確定申告
(写真=Thinkstock/GettyImages)

あなたは確定申告について、自信を持ってどんなものかを他人に説明できるだろうか。一度確定申告について正しい知識を身につけると、自分の年間出費を見直すきっかけにもなる。この制度を最大限活用するため、今さら聞けない基本的な部分を振り返ろう。


確定申告の期間

毎年、2月中旬から3月中旬にかけて行われる確定申告。前年度の収入を申告することで、納税すべき額が正しいかを確認するのが確定申告の目的だ。ではなぜ、そのようなことをしなくてはならないのか。

前提として日本では、「申告納税」という方式をとっている。本来、全国民が税務署に前年のすべての収入を申告しなくてはならない。

しかしながら、国民全員が税務署に押しかけては個人、税務署、双方にとって効率が悪い。加えて、税制はこまめに改定されるため、個人がその都度詳細を把握することは難しく、計算ミスが起こる可能性もある。

そこで、会社に勤務している人は、支払者が事前に勤務者の納税額を予想して、毎月の給与所得から、源泉徴収というかたちで所得税分を差し引いている。

言い換えれば、その源泉徴収額というのはあくまでも予想に基づいたものである。そのため、税金を多く払い過ぎてしまっていたり、反対に、実際に収めるべき納税額より少なくなってしまっている状態が起こりうるのだ。

超過する税金を納めてしまっている場合では、申告をしない限りはその差額は返還されない。また、逆に納税額が少ない場合は脱税状態となり、追徴課税や罰則の対象となってしまう可能性がある。

確定申告が必要な人は?

とはいえ、会社員であれば年末調整があるため、確定申告が不要な人もいる。これについては後ほど解説する。

どのような場合に確定申告が必要なのか。まず、年間給与収入が2000万円を超える人は、例外なく確定申告をしなくてはならない。その他では、公的年金受給者などがいる。下記2つは現役世代を中心に関係する部分をピックアップした。

一つは、企業で働いてはいるがそれ以外に副業や投資を行っており、その所得がある場合だ。もう一つは、医療費控除や生命保険に加入している場合の保険料控除などを指す。

もう少し具体的に話をしよう。副業や投資を行っている場合、その収入の合計が経費を差し引いて20万円を超えた場合、その金額に対し納税の義務が生ずる。後述する確定申告の手順に従い、所定の手続きが必要だ。

確定申告で見落としがちな物品とは?

最近、ヤフオクやメルカリと言った個人が手軽に収入を得る手段が流行している。あなたも一度は不用品を販売したことがあるのではないだろうか。実は、そこで得た収入は「譲渡所得」と呼ばれ、確定申告が必要となるケースもある。

しかしながら譲渡所得については、どこまで課税対象になるのかは曖昧な部分が多いのが現状だ。

その鍵となるのが、「生活用動産」という言葉。これは、生活のために使用するものを指すのだが、非課税項目を列記した所得税法第9条1項9号では、以下のものは非課税と記載がある。

「自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得」

つまり、一般の生活に使用していたものを譲渡して得た収入は、非課税であるということだ。

一方で、国税庁のウェブサイトには「貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税」されるとの記載もある。

これらをまとめると、生活用動産の譲渡、つまり私生活で使用していたものを販売して得た収入は非課税。商用として仕入れを行ったものを販売したり、貴金属など30万円を超えるものを販売した場合は課税対象となるということになる。

曖昧な部分が多く煩雑にも思えるが、販売したものが生活用動産であり、30万円以下のもであったことを証明できるよう、すべての記録を残しておけば問題ない。

また、忘れがちなのが株主優待の存在だ。株主優待として得た商品券や割引券も、その合計(合理的に勘案したもの)が20万円を超えた場合は確定申告が必要となる。また、それらを転売する際に得た収入も課税対象となるケースもある。これは個人、状況によってケースが異なるため、税理士や税務署に事前に確認しておく必要があるでしょう。

確定申告を忘れたらどうなる?

では、確定申告をしなかった場合はどうなるのか、具体的に解説していく。

正しい納税額より多く税金を支払っていた場合

これは、先に述べたように医療費控除などの控除項目があった場合、課税対象となる金額が変更となり、課税額が変わる場合がある。その差額は還付申告といい、返還してもらうことができる。年末調整で税額を調整した場合や、控除項目があっても還付申告を行わない限りは差額の還付は行われる。

正しい納税額より少なく税金を支払っていた場合

この場合、本来の正しい納税額との差額分を納める必要がある。確定申告を怠った場合、無申告加算税・延滞税といった金銭的なペナルティが課せられる。また、故意に確定申告を行わず、納税の義務を怠った場合には刑事罰として懲役刑や罰金、またはその両方が課せられることもあるので、細心の注意が必要だ。

確定申告

確定申告書に必要な書類。源泉徴収票を忘れずに

ここまで、確定申告の大枠や対象となる人、注意点などを説明してきた。次に、実際に確定申告をする際の流れについて解説していく。

2017年の確定申告期間は、2017年2月26日〜3月15日だ。その期間内に所定の申告書を税務署に提出しよう。申告はインターネット、郵送、税務署へ直接持参する方法がある。

インターネットからの申告の場合、質問に答えるかたちで申告書を作成してくれるサービスもあり、そのまま手続きも行える。初めて確定申告をする人には、便利だろう。

申告書には、複数種類がある。申告する所得が給与所得、雑所得、総合課税の配当所得、一時所得のみで、予定納税額のない人は「申告書A」を使用する。不動産所得など、変動所得や臨時所得がある人が使用する方は「申告書B」を使用する。それぞれ国税庁のホームページからダウンロードすることができる。

加えて、株や土地の譲渡など、分離課税に該当するものがあるときには、「分離用(第三表)」を「申告書B」と併せて提出する必要がある。また、所得金額が赤字の場合は「損失用(第四表)」を提出する。

続いて、申告書以外の必要な書類と記入方法について。まず、源泉徴収票と控除項目などに該当する書類を手元に用意しておこう。申告書の作成は、源泉徴収票に書いてある項目を申告書に転記していく作業が中心になる。必要な計算は、インターネットであれば自動で、用紙を使用する場合は詳細な計算方法の記載がありますので、それに従い記入していく。

また、申告書を提出する際には源泉徴収票に加え、領収書、医療費の明細書など控除項目によって該当する書類を持参する必要がありますので、事前の確認と準備が必要だ。

インターネットでの申告の場合、一定の書類についてはその記載内容の入力のみで終えることもできる。また、郵送での提出も可能ですが細かい規定があるので、トラブルを防ぐためにも国税庁のホームページで送付方法を確認しよう。

ふるさと納税など控除の種類についても確認しよう

次に控除について、身近なものから、お得なものまで説明する。ここに記載しているもの以外にも、様々な控除項目がありますので、該当する控除がないか、自分でも確認してみよう。

医療費控除

年間の10万円を超えた場合、その金額が課税対象額から控除される。

配当控除

配当控除は、総合課税という方法を選択し確定申告をした場合に受けられる。配当金は、源泉徴収として20%の税率が差し引かれて支払われるが、そもそも配当金は企業の利益の分配だ。それには既に法人税が課せられるので、二重課税を防ぐ目的として控除されるのだ。控除率は配当金額により異なる。

雑損控除

自らの資産が災害などによって損害した場合、その一部を所得から控除してくれるものだ。

ふるさと納税

自治体ごとに特産品などをもらえる、流行りのふるさと納税。これは寄附金控除という項目になり、課税対象額から控除される。

サラリーマンは年末調整について把握しよう

では次に、年末調整についてもう少し詳しく説明する。

年末調整とは企業が従業員に対し、1年間の給与支給の際に差し引いてきた税金の調整をすることである。つまり、先払いしていた税金が正しい税額か確認し、年末の給与で差額を調整する意味合いがある。また、基礎控除や配偶者控除、保険料控除等についても、個人に代わり企業が申告してくれるというものだ。

ただし、給与収入が2,000万円以上の人、災害減免法により徴収猶予を受けている人、2か所以上から給与を得ており、扶養控除申告書を提出していない人は年末調整の対象とはならない。

それに対し確定申告は、それ以外の控除項目がある方が申告するものだ。例えば、副業での収入、投資などの所得がある場合は2か所以上からの所得があることになるから、確定申告が必要となる。ただし、その金額が20万円以下の場合は確定申告は不要だ。

年末調整を通して支出を管理しよう

確定申告は、面倒なものというイメージがあるかもしれない。しかし、このタイミングで振り返る事でと自らの出費状況を見直す一つのきっかけを与えてくれる。

例えば、今まで給与をそのまま銀行口座に入れてだけでは課税対象になる。ところが、その資金で生命保険に加入すれば保険料控除が適用される。

新年度が始まる前の1年の振り返りとして確定申告を賢く行おう。

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