本記事は、飯田 剛弘氏の著書『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

「自分は遅い」と認める人ほど成長する
できる人と一緒に仕事をすると、スピード感覚や時間感覚の違いに驚かされることがあります。あなたはこの違いを感じたことはありますか?
限られた時間内で、成果を出す人の仕事の進め方は、シンプルでリズミカルです。スイッチがオンになり、高い集中力と異常なスピードで優先順位の高い仕事から一気に取りかかります。終われば、スイッチがオフになり、一休みします。これを繰り返しています。
このスピードや時間感覚の違いを感じたときは、成長できる絶好のチャンスです。
この違いを客観的に見てください。変なプライドを持って、自分が遅いことをごまかしたり、見栄を張って隠そうとしてはいけません。素直に「自分は遅い」と認め、仕事が速い人から、どういったことがマネできるかを考えることが大事です。
まずは、この違いの要因は何かを具体的にしましょう。
専門知識なのか、進め方なのか、コミュニケーションのとり方なのか、「何が違うのか?」を明確にし、「どこにギャップがあるのか?」を特定することです。
次に、そのギャップを埋めるために、「何がそのギャップを生むのか?」「どうすればそのギャップを埋められるのか?」という流れを意識し、合理的に考えます。そうすることで、実際に何を学ぶ必要があるかが見えてくるので、あとは実行していくだけです。
ただし、一から自分で学ぶのは時間がかかりますから、教えてもらうことが賢い近道です。
「私には無理かも」と思って、諦める人もいるかもしれませんが、それはデキる人の今の状態、つまり結果しか見ていないからです。そこに至った過程や手段に目を向けなくてはなりません。もし「このままだとマズイ。本気で変わりたい」と強く思っているのであれば、できる人がそこに辿り着くまでに取り組んできたことに目を向けることが大切です。
そして、まずはやってみることです。
自分の「タイムゾーン」を見つけると集中できる
あなたのパフォーマンスが高い時間帯はいつですか?
得意だと感じる時間帯は、人それぞれ違います。まずは自分が最も集中でき、パフォーマンスの上がる時間帯がいつなのかを把握することが大切です。
そして、その時間帯を最大限活用するために、外部から邪魔されず、集中できる環境を作っていきましょう。
一般的に、午前中は頭が冴えているので、「頭を使う」仕事に適しています。例えば、企画やアイデアを考えたり、プレゼン資料や文章の構成を検討したり、自分の考えや意見をまとめたり、複雑な問題を解いたりするのに向いています。
午後は集中力が落ち、能率が悪くなりやすい時間帯です。あまり頭を使わない単純作業やルーチンワーク、経費精算など粛々とできる定型的な仕事、簡単に仕上げられる仕事、あまり成果に質を求められない仕事などが向いています。
ミーティングを午後にするほうがいいという考え方もあります。主な理由は、人と話すから眠くなりにくいとか、ミーティング中は頭をあまり使わない時間もあり、頭が働く午前にミーティングするのは、もったいないなどです。
ただ、根本的には、そんな緩いミーティングは改善すべきです。とは言え、意味のないミーティングだと思っていても、立場上、参加しなければいけないものもあるでしょう。
その場合、ミーティングを午後に設定し、午前中は頭を使うクリエイティブな仕事に集中するなど、調整を意識するだけでパフォーマンスが変わります。大切なのは、「集中時間は自分ひとりではなく、周囲の理解や仕組みで支える」という視点です。
チームメンバーや上司や、割り込みを最小限に抑えるルールを決めたり、チャット等のアプリで「集中モード」を示したり、休憩時間を合わせたりして、全員が生産性を高められる仕組みを作りましょう。
「タイマー」を使って集中力をアップする
「気づいたら30分も経っていた……」そんな経験はありませんか? 特に何をしたわけでもないのに、ダラダラと時間が過ぎてしまうことは誰にでもあるものです。
集中できない理由はさまざまです。疲れている、ほかに気になることがある、仕事がつまらない、不安や悩みがある……。
そのようなときは無理をして、難しい課題に取り組んだり、クリエイティブな仕事をして頭を使う業務をしてはいけません。
集中できないときは、単純作業に切り替えるのが正解。
ルーチンワークのような定型業務や、正確性を求められない単純作業などにシフトするほうが時間を有効に使え、成果を出せます
しかし、それでもなかなか勢いがつかず、今日中に終わらせなければいけない作業が残っていたりします。そのようなときにおすすめする方法は、「タイマー」を使うことです。
タイマーを使うと、デッドラインの意識が強くなり集中力が上がります。
まず、仕事の内容や予定を分割して、短時間で各作業を完了できるぐらい小分けにします。
次に、「この作業を10分で終わらせるぞ」などと目標タイムを決めます。
そうしたらタイマーを10分に設定し、タイムアタックです。一気にその作業を終えるように仕向けるのです。
また、タイマーを使って集中力と生産性を上げるテクニックのひとつとして、「ポモドーロ・テクニック」というものがあります。
ポモドーロ・テクニックは「仕事と休憩」をセットとして、それを繰り返すことで仕事に集中します。
例えば、次のようなサイクルで作業を進めます。
①25分作業↓5分休憩(1セット)
②これを4セット(約2時間)繰り返す
③4セット終わったら、15分程度の長めの休憩を取る
この方法のメリットは、タイマーを使って短い時間に集中することができるようになることです。「25分だけ集中すれば5分休憩がある」と思うと、やる気も湧いてきます。
このようにタイマーを使うことで、少なくとも一歩一歩着実に仕事を終わらせていくことができます。成果や実績を出していくだけではなく、達成感を積み重ねることで、「やり続けられた」という自信にもつながっていきます。
また、仕事のマンネリ化を防ぐメリットもあります。
同じ作業でも、「〇分以内に終わらせるぞ!」とタイムアタック方式にするだけで、ゲーム感覚で楽しく取り組めるようになるからです。
集中できないときこそ、タイマーを活用してみてください。きっと作業効率が上がり、時間をより有意義に使えるようになりますよ!

一般社団法人中小企業AI活用協会代表理事
一般社団法人ライフウィズスポーツ協会理事
愛知県生まれ。南オレゴン州立大学卒業後、インサイトテクノロジー入社。インド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本を出版翻訳。
マーケティング担当になってからは、データベース監査市場でシェア1位獲得に貢献(ミック経済研究所)。外資系企業のFAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者を務める。ビジネスファイターズ合同会社を設立。
現在は、マーケティングやAI活用のコンサルティングやアドバイザー、講演研修を行いながら、公的機関や民間企業や団体で、プロジェクトマネジメントやスケジュール管理の研修など、人材教育にも力を入れている。また、中小企業AI活用協会の代表理事として、AIの普及にも尽力し、中小機構やあいち産業振興機構などの公的機関で経営相談も行う。
著書に『PMBOK対応童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)など7冊ある。
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