確定申告,年末調整
(写真=PIXTA)

年末調整をしているから確定申告は不要だ、そんな風に多くのサラリーマンは考えているかもしれない。たしかに、企業に勤めているサラリーマンであれば、年末調整により納税額が決定する。ところが、年末調整ではカバーできない控除項目が存在するのをご存知だろうか。


年末調整でカバーできない控除項目の存在

例えば、最近話題のふるさと納税。自分が居住している自治体以外に寄付をすると、特産品などのお礼の品を受け取れて魅力的だ。実は、ふるさと納税で納めたお金は、寄附金控除というものが受けられる。他に身近なところでは、家族を含め1年間の医療費が10万円を超えている場合、医療費控除というものが受けられる。

実はこれらの控除は年末調整では賄えないのだ。これにはまず、年末調整と確定申告との関係を十分理解する必要がある。ここでは、それらの違いと確定申告が必要なケース、具体的な申告の方法について解説していく。

確定申告と年末調整の関係

そもそも、年末調整とはどういうものだろうか。

サラリーマンの場合、毎月の給与から源泉徴収というかたちで所得税が引かれている。ところが、その徴収額は年収を見越した税額になっていることをまず理解していただきたい。

予測された税額ということは、実際の税額とは異なる可能性があるということである。ではどういった場合に、それらが起こりうるか。それには、控除という言葉が大きく関係している。

控除とは、実際の所得から課税対象となる金額を決定する際に、経費として考慮してもらえる項目と言い換えることができる。つまり課税対象となる金額を、各種控除によって減額し、実際に納める税額を抑えることができるということだ。

年末調整は、その一部の控除を支払者(企業)が代わりに税務署に申告してくれるシステムである。この一部というところがポイントだ。つまり、年末調整ではすべての控除項目については対応しきれないのである。

では、具体的にどのような控除が年末調整で賄われており、どのような控除が自身で確定申告をする必要があるのか見ていきたい。

年末調整でカバーできる控除・できない控除

まず、年末調整でカバーされている控除項目は以下の通りだ。

多くの方が関係する項目としては、配偶者控除、扶養控除、基礎控除、生命保険控除、地震保険料控除、住宅借入金特別控除がある。その他、障害者控除、寡婦(夫)控除、勤労学生控除、社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除も年末調整での控除対象となる。

つまり、これ以外の控除項目が該当する場合、自身で確定申告が必要となる。具体的には、家族を含め1年間で支払った医療費が10万円以上の場合、医療費控除を受けることができる。また、先に例に挙げたふるさと納税を行った場合は寄附金控除を、災害や盗難などで資産に損害を受けた場合は雑損控除を受けることができる。

該当する控除の申告の仕方

では次に、上述の控除項目に該当するものがあった場合の具体的な申告方法について説明していく。

まず、申告書の作成が必要である。申告書は、国税庁のホームページからダウンロードすることができる。加えて、源泉徴収票と各種控除項目を証明する書類を手元に用意しよう。控除項目により、必要書類は異なるがここでは、先ほど挙げた代表的な控除で必要となる書類について説明する。

医療費控除の場合、医療費の領収書だけではなく医療費の明細書が必要だ。また、1年間(1月1日〜12月31日)での医療費が10万円を超えているか、計算をしておく必要がある。

寄附金控除の場合は、寄付した団体からもらう寄付金の受領書が必要となる。ただし、特定の公益法人や学校法人などへの信託財産とするための支出の場合や政治献金の場合には受領書の他に必要となる書類がある。

雑損控除では、災害等に関連してやむを得ない支出をした金額の領収を証する書類が必要となる。

これらの必要書類を準備し、申告書を記入していく。それらを確定申告の期間内に税務署に提出することで手続きが完了し、正しい税額が確定する。

提出書類に関する注意点

注意点として、提出する医療費の領収書等は1年間しか保存されないということを覚えておこう。

提出する前に、写しを取っておくことをお勧めする。どうしても後日、領収書が必要となる場合は申告書には添付せず、提示することでそれに代えることができる。郵送で手続きをする際には、領収書等の返戻を希望する旨を書面で添え、切手と返信用封筒を同封する必要がある。

また、確定申告書の提出までに寄附金控除のための書類(政治献金を行った場合に提出)が間に合わない場合は、寄付金の受領書の写しを提出し、書類が交付されたら速やかに税務署への提出が必要となる。

今後増えていく確定申告人口

ここまで読み進めていただければ、ご自身が確定申告をする必要があるのか、判断いただけたかと思う。

昨今のふるさと納税ブームもあり、今後は確定申告が必要となる方が増えてくるのではないかと感じている。確定申告は、一度理解してしまえば難しいことはない。正しい知識を身につけ、確定申告という制度を最大限活用してほしい。