税の税率が4%、市町村民税の税率が6%。

住民税からの控除(特例分)

住民税控除の特例分は、ふるさと納税をした金額から2000円を引いたもの全額が控除できるように考え出された、いわば「ふるさと納税のための控除」だ。所得税や住民税からの控除基本分から控除しきれなかったものを、特例分で控除するイメージとなる。計算式は以下の通り。

住民税からの控除(特例分)=(寄付金-2000円)-所得税からの控除分-住民税からの控除(基本分)

ふるさと納税控除に占める特例分の割合は以下の式で求められる。

特例分の税率=100%-「所得税の税率」×(100%+復興特別所得税率2.1%)-「住民税からの控除(基本分)10%

所得税率が5%の場合なら、ふるさと納税控除に占める特例分の割合は100%-5%×102.1%-10%=84.895%となり、所得税率が20%なら100%-20%×102.1%-10%=69.58%となる。所得税率が異なっていても、特例分の割合を調整することで誰もが「寄付金-2000円」の控除を受けることができるようになっている。

ただし、特例分には上限があり、個人住民税所得税割の2割と決まっている。ふるさと納税の金額から2000円をマイナスした金額が、個人住民税所得割額の20%を超える場合の特例分は、上記の計算式に関係なく個人住民税所得割額×20%となる。寄付額を考える際に考慮してほしい。

ふるさと納税寄付金控除の申告方法

ふるさと納税では、確定申告が必要な人と不要な人で申告方法が異なる。それぞれの申告方法ついて確認しておく。

確定申告が必要な人

確定申告が必要な人は個人事業主だけとは限らない。会社員でも、医療費控除を受ける場合や住宅借入金等控除の初年度などは確定申告が必要になる。確定申告をする人はたとえ会社員でも、あとで説明する「ワンストップ特例制度」を利用することができない。確定申告書の寄付金控除欄にふるさと納税の金額を記載する必要があるので、注意しておきたい。

ふるさと納税した際の受領書などを残しておく

必要な書類を残しておくことが確定申告の第一歩だ。ふるさと納税では、各自治体にお金を寄付した際に発行される受領書や納付書、払込票控が確定申告で必要になるため保管しておく必要がある。

翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をする

ふるさと納税は所得税や住民税の寄付金控除に該当する。まずは翌年の2月16日から3月15日の間に所得税の確定申告をし、保管しておいた受領書や納付書、払込票控を添付する。ふるさと納税の控除により、一般的に個人事業主の場合は確定申告で支払う所得税の金額が少なくなり、会社員の場合は毎月の給料から天引きされている所得税が翌月以降に戻ってくる。

住民税の控除(申告不要)

所得税の控除の次は住民税の控除を受けるが、市区町村などに申告をする必要はない。確定申告した情報は、申告者の住所地の自治体と共有される。また、確定申告のようにその年の税金から控除されたり、支払い済みの住民税が戻ってきたりするのではなく、自動的に翌年度分の住民税が減額される形で控除される。

確定申告が不要な人

会社員などで確定申告が不要な人は、必要な人とは申告方法が異なる。それは「ワンストップ特例制度」があるためだ。ワンストップ特例制度とは、確定申告をする必要がない人でふるさと納税を行う自治体の数が5つ以内の場合、申請書を出せば確定申告をせず、住民税のみから控除を受けることができる制度だ。

ふるさと納税ワンストップ特例の申請書の提出

各自治体にお金を寄付した時、またはその後にふるさと納税ワンストップ特例の申請書が送られてくる。この申請書に必要事項を記入し、納付した自治体に提出する。

住民税の控除(申告不要)

ワンストップ特例制度を利用したときは、所得税からの控除はない。その分も含め、自動的に翌年度分の住民税が減額される形で控除される。

確定申告とは

確定申告によってふるさと納税控除を申告する方法を見ておきたい。日本は納税者に対して、申告納税制度という制度をとっている。税金を納める側が税金を計算し、その金額を国に申告・納付しなければならない制度だ。この申告を確定申告といい、個人事業主だけでなく、会社員で医療費が多くかかったり、マイホームを購入したりしたために税金が戻ってくる場合も行うことになる。

申告期限は、翌年の2月16日から3月15日までだが、税金が戻ってくる場合には翌年1月4日から申告することが可能だ。

確定申告書には確定申告書Aと確定申告書Bがあり、一般的に会社員は確定申告書Aを、個人事業主は確定申告書Bを使う。それぞれ第一表と第二表があり、ふるさと納税に関しては第一表の「所得から差し引かれる金額」の寄付金控除欄と、第二表の住民税・事業税に関する事項にある「寄付金税額控除」の「都道府県、市区町村分」に記載が必要となる。

確定申告の提出方法

確定申告書の提出方法は次の3つがある。

所轄税務署の窓口に持参

確定申告書の提出用と控えの2部を作成し、ふるさと納税の受領書や納付書、払込票控などを添付して所轄税務署に持参する。確定申告時期になると税務署の前に特設の受付などが置かれることもあるので、そこで提出するとよい。控えには、必ず受付印を押して返却してもらう。銀行などに控えを提示する場合は、受付印の押されたものでなければならないので、控えの持参を忘れないようにしたい。

郵送で所轄税務署に提出

確定申告書は郵送で提出することもできる。特に確定申告時期になると、多くの人が税務署を訪れるので、確定申告書を提出するのにも時間がかかる。郵送なら時間のロスを防ぐことができる。郵送で提出する場合は提出用1部、控え1部、ふるさと納税の受領書や納付書、払込票控などの添付書類のほかに、必ず切手を貼った返信用封筒を同封する。後日、受付印の押された控えが郵送で返信される。

郵送で提出する場合、提出日が消印の日になるので注意が必要だ。提出期限ぎりぎりの場合はできるだけポストに投函することは避け、郵便局に持参することをおすすめする。できれば簡易書留で送付すれば安心だ。

e-Taxで送信

e-Taxで送信することで、紙ではなくデータで提出することができる。ただし、あらかじめ電子申告する旨を税務署に届け出て、カードリーダーなどの必要な道具を揃えておく必要がある。(ZUU online編集部)