本記事は、飯田 剛弘氏の著書『仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!』(明日香出版社)の中から一部を抜粋・編集しています。

仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!
(画像=Vera/stock.adobe.com.jpeg)

「遅れグセ」がつくと、あなたの評価は下がる

「少し提出が遅れます」
この「少し」の代償は少しではありません。
約束した期限である「デッドライン」を守れないと評価はマイナスです。デッドラインに間に合わない人は、約束を守れない人です。

遅れグセがある人は、約束を破る常習犯です。周りの人から信用されていません。
事実、約束を破られた人に話を聞くと、「あー、彼はいつもそうだから」とか「そのうちやるんじゃない」と完全に他人事です。締め切りを守ってほしいという期待はなく、関心すら持たない状況になっています。
これは相手の期待を低くする戦略でも何でもありません。単純に仕事したい相手として見なされていないのです。むしろ、信頼がおけない理由で、拒否されている可能性もあります。

遅れグセのある人は、他人からの評価という前に、信用、信頼を失っていることを素直にかつ真剣に受け止めるべきです。
そして、計画通り予定を進め、自分との約束を守ること、タスクを締め切りまでに終わらせ、他人との約束を守ることが大切です。
ここで注意したい点は、約束を守るために、持っている時間とやるべき仕事量のバランスをとることです。それを踏まえてスケジュールを組むことが重要です。

仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!
(画像=仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!)

仕事の「優先度」は「緊急度」と「重要度」だけで決めない

よく言われている「仕事の優先順位は、緊急度と重要度をもとに決める」という考え方は、実は現場でがんばっている私たちには当てはまらないことがあります。
その理由は、緊急度や重要度自体、自分ですべてコントロールできないからです。つまり、顧客や会社、上司が決めることが多いのです。

現実的かつ実践的な優先順位は、締め切りであるデッドラインをもとに逆算すると決まります。その際、その仕事にかかる所要時間と他の人への依存(例えば、上司への確認、レビューの依頼)も考慮する必要があります
仮に3つの仕事を受け持っているとします。それぞれデッドラインは違います。各作業にかかる所要時間を見積もり、逆算して着手する順番を決めるのです。
すると、3つの仕事の優先順位が見えてきます。最初にデッドラインが迫っている仕事Bをやります。次は仕事Cではなく、所要時間がかかる仕事Aを先にはじめる必要があることがわかります。

仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!
(画像=仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!)

また、ひとつの仕事を細かく分割してデッドラインから逆算していくことで、他の人への依存も考慮しやすくなります。
仮に「企画書を提出する」という仕事のスケジュールを設定するとします。まずは、「企画書の提出」をゴールとして、そこからすべきことを洗い出します。
また各作業の所要時間を見積もります。
ここで担当部門のチェックと上長のチェックの作業が自分ではコントロールできないため、作業期間の見積もりを3日間と少し長めにして、スケジュールを設定します。
すると、12営業日が必要になるため、最終締め切りから3週間ほど前にはじめる仕事だということがわかります。
ここまでわかれば1、2週間前からはじめようと漠然と思い、締め切り前にバタバタする、ということがなくなるのです。

「やってみよう」を引き出す「デッドライン」

デッドラインとは、必ず間に合わせなければいけない締め切りのことです。
私たちは「締め切り」や「期限」という言葉を聞くと、あまりいいイメージを持たないかもしれません。しかし、実際には仕事で成果を効率的に出すためには必要です。デッドラインがあることで、「そのうちやろう」という悪い先延ばしを避けることができ、「はじめないといけないよ」という心理的な後押しもしてくれます
学生の頃、試験中にすべての問題を解かなければいけないと思うと、目の前のテストに集中しようという気になりましたよね。あの感覚です。デッドラインがあると、今まで以上に目の前の仕事に集中でき、仕事を早く終わらせることができます。

自分の中で本来のデッドラインより少し厳しめに時間を区切ると、仕事はうまくいくことが増えてきます。
前倒しを試みることは、自分を苦しめるのではなく、「とりあえず、はじめてみる」を促します。仕事の失敗やギリギリになることも減らすことができるのです。
締め切りまで余裕があるからと先延ばししていると、何か突発的な仕事やトラブルが起きたとき、それらに追いかけられる状況になり、精神的に疲れます。すると最初に依頼された余裕があったはずの仕事に対応できなくなることがあります。
一方で、自分で決めたデッドラインであれば、自分からその仕事を追いかけている感じになり、気分的にラクになります。むしろ、「限られた時間で、どうやろう」と前向きかつ仕事のできる人の考え方にもなります。

前倒しできればしめたものです。時間に余裕ができ、何か急ぎの案件が来ても落ち着いて対応できますし、残業を減らすこともできます。
さらに自分自身、期限より早くやれているという体験を通じて、自信にもなります。他人からの評価も上がるかもしれません。この成功体験を増やすことは、自分の中での習慣化につながります。より短い時間で成果を出す自分の仕事のスタイルが確立できるのです。

仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!
飯田 剛弘(いいだ・よしひろ)
ビジネスファイターズ合同会社CEO
一般社団法人中小企業AI活用協会代表理事
一般社団法人ライフウィズスポーツ協会理事

愛知県生まれ。南オレゴン州立大学卒業後、インサイトテクノロジー入社。インド企業とのソフトウェア共同開発プロジェクトに従事。その傍ら、プロジェクトマネジメント協会(PMI)の標準本を出版翻訳。
マーケティング担当になってからは、データベース監査市場でシェア1位獲得に貢献(ミック経済研究所)。外資系企業のFAROでは、日本、韓国、東南アジア、オセアニアのマーケティング責任者を務める。ビジネスファイターズ合同会社を設立。
現在は、マーケティングやAI活用のコンサルティングやアドバイザー、講演研修を行いながら、公的機関や民間企業や団体で、プロジェクトマネジメントやスケジュール管理の研修など、人材教育にも力を入れている。また、中小企業AI活用協会の代表理事として、AIの普及にも尽力し、中小機構やあいち産業振興機構などの公的機関で経営相談も行う。
著書に『PMBOK対応童話でわかるプロジェクトマネジメント』(秀和システム)など7冊ある。

※画像をクリックするとAmazonに飛びます。
仕事は「段取りとスケジュール」で9割決まる!
  1. 完璧主義より段取り力、「早く終わる人」の思考法
  2. 仕事の効率は「時間割」で決まる! ムダをなくす「情報整理」の極意
  3. 段取り9割! デジタルカレンダーで仕事の流れを完全攻略
  4. 評価が上がる人は、締め切りを“前倒し”で考える
  5. 無駄な時間に振り回されないために必要なこと
  6. 仕事効率爆上げ「タスク置き場」整理術とは
  7. 自分の遅さを認めた人がデキる人に変わるスピード感覚UP術
ZUU online library
(※画像をクリックするとZUU online libraryに飛びます)