副業をしていて迷うのが「副業はいくらから確定申告する必要があるのか」だ。基本的に本業とは別に所得がある場合には確定申告の義務があるが、これには条件がある。

ここでは、副業で所得を得た場合に確定申告する必要がある金額のボーダーラインと確定申告の方法、注意点などを解説する。アルバイトで賃金を得た場合やブログでのアフィリエイト収入、株で利益を得た場合などのケーススタディも紹介したので参考にしてほしい。

副業の確定申告には条件がある

副業,確定申告
(画像=PIXTA)

基本的に収入を得た場合には、税務署への申告義務が発生する。日本の国民には納税義務が課せられているからだ。しかし、税務署もいちいち「誰にいくらの所得があるか」を調査するわけにはいかないので、申告という形にしている。

サラリーマンやパート・アルバイトの場合は年末調整という形で会社が申告してくれるので何もする必要はない。ただし、副業をしている場合には確定申告をする必要があり、これには条件がある。

20万円がボーダーライン

副業によって所得が年間20万円を超えた場合には確定申告義務が発生する。反対に言えば、20万円以下であれば確定申告をする必要はない。

1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

【参考】国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人

副業といってもそれがパート・アルバイトなのか、内職なのかなど、その内容次第で話が変わってくるので注意が必要だ。

副業でパート・アルバイトをした場合

パート・アルバイトの場合、話はとてもシンプルだ。パート・アルバイト先からの給料が20万円を超えているかどうかがポイントとなる。20万円を超えていれば確定申告の必要がある。

副業先でも源泉徴収してもらえばいいじゃないかと考える人もいるかもしれない。しかし、2か所以上から給与所得を得ている場合は確定申告の義務がある。

2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人

【参考】国税庁 給与所得者で確定申告が必要な人

副業で内職(クラウドソーシングなど)した場合

最近ではインターネットの発達によって誰でも内職をしやすくなっている。クラウドソーシングやフリーマーケット、オークションなどで収入を得た場合がこれにあたる。 この場合は「所得が20万円を超えているか」がポイントだ。

ここで「収入」と「所得」の違いについて確認しておこう。所得は収入から必要経費を差し引いて残った金額のこと。つまり「儲け」だ。「儲け」が20万円を超えている場合は確定申告が必要になるが、20万円以下であれば確定申告の必要がない。極端な話、500万円オークションで売り上げても、経費が490万円かかっていれば確定申告の必要はないのだ。

副業でパート・アルバイトと内職をした場合

内職もしているし、副業もしているというバイタリティ溢れる人も中にはいるだろう。こういう場合は、2つの合計が20万円を超えているかがポイントとなる。2つ副業をしていると、年間で20万円を超える可能性も高くなるが、この場合は確定申告の対象となるので、注意が必要だ。

ここで気になるのは、「自分がやっていることは副業になるのかどうか」という点だ。

副業の定義

副業とは、メインとなる収入(本業)以外の仕事で収入を得ることだ。「どこからどこまでが副業」という厳密な定義はない。

たとえば、読まなくなった本を古本屋で売ったら1万円になった。これは副業に当たるのかという話がある。この場合「生活用動産の譲渡による所得」という扱いになり、副業とはならない。日常生活で不要になったものを売る分には問題ないのである。

副業として扱われるのは、転売目的で売買を行うなど、明確に収入を得るための経済活動をした場合だ。クラウドソーシングでデータ入力の仕事をしたり、オークションで骨董品の売買をしたりすることは副業に当たる。

4つのケーススタディ

ここからはケースごとに確定申告の必要性を見ていくことにする。

ケース1:フリーマーケットでの転売事業

以前まではオークションサイトが主流だったが、より手軽に売買する手段としてメルカリやフリルといったフリマアプリが人気だ。これらを使ってビンテージ品などを転売した場合どうなるのか。

この場合、「雑所得」という扱いになり、年間で所得が20万円を超えた場合には確定申告の対象となる。しかし、仕入れやその際の交通費などの必要経費を差し引いて20万円以下だった場合は確定申告の必要はない。

ケース2:株の売買

株の売買はどうだろうか。株の売買は「譲渡所得」に分類され、20万円を超えれば確定申告の対象となる。しかし、株式取引で使っている銀行口座の種類によって確定申告の有無が変わってくる。

下の表を見てほしい。株式売買では特定口座という専用口座を作ることが多い。このとき、源泉徴収の有無を選択することができる。源泉徴収有りの特定口座を選択した場合は証券会社が源泉徴収をしてくれるので20万円を超えていたとしても確定申告の必要はない。それ以外の口座を選択した場合は20万円を超えていれば確定申告が必要となる。

口座の種類と確定申告の関係
口座の種類/源泉徴収/確定申告
特定口座/あり/不要
特定口座/なし/必要
一般口座/なし/必要

ケース3:ブログの広告収入

自分で運営しているブログが人気になり、広告収入が増えたというケースもある。広告などのアフィリエイト収入は「雑所得」扱いとなり、20万円を超えれば確定申告の対象となる。

こうした場合はブログを運営するためにかかったお金は必要経費として計上できる。レンタルサーバー代、ドメイン代、デザイン、撮影代などがこれに当たるだろう。ブログ執筆のために取材に出かけたのであれば、その交通費も経費にできる。

ケース4:不動産収入

最近ではAirbnbなどの民泊事業も注目されてきており、部屋を遊ばせているなら人に貸して収入を得たいという人が増えてきている。部屋を貸すことで得られる収入は、自宅を民泊運営に活用しているのであれば「雑所得」、民泊用に不動産を所有しているのであれば「不動産所得」と分類される場合が多く、いずれも20万円を超えれば確定申告の対象となる。

経費として考えられるのは、部屋のクリーニング代、タオル、トイレットペーパーなどの消耗品、家具、電化製品などだろう。ただし、宿泊客だけでなく、自分がプライベートで使用するものを経費とするためには細かい条件があるので、税理士などの専門家に相談したほうがよいだろう。

確定申告の方法

副業で確定申告するには「青色申告」と「白色申告」の2つの方法がある。

青色申告には、売上や経費などを細かく計上することで、税制面で控除(最高65万円)を受けられたり、赤字が3年間繰り越せたりなど、さまざまなメリットがある。白色申告は青色申告ほど複雑なことをしなくても確定申告ができるが、青色申告のようなメリットは受けられない。

青色申告と白色申告どちらが良いのか

青色申告をするためには、事前に税務署に事業届を申請しておく必要があったり、領収書のなどの関連書類を5年~7年間保管しておく義務があったりと面倒に感じる部分はあるが、最高で65万円の控除を受けられる青色申告特別控除の恩恵は大きい。

また、平成26年からは白色申告でも「帳簿への記帳」や「帳簿の保存(5年~7年)」が義務付けられるようになったため、青色申告との手間がそれほど変わらなくなってしまった。似たような手間であれば青色申告で控除を受けたほうがお得ということもあり、青色申告を選択する人は増えてきている。

複式帳簿の記入がネックになるかもしれないが、最近では複雑な複式簿記の帳簿も自動作成してくれるアプリが登場するなど、以前よりも格段に楽になってきている。チャレンジしてみる価値は十分にあるだろう。

家からも確定申告ができるe-Tax

e-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すれば、24時間いつでも自宅からでも確定申告ができるようになる。通常の確定申告では、平日の日中に税務署に行く必要があり、会社員がこれを行うためには、会社を休むか抜けるかしなくてはいけない。郵送でやり取りするにも手間がかかる。その点、e-Taxなら仕事が終わって家でゆっくり確定申告の手続ができるので便利だ。

マイナンバーカードとICカードリーダーを事前に用意する必要があるが、一度準備してしまえば毎年使えるようになるので、手間をかける価値はあるはずだ。

確定申告での注意点

副業をしている人が確定申告をするうえで注意する点がいくつかある。知らないで後からトラブルを起こさないためにもしっかり把握しておきたい。

副業以外で確定申告する場合は収入に関係なく申告すること

普段はサラリーマンやパート・アルバイトの給与所得者は確定申告とは縁がないものだが、医療費控除や住宅ローン控除を受ける場合は確定申告が必要になる。このとき、副業で得た所得が20万円以下の場合はどうするべきか。

答えは「20万円以下でも申告する」が正解になる。20万円のボーダーラインは確定申告をするかしないかの分かれ目である。医療費控除は受けたいが、副業については申告したくないという虫の良い話はない。注意しておこう。

20万円ちょうどは確定申告するべきか?

非常にレアなケースにはなるが、確定申告が不要な給与所得者が副業で得た所得を計算したら、ちょうどぴったり20万円だった。この場合は確定申告するべきかどうか。

答えは「確定申告しなくて良い」が正解になる。上の章で紹介した国税庁の副業による確定申告の条件をもう一度読んでみてほしい。「所得の金額の合計額が20万円を超える人」となっている。そのため、20万円は確定申告の必要はないが、20万円1円であれば確定申告の対象となる。

確定申告漏れは忘れていたでは済まされない。悪意がなくともそれは「脱税」になってしまう。後から税務署の調査が入ってしまえば無申告加算税や延滞税を課されてしまうこと可能性もある。副業をすでにしている人はもちろん、これから始める人も確定申告についてもう一度整理しておくことをおすすめする。(ZUU online編集部)