本記事は、飯田 剛弘氏の著書『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

「自分の時間」を他人から取り戻す
自分でコントロールできない時間を減らすことは重要です。
一番ムダな時間は待ち時間です。これは他の人と同じ時間帯やタイミングで同じ行動をとるから発生します。昼食、トイレ、食後の歯磨き、会議室の予約、コピーや印刷機の使用などがあてはまります。
有効な解決策のひとつは、時間差で行動すること。
昼食はピークのランチタイムを外し、11時半以前や、13時半以降にズラせば、行列に並ぶ時間がなくなります。
出勤時にエレベーターで待つなら、朝少しだけ早く出社する。
他にも会議室の予約時間を朝一番や正午にズラせば、スムーズに部屋を押さえることができます。
このように人と違う時間帯に動くことは、振り回されないコントロール術の基本です。
さらに、オンラインカレンダーや予約システムを活用することで、他の人とリアルタイムでスケジュールを共有できるため、こうした時間差行動の計画がより効率的に行えます。
また、人と仕事をしていると、必ず約束の時間に遅れる人がいます。
この待ち時間もムダです。待たされイライラすれば、精神的にも良くありません。
そのため、普段からこのような待ち時間を効率的に活用できることを準備しておくと時間を有効に使えます。例えば、メールやスケジュールの確認、業界ニュースのチェックなどです。
逆に自分が約束の時間に遅れると、相手の時間を奪い、信用も失うことにもなります。
相手の時間を尊重して、時間の奪い合いをしないように行動することが大切です。
助け合うと自分の時間も増える
苦手な仕事や嫌な仕事はなかなか終わらないので、このような仕事は、周りの協力を得て効率良く終わらせることが重要です。
人には、それぞれ得意・不得意な分野があります。あなたの苦手なことが得意な人もいますので、お互いの強みを活かして、支援し合うことが大切です。
まずは遠慮せずにお願いしてみることです。自分一人で抱え込み、苦戦しながら終わらせるよりも、ずっと早く終わらせることができます。
この割り切りができないと、いつまで経っても次の仕事に取りかかれなくなります。
周りの人から適切な協力を得るには、普段から「ヒト」のいいところを見ることが大切です。
多くの人は他人の失敗やミスなどマイナス面を見ます。しかし、お互いの弱い所を補うためには、あの人は何が得意なのか、何が好きなのかというプラス目線で見ます。どういう分野ならば支援し合えるのかを考えることが大事です。
また、お願いしやすい関係を作るには、逆説的ですが、与え続けることが重要です。日頃から「何かできることがあれば言ってくださいね」と伝え、自分ができる範囲で積極的に支援する姿勢が大事です。また見返りを求めないことです。
すると、いざというときに、相手は「しょうがないな」と思い、助けてくれることが増えます。
ただし、ここで過剰な期待をしてはいけません。「以前、支援したから、今回は助けてくれるはずだ」と当然のように思っていても、何らかの事情で支援できないこともあるのですから。
「イエス/ノー」の判断理由を持つとブレない
あなたは、目の前の人に何かを頼まれたら、断れますか?
多くの人は「自分ができることはやってあげたい」と思うものです。いい人だと思われたいという承認欲求もあるかもしれませんが、基本的には協力したいという思いが強く、「はい」と言いがちです。
しかし、「1日で使える時間は限られている」という事実を忘れてはいけません。
もし、どんなことに対しても「はい」と答えてしまうと、やるべきことが多くなり、締め切りという約束を守れなくなることもあります。
つまり、目の前の人に「はい」と言うことは、他の人に対して「ごめんなさい」と断っているのと同じです。
新たな時間を作り出さないかぎり、やれることは限られます。やみくもに、やることを増やすと、本来やるべきこともできなくなります。会社や上司から見れば、「あなたは、やるべきことをやっていない」ということになります。自分の仕事量と能力を把握できていないと判断されます。
頼まれたことを断るのは、誰にとっても簡単ではありません。そこで、「イエス/ノー」を判断する前に、「なぜイエスなのか」「なぜノーなのか」の根拠や理由をそれぞれ考えてみてください。
「それ、本当?」と自問を繰り返すことで、今まで以上に論理的に判断理由を説明できるようになります。つまり、自分の判断や行動に「ブレ」がなくなります。
また、断る際は、時間を新たに確保できそうであれば、「今はトラブル対応中で難しいですが、午後4時以降なら大丈夫です」のように逆提案することも大切です。みんな、それぞれ仕事を抱えています。能力や強み弱みも違います。支援し合いながら、うまく進めていくことが大切です。

一般社団法人中小企業AI活用協会代表理事
一般社団法人ライフウィズスポーツ協会理事
愛知県生まれ。南オレゴン州立大学卒業後、インサイトテクノロジー入社。インド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本を出版翻訳。
マーケティング担当になってからは、データベース監査市場でシェア1位獲得に貢献(ミック経済研究所)。外資系企業のFAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者を務める。ビジネスファイターズ合同会社を設立。
現在は、マーケティングやAI活用のコンサルティングやアドバイザー、講演研修を行いながら、公的機関や民間企業や団体で、プロジェクトマネジメントやスケジュール管理の研修など、人材教育にも力を入れている。また、中小企業AI活用協会の代表理事として、AIの普及にも尽力し、中小機構やあいち産業振興機構などの公的機関で経営相談も行う。
著書に『PMBOK対応童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)など7冊ある。
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