本記事は、内藤 誼人氏の著書『仕事は心理戦が9割』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

仕事は心理戦が9割
(画像=fizkes/stock.adobe.com.jpeg)

デスクを見れば、その人の性格は丸わかり

● 机がきれいな人は、努力家タイプ

机の上をきちんとしている人もいれば、驚くほど汚くしている人がいる。私がもし上司なら、大切な仕事をまかせるときには、おそらく机の上がきちんとしている人を選ぶだろう。
なぜかというと、その人がどんな人なのかは、机の使い方を見ればだいたいわかるからである。

机の上をきれいにしておく人は、計画的で、責任感のある努力家タイプである。
こういう人は計画的に行動するので、スケジュールもきちんと守ってくれるし、性格的に勤勉なので、最後まできちんとやってくれそうである。
「机の上を見ただけで、そんなことがわかるのですか?」と疑問に思う人もいるだろう。けれども、本当にわかってしまうのである。

● 机がきれいな人は、誠実性が高い

テキサス大学のサミュエル・ゴスリングは、不動産、広告代理店、ビジネススクール、建築事務所、銀行と、5種類のオフィスで働く94名のスタッフに、自分が普段使っている机の写真を撮らせてもらう一方で、本人に性格テストを受けてもらった。
その結果、机の上がきちんと整理整頓されている人は、性格的に「誠実性」の得点が高いことがわかった。

「誠実性」というのは、計画性や勤勉性にかかわる性質である。机の上がきちんとしている人は、性格もきちんとした人なのだ。
机の上が散らかっている人は、仕事のやり方も雑で、中途半端なことが多い。したがって、こういう人にはとても大切な仕事はまかせられない、と判断したほうがよい。
仕事をまかせるのなら、机の上がきれいな人のほうが間違いもないので安心だ。
なお、ゴスリングは次の研究で、自宅の部屋についても同じような研究を行っているが、結果はまったく同じであった。自室がすっきり片づいている人は、性格的に真面目で勤勉な人だったのである。

● 机が片づいていない人は、仕事も中途半端!?

私たちの性格は、その人の机や部屋に表れるものだから、そちらを確認すれば、その人の性格までわかる。
俗に「仕事ができる人ほど、机もきれい」と言われるが、これは俗説ではなく、実際に正しい説だと言える。科学的にも検証済みであるから、読心術の手がかりとしても役に立つと言ってよい。

机の使い方が汚いのに、仕事だけはすべて完璧にこなせる、ということはあまり期待できない。
ひょっとすると探してみればいるかもしれないが、例外的な人である。たいていの場合、机が片づいていない人は、仕事も中途半端なところで投げ出してしまうタイプだとみなしてよいだろう。
性格的にきちんとした人になりたいのなら、まずは身の回りをキレイにするところから始めてみよう。整理整頓がきちんとできるようになると、仕事の能率もアップするかもしれない。

雰囲気のいい職場で見られる、共通の行動

● 職場でのハイタッチ、いい? 悪い?

ひとつ仕事が片づくたびに、「イエーイ!」とハイタッチし合う職場があるとする。
こういう職場ほど、スタッフの雰囲気は明るくなる。ハイタッチは、気分を盛り上げる効果があるからである。

最近は、衛生面の問題もあり、そもそも身体接触がハラスメントになる危険もあるので、ハイタッチする職場は少なくなっているのではないかと思うが、それでも雰囲気のいい職場ほどハイタッチ、あるいはそれに準ずる行動が見られる
そういう職場は、心理学的に言えば「非常によい職場」だと見抜くことができる。ギスギスした冷たい職場では、ハイタッチなど見られるわけがないからだ。

ハイ、、テクの時代こそハイ、、タッチ

カリフォルニア州立大学のマイケル・クラウスは、2008年から2009年のNBAの30チームすべての294選手について、レギュラーシーズンの最初の2カ月の試合で、得点を挙げたときに、選手同士でどれくらい触れ合うかを測定してみた。ハイタッチ、頭を触る、胸をぶつけ合わせる、ハグなどである。
すると、メンバー同士でどれくらい触れ合うかによって、シーズン終わりの勝率や個人の得点率を予測できることがわかった。触れ合うチームほど、チームとしての勝率も高くなり、個人の得点率もアップしていたのだ。

バレーボールでも、ラグビーでも、野球でも、サッカーでも、得点を挙げるたびにメンバーは、お互いに身体を触れ合わせる。なぜそうするかというと、チームが精神的にまとまり、一丸となって敵に立ち向かうことができるからである。

ハーバード・メディカル・スクールのエドワード・ハロウェルは、「ハイテク」の時代だからこそ、なおさら「ハイタッチ」が必要だと指摘している。
最近では、リモートや在宅勤務が増えたが、そんな時代だからこそ、きちんと社員同士、顔を突き合わせ、お互いにハイタッチし合うような関係づくりが求められている。

●「触れ合い」が大切なのは、今も昔も変わらない

もちろん、イヤがる人にまでハイタッチを求めるのはセクハラであり、決して強要することはできない。けれども、明るい職場づくりの一環としてハイタッチをやってみるのも悪いことではないと私は思う。

だいたい会社を辞める人が多かったり、転職率が異様に高かったりする職場は、お互いにあまり接触をせず、冷たい空気の職場である。
そういう職場では、仕事のやる気も失せてしまうのではないだろうか。少なくとも、私ならそういう職場からはさっさと逃げ出してしまう。

会社を選ぶときには、社員たちがニコニコしながらハイタッチし合っているかどうかを目安のひとつとするのもよいだろう。
職場のストレスの原因は、どんな調査を見ても第1位は「人間関係」なのであり、ハイタッチし合っている職場では、人間関係は良好と見なして間違いないからである。

仕事は心理戦が9割
内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者。立正大学客員教授。有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースにした心理学の応用に力を注いでおり、とりわけ「自分の望む人生を手に入れる」ための実践的なアドバイスに定評がある。『図解 身近にあふれる「心理学」が3時間でわかる本』『面倒くさがりの自分がおもしろいほどやる気になる本』『気にしない習慣 よけいな気疲れが消えていく61のヒント』(以上、明日香出版社)など、著書多数。

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