公的年金控除,とは
(写真=Thinkstock/Getty Images)

長年、年金保険料を納めてきた方が、受給を開始した際に疑問に思うことの一つに「年金には税金がかかるのか」ということがある。実は、年金にも税金が課せられるのだ。ようやく老後にゆっくり暮らせると思っていても、そうした知識がないと困惑してしまう方もいるかもしれない。もちろん、各種控除が適用されるため心の準備をしておけば恐れることはない。

今回は、年金と税金の関係、そして年金の控除(公的年金控除)について解説する。


公的年金にかかる税金

年金は、税法上で「雑所得」という分類になる。雑所得とはいえ、非課税の範囲であれば、非課税となる。自身の年金受給額に応じた対応が必要である。

控除には、基礎控除、公的年金控除というものがある。それらの控除を適用した金額が一定以下であれば、税金はかからない。反対に、控除後の金額が一定以上の場合には課税対象になるということだ。

詳細は事項以降で説明するが、国民年金の老齢基礎年金だけ受給している方は非課税となる。老齢厚生年金など上乗せ分がある場合には、課税対象になる場合もあるので事前に確認してほしい。

公的年金控除とは

では、年金における控除とはどのようなものなのか見ていこう。

先ほど年金は「雑所得」にあたると説明した。本来、雑所得は20万円以上の場合一律20.315%(所得税・復興特別所得税15.315%、地方税5%)の税率で課税されるものである。そこから、基礎控除により38万円が控除される。それに加え、公的年金控除が適用されることになる。

まず、公的年金とは国民年金、厚生年金、共済年金の3つである。つまり、公的年金控除とは、それらの年金を受給しているものに適用される控除である。この基礎控除、公的年金控除を差し引いた金額が課税対象となるのだ。

控除の対象年齢

実は、公的年金控除は誰でも一律ではない。年齢によって控除額が変わってくるのだ。その年齢の基準は「65歳未満」であるか「65歳以上」であるかである。

65歳未満の方は、70万円の公的年金控除が適用される。基礎控除と併せて108万である。108万円未満の場合には控除によりすべての金額がカバーされるため、非課税である。一方、108万円以上の場合には、課税の対象となり、給与支払いの際の源泉徴収と同様、天引きされた金額が振り込まれることになる。

65歳以上の場合には、控除額が増え基礎控除を含め158万円である。こちらも同様に、158万円未満の場合には非課税となるが、158万円を超えている場合には課税対象となるのだ。

課税対象額と控除額の計算

まず、前項で説明した通り65歳という年齢が一つの基準になる。それに加え、年金の収入額に応じて控除額が異なってくる。まずはこちらの計算式を見てもらいたい。

公的年金等の収入金額の合計額(A) × 所得、年齢に応じた割合(B) − 控除額(C)

65歳未満で(A)が70万円未満の場合には、基礎控除を含めると所得金額は0になる。70万1円から129万9999円までの方の割合(B)は100%、控除額は70万円である。

つまり、120万円の年金収入があった場合には、控除額は108万となり、12万円が課税対象となる。130万円から409万9999円までの方は、(B)が75%になり、控除額(C)は37万5000円(基礎控除を含め75万5000円)と減少してしまう。

410万円から769万9999円までの方は、(B)が85%、(C)は78万5000円(基礎控除を含め116万5000円)、770万円以上の方は(B)が95%、(C)は155万5000円である。

65歳以上で(A)が120万未満の場合には、基礎控除を含めると所得金額は0円となる。120万1円から329万9999円の方は、(B)が100%、(C)は120万円になる。

先ほどと同様の金額120万円の方の場合、65歳以上になると12万円の課税対象だった部分が控除で賄われる計算になり、非課税となる。330万円から409万9999円の方は、(B)が75%、(C)が37万5000円、410万円から769万9999円までの方は、(B)が85%、(C)が78万5000円になる。770万円以上の方は、(B)が95%、(C)が155万5000円と65歳未満の場合と同様の計算になる。

控除を受ける際の注意点

ご覧いただいたように、年齢、収入に応じて控除の金額は変わってくる。自身の収入を確認し、自身の課税対象額を予め計算しておくことをお勧めしたい。

ただし、公的年金控除を受けるためには申請が必須である。65歳未満の方は108万円、65歳以上の方の場合には158万円を超える場合には、日本年金機構から「公的年金等の受給者の扶養親族等の申告書」という書類が送付される。この書類を提出しないと、控除を受けることはできない。さらに、控除を受けることができないことに加えて、申請を怠った場合には所得税率が割増しされてしまうのだ。

また、年金以外の収入がある場合にも要注意である。その場合には、総所得を把握することと、対象となる各種控除がないか事前に確認をしておくことが大切である。場合によっては、確定申告をする必要も出てくるかもしれないので、慌てることのないように日頃から自身の所得について記録をつけておくことお勧めしたい。

年金に税金がかかるのか、と落胆される方もいるかもしれないが、医療費控除など身近な控除項目はたくさんある。ぜひ、そうした知識もつけ最大限活用してほしい。

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