本記事は、島田 弘樹氏の著書『退職・転職前後にやっておくべき「お金」のチェックノート』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

自己都合で退職した場合の「基本手当」について
まずは、退職前に「雇用保険被保険者証」が手元にあるかどうか確認します。手元にない場合は、会社側で保管している可能性もあるので、総務・人事関係の担当者に問い合わせます。
もし紛失した場合は、すぐに再交付の手続きを依頼してください。最寄りのハローワークで再交付申請書をもらって、自分で再交付手続きを行なうこともできます。
もう一つ必要になるものが、退職後に会社から受け取る「離職票」です。退職後10日以内に勤めていた会社から送られてくることになっています。離職票には2種類あり、「離職票2」には給与額や退職理由が記されているので、よく確認しましょう。
もし、10日たっても手元に届かない場合は、会社側に連絡をしてください。仮に会社側に問題があって「離職票をくれない」という場合は、ハローワークに連絡して発行してもらうことも可能です。
以上の書類を受け取ったら、すぐにあなたの住所地を管轄するハローワークへ行って求職の申し込みをします。失業給付は「再就職の意思」が条件なので、求職申し込みが必要になるわけです。
申し込みの際には、先の「雇用保険被保険者証」「離職票1・2」のほか、以下のものが必要です。
①住所および年齢等を確認できる書類(住民票、運転免許証など)、②個人番号確認書類、③印鑑、④顔写真(タテ3センチ×ヨコ2.5センチで正面上半身のもの)を2枚、となります。
なお、離職票1に必要な金融機関の振込み口座の証明印は、預金通帳でも代わりがききます。

受給説明会から「基本手当」振込みまでの流れ
前項の「求職の申し込み」をすると、雇用保険受給説明会の日時が指定されます。説明会では、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が渡されるので、必ず出席して必要書類を受け取ります。
この説明会において、第一回の失業認定の日時が伝えられます。その指定された日時にハローワークへ足を運ぶことが必要なので、指定日時をメモするなどして忘れないようにしましょう。
なお、申請から説明会の間に、管轄するハローワークでは「離職票2に記された離職理由が正しいか」を審査します。つまり、特定受給資格者や特定理由離職者かどうかをチェックするわけです。もし、「疑問がある」という場合には受給資格者証を渡される前に聴取を受けることもあります。
失業認定を受ける日がやってくると、その場で求職活動の状況について説明を求められます。
最初の失業認定は申請から原則4週間、その後も4週間ごとに失業認定日がきます。その4週間に2回以上(最初の認定日までは1回以上)求職活動を行なった実態が認められないと、基本手当は出ません。失業認定を受けると、1週間前後で申請した口座に基本手当が振り込まれます。
なお、自己都合で退職をした場合、最初の1か月間は給付制限期間が設けられます。求職の申し込みから7日間は待機期間が設定されるので、正確には7日+1か月の間が給付制限となります。
つまり、自己都合で退職をした人は、7日+1か月後の第二回の失業認定の後に、最初の基本手当が振り込まれるという仕組みになるわけです。

基本手当はいくらもらえるのか?
雇用保険の基本手当は、1日あたりの支給額を基本として、これに給付日数を掛けた金額が総支給額となります。日額(基本手当日額)については、原則として以下の流れで算出されます。
①離職した日の直前の6か月間で、毎月決まって支払われていた賃金を算出する……通勤、住宅等各手当は含むが、賞与や退職金などは含まれない
②①を180で割って賃金日額を算出する……上限と下限があるので、詳しくはハローワークへ
③②に、賃金日額や年齢ごとに設定された給付率を掛ける……およそ50〜80%。60歳以上については、45〜80%。賃金が低い人ほど率は高くなる
次に給付日数ですが、在職中に雇用保険の被保険者期間がどれだけあったか、あるいは、自己都合による退職か会社都合による退職かなどによって変わってきます。自己都合による退職の人の場合は、被保険者期間によって給付日数は以下のように変わってきます。
被保険者期間が10年未満……90日 10年以上20年未満……120日 20年以上……150日
なお、会社都合(倒産や解雇等)で退職した人については、次の図を参照してください(65歳以上の人については、「高年齢求職者給付金」の対象として計算されます)。


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