資格取得ランキングで上位にランクインする「FP資格」。中でも1級は難易度がかなり高いが、どのくらい大変なのか、そして仕事に役立つのだろうか。FP1級保有者の筆者が紹介する。

「FP1級」以外にも難関資格「CFP」がある 違いは3つ

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(写真=PIXTA)

FP資格の中でも難関とされているのが、「FP1級」と「CFP」だ。

FP1級の主催は金融財政事情研究会(きんざい)と日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(FP協会)で、学科試験は共通の問題だが、実技試験が異なる。前者は一般社団、後者は特定非営利活動法人だ。合格後登録することがないため、明確な資格保有者数はわからないが、2002〜15年度で両団体合わせて3万4000人ほどが合格している。

CFPはFP協会だけが主催していて、2016年5月1日時点で2万535人の認定者がいる。2つの資格には、大きな違いが3つある。

1 受験資格 FP1級は実務が必要

FP1級で学科試験を受けるためには、条件がある。「実務経験5年以上」もしくは、「2級合格者で実務経験1年以上」であることだ。CFPも受験には前段階のAFPの取得が必要になるが、AFPは2級試験が審査試験を兼ねているので、改めて準備が必要になるわけではない。

資格取得のゴールを1級合格にするなら、実務経験を積まなくてはいけないので、キャリアを考える参考にしてほしい。

FP1級の学科試験は、CFPに合格して認定者になるなど条件を満たすと免除になるので、よく調べて受験しよう。参考までに筆者は、2級・AFP→CFP合格というルートを選択したので、学科試験の免除を受け、実技試験のみの受験でFP1級を取得している。

2 資格取得後のコスト FP1級はコスト不要

FP1級は国家資格なので、取得すれば一生の資格となり、ランニングコストはかからない。常に最新の知識を持っておくためには、自分で勉強をする必要がある。

CFPは日本FP協会が認定している民間資格なので、年会費がかかる以外にも、資格更新の費用がかかる。更新は2年ごとで、30単位分(およそ30時間相当)の学習が義務付けられ、そのための受講費用も必要だ。そのお陰で、CFPの知識はいつも新鮮で、仕事に直結する情報を得ていることができるのがメリットだ。

3 国際的な資格かどうか FP1級は国内だけで通用

FP1級、CFPともに難関資格なので取る意味自体も大きいが、FP1級は日本だけで通用する資格だ。一方CFPは国際資格なので海外でも通用する。国内だけで仕事をするのであれば、FP1級があれば十分だが、グローバル社会で働くことを考えると両方取るのが一番だ。

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朝から晩までみっちり勉強? 実際どのくらい勉強するのか

筆者はFP1級を取る前、2級受験の勉強時間は休日のみ、家事や育児の空いた時間を勉強に充てるだけだった。提案書作成も含めて3カ月足らずで終了し、自分でも合格できると分かるレベルまで到達できた。

しかし、1級はまったくレベルの違うものだった。何が違うかというと、求められる知識の深さも、覚える数字の量も違う。実技問題はかなり特殊なケースを想定したものもあり、何より選択肢が増えたことが厳しかった。勉強時間も平日家事が終わって子どもが寝てからの2~3時間、休日は朝から夜まで約8時間を費やし、10カ月間かけてなんとか合格した。

FP1級を取得しても収入は上がらない?

独立を考えている人はFP1級・CFPを取ったことで自信を持てると思う。実際、筆者も独立を具体的に視野に入れることができた。

FPとして独立しても、2級と1級で仕事の単価が変わるわけではないので、すぐに収入が大幅にアップすることはあまりない。だが、仕事の紹介は受けやすくなる。同じ単価ならどちらの資格を持っている人に依頼したいかは明らかなので、結果的に収入に影響することもあるだろう。特に公共の仕事などは有利と考えられる。筆者の場合、FP1級合格後に独立したため、2級のときと比べて、仕事でこれが変わったという変化はわからない。ただセミナー講師の仕事は、FP1級とCFPを保有しているからこそ、依頼されるのではないかと考えている。

1級の凄さは金融業界では知られているため、会社員が取得した場合、資格手当の額が上がり、昇給や昇格にも影響を与えるだろう。FPの認知度は相当高くなってきたので、1級となれば社内セミナーなどの講師に抜擢される可能性も高い。講師の実績などがあれば、人事考課に良い影響も期待できる。

FP1級はかなりの難関資格だ。だからこそ取る意味がある。筆者の経験をもとにご紹介したが、何の資格を取得するか悩んだときには、参考にしてみると良いだろう。

小野 みゆき
FP1級技能士・CFP・社会保険労務士・1級DCプランナー。企業で経理・人事業務を経験した後、司法書士事務所で不動産・法人・相続登記業務を経験。生命保険・損害保険代理店などを経て2014年にレディゴ社会保険労務士・FP事務所を開業。 FP Cafe 登録FP

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