はじめに

サラリーマンでも特定の条件に当てはまれば確定申告が必要だ。そのことについては知っているが、実際自分が当てはまるのかどうか曖昧だ、なんとなく自分が該当していることに気付いてはいるものの、面倒でそのままにしている、といった方もいるかと思う。

そこで本連載では、サラリーマンに必要な確定申告知識について解説していく。確定申告が必要な方はもちろん、そうでない方も今後副業等を検討するに当たって役立つ知識となるだろう。

確定申告の期間

毎年、2月中旬から3月中旬にかけて行われる確定申告。前年度の収入を申告することで、納税すべき額が正しいかを確認するのが確定申告の目的だ。ではなぜ、そのようなことをしなくてはならないのか。

前提として日本では、「申告納税」という方式をとっている。本来、全国民が税務署に前年のすべての収入を申告しなくてはならない。

しかしながら、国民全員が税務署に押しかけては個人、税務署、双方にとって効率が悪い。加えて、税制はこまめに改定されるため、個人がその都度詳細を把握することは難しく、計算ミスが起こる可能性もある。

そこで、会社に勤務している人は、支払者が事前に勤務者の納税額を予想して、毎月の給与所得から、源泉徴収というかたちで所得税分を差し引いている。

言い換えれば、その源泉徴収額というのはあくまでも予想に基づいたものである。そのため、税金を多く払い過ぎてしまっていたり、反対に、実際に収めるべき納税額より少なくなってしまっている状態が起こりうるのだ。

超過する税金を納めてしまっている場合では、申告をしない限りはその差額は返還されない。また、逆に納税額が少ない場合は脱税状態となり、追徴課税や罰則の対象となってしまう可能性がある。

確定申告が必要な人は?

とはいえ、会社員であれば年末調整があるため、確定申告が不要な人もいる。これについては後ほど解説する。

どのような場合に確定申告が必要なのか。まず、年間給与収入が2000万円を超える人は、例外なく確定申告をしなくてはならない。その他では、公的年金受給者などがいる。下記2つは現役世代を中心に関係する部分をピックアップした。

一つは、企業で働いてはいるがそれ以外に副業や投資を行っており、その所得がある場合だ。もう一つは、医療費控除や生命保険に加入している場合の保険料控除などを指す。

もう少し具体的に話をしよう。副業や投資を行っている場合、その収入の合計が経費を差し引いて20万円を超えた場合、その金額に対し納税の義務が生ずる。後述する確定申告の手順に従い、所定の手続きが必要だ。

確定申告で見落としがちな物品とは?