ワンルームマンションから一棟マンション、シェアハウス、ホテル経営など、様々な種類の不動産投資がある。ここ数年、不動産価格の上昇や長引く低金利が続いている影響もあり、会社員といった個人投資家にも始めやすいとワンルームマンションや一棟マンションに注目が集まっている。

不動産投資の確定申告

不動産投資,確定申告
(画像= KiryuSan/Shutterstock.com)

不動産投資を行えば、入居者がいる限り、家賃収入を受け取ることができる。一年間に受け取った家賃収入に対して、たとえば、退去時にかかったリフォーム費用といった不動産投資にかかった費用を経費として計上することができる。不動産投資で得られた儲けに対して税金を納める必要があるため、確定申告を行わなければならない。確定申告書の提出期限は基本的に、毎年2月16日前後から3月15日前後になる。

会社員の人は年末調整で自分の税率がいくらなのか知らない人も意外に多いが、日本の所得税は、所得が増えれば増えるほど課税される税率が上がる「超過累進課税制度」になっている。具体的には、所得が195万円以下の場合には税率が5%、195万円超330万円以下の場合には10%、330万円超695万円以下の場合には20%、695万円超900万円以下の場合には23%、そして4000万円超では45%という風に詳細に所得金額によって決められている。

国税庁:所得税の税率

所得金額に対して課税されるわけだが、課税方法は「総合課税」と「分離課税」の2つに分けられる。株式投資等による利益や、預貯金にかかる利子は分離課税になっているため、源泉分離課税で完結する。他の所得とは分離されているため、確定申告は原則不要だ。

一方、不動産投資は総合課税になる。不動産投資で得られた家賃収入といった利益や、個人事業主の事業所得、会社員等の給与所得といった他の所得と合計した所得金額に課税される仕組みになっている。所得金額が増えれば税率は上がるが、所得金額が減れば税率は下がる。

一般的に、不動産を購入した年については不動産取得税や登録免許税がかかるわけだが、このような税金や不動産の管理にかかる費用等、不動産投資にかかる費用は必要経費と認められるため、家賃収入から差し引くことができる。

なお、不動産を購入した年は様々な経費が多く発生するため、必要経費が家賃収入を上回り、マイナスになることも多い。総合課税のため、たとえば給与所得から差し引くことが可能になる。しかし、所得がマイナスにならなければ給与所得に不動産所得が上乗せされるため、税率がアップする場合もある。所得水準、税率については、日ごろからどの水準なのかを確認しておかなければならないだろう。

青色申告と白色申告

確定申告には、白色申告と青色申告の2種類の申告方法がある。不動産投資を行った場合には、青色申告を行ってそのメリットを享受したい。

青色申告には、10万円控除と65万円控除の2種類がある。複式簿記を使って記帳し、損益計算書や貸借対照表などを作成、添付しなければならないので面倒に感じるかもしれない。しかし、青色申告では、毎年65万円の青色申告特別控除が受けられたり、赤字が出た場合には翌年以降に3年間繰り越すことができたりと、メリットも数多くある。

ただし、65万円の青色申告特別控除をすべての人が受けられるわけではなく、不動産所得が「事業的規模」を満たしている必要がある。事業的規模を自分で勝手に判断できるわけではなく、「5棟10室」という基準が決められている。たとえばマンションの場合には10室以上を保有している必要がある。区分所有のマンションを1室ずつ購入していく手法もあるが、それなりに時間もかかる。事業的規模を目指す場合には、1棟物不動産を購入することも視野にいれたい。

なお、青色申告を行うためには、申告を行う年の3月15日まで(その年の1月16日以後に不動産の貸付をした場合には、その事業開始等の日から2ヵ月内)に、税務署に「所得税の青色申告申請書」という届け出を提出しておかなければならない。届け出を出すだけで青色申告ができるのだから、忘れずに提出しておこう。

家賃収入を安定的に受け取れることから、多くの会社員等の個人投資家が不動産投資に注目している。安定した家賃収入は自ら行動することで多く残すことができ、他人任せにすれば残る家賃収入も減らざるを得ない。どの投資においても、成功に近道はない。

不動産投資での節税に注目が集まるが、利益がしっかり残り、キャッシュフローが回らなければ、不動産投資がうまくいっているとは言えないだろう。人生100年時代、ゆとりある人生を楽しく送るためにも、不動産投資を始める場合には家賃収入のみならず税金の仕組みについても理解しておき、お金をコントロールすることが大切になるだろう。

横山利香(よこやまりか)
国際テクニカルアナリスト連盟認定テクニカルアナリスト(CFTe)。ファイナンシャル・プランナー。相続士。WAFP関東理事。「会社四季報オンライン」や「All About株式戦略マル秘レポート」での連載や、ヤフーファイナンスの「株価予想」でもマーケットコメントを執筆する等、株式投資や不動産投資といった投資や資産運用をテーマに執筆、メルマガ発行、講演活動、株塾を行う。公式サイト「横山利香の資産運用コンシェルジュ