青色申告を選択し、一定の要件を満たすことで最大65万円の控除が受けられる青色申告特別控除。この記事では、青色申告や、青色申告特別控除を受けるための要件を解説する。
青色申告特別控除に関するQ&A
青色申告特別控除と給与所得控除はダブルで利用できる?
普段はサラリーマンとして働き、週末はフリーランスとして副業をするようなダブルワークの場合、青色申告特別控除と給与所得控除の両方を利用できるため、場合によっては効率的に節税することができる。
普段はサラリーマンとして働き、週末はフリーランスとして副業をするようなダブルワークの場合、青色申告特別控除と給与所得控除の両方を利用できるため、場合によっては効率的に節税することができる。
青色申告だから使える、必要経費や特別控除とは?
青色申告を選択することで必要経費とできるものの代表に、「青色事業専従者給与」がある。配偶者などの家族が仕事を手伝っている場合などに、その家族への給与の支払いを必要経費として計上することが認められる制度だ。
ほかにも青色申告の利点として、30万円未満の消耗品を購入した場合に一括償却できる「少額減価償却資産の特例」が使えることや、通年で事業が赤字となった場合にその損失を翌年に繰延べられる「繰越控除」などがある。
青色申告を選択することで必要経費とできるものの代表に、「青色事業専従者給与」がある。配偶者などの家族が仕事を手伝っている場合などに、その家族への給与の支払いを必要経費として計上することが認められる制度だ。
ほかにも青色申告の利点として、30万円未満の消耗品を購入した場合に一括償却できる「少額減価償却資産の特例」が使えることや、通年で事業が赤字となった場合にその損失を翌年に繰延べられる「繰越控除」などがある。
青色申告の条件、正規の簿記の原則とは?
青色申告で青色申告特別控除を最大65万円受けられるようにするには、正規の簿記の原則に従って、帳簿を作成しなければならない。
正規の簿記の原則で記帳を行うとは、一般的には「複式簿記」により記帳を行うことである。
青色申告で青色申告特別控除を最大65万円受けられるようにするには、正規の簿記の原則に従って、帳簿を作成しなければならない。
正規の簿記の原則で記帳を行うとは、一般的には「複式簿記」により記帳を行うことである。
青色申告特別控除とは?
所得税の確定申告を青色申告で行う、一番の利点と言えば、「青色申告特別控除」だ。
青色申告特別控除とは、事業による売り上げから必要経費を差引き、さらに最大65万円の控除が受けられるというものだ。
青色申告特別控除を受けるためには、原則として正規の簿記の原則に従って記帳しなければならないが、簡易帳簿でもよいとされている。ただし、その場合の控除額は65万円ではなく、10万円となる。
原則どおり、正規の簿記の原則に従って記帳し、申告書に貸借対照表と損益計算書を添付すると、青色申告特別控除は55万円となる。さらにe-Taxによる申告(電子申告)または電子帳簿の保存により、10万円の控除が加算されて、65万円になる。
この青色申告特別控除の最大65万円と基礎控除の48万円、合計113万円を控除できるようになるため、 大きな節税となるわけだ。
青色申告特別控除で節税できるのは、所得税だけではない。住民税や事業税、国民健康保険税の節税にもつながるので、効果はとても大きい。そのため個人事業や副業などでフリーランスとして働いている場合は、青色申告特別控除を使うことが節税の基本と言える。
ただし青色申告特別控除を利用するには、以下の要件がある。
・税務署へ届出を行い、承認を受けること
・正規の簿記の原則に従い記帳を行うこと
・確定申告の法定期限を守ること
青色申告を行うための届出
青色申告を行うためには、税務署に青色申告の申請を行い、承認を受ける必要がある。「青色申告承認申請書」を所轄の税務署長に提出すると、税務署が申請を承認するかどうかの判断を行うが、承認された場合は何の通知もされない。
逆に、却下となった場合は、承認申請書を提出した年の12月31日までに通知がされることになっている。
つまり青色申告承認申請書提出後、何の通知もなく確定申告時期を迎えた場合は、青色申告の申請が無事承認され、青色申告ができるようになるということだ。
青色申告承認申請書の提出期限
青色申告承認申請書には、提出期限 がある。
⑴原則
青色申告の承認を受けようとする年の3月15日
⑵新規開業した場合(その年の1月16日以後に新規に業務を開始した場合)
業務を開始した日から2ヵ月以内
⑶被相続人が白色申告者の場合(その年の1月16日以後に業務を承継した場合)
業務を承継した日から2ヵ月以内
⑷被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の1月1日から8月31日)
死亡の日から4ヵ月以内
⑸被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の9月1日から10月31日)
その年12月31日
⑹被相続人が青色申告者の場合(死亡の日がその年の11月1日から12月31日)
翌年2月15日
正規の簿記の原則どおりに帳簿を作成する方法
青色申告特別控除で、最大65万円の控除を受けるためには、正規の簿記の原則に従い、帳簿を作成することになっている。
正規の簿記の原則に従った記帳とは、一般的には「複式簿記」を指している。複式簿記と言っても、実際にはよく分からないといった人や、具体的な記帳方法が分からず、青色申告特別控除を受けることにためらいを感じている人もいるだろう。
専門家に依頼し、複式簿記で記帳してもらう?
複式簿記が何なのか、また具体的な記帳の仕方が分からない際は、専門家に依頼する方法がある。税理士が多いが、中には税理士のように税務相談は行っていないものの、複式簿記での記帳を代行する記帳代行サービス を行っている業者もいる。
こうしたサービスを利用すると、請求書や領収書、レシート、預金通帳、といった原始資料を記帳代行業者に渡すことで、その資料を基に複式簿記による記帳や、会計ソフトへの入力を行い、自動で複式簿記による帳簿が作成できる。
ただし税理士や記帳代行業者に支払うコストが、青色申告特別控除による節税メリットを大きく上回るようだと元も子もない。
では、専門家に依頼するコストの目安はどのくらいなのか。
専門家に複式簿記による記帳を依頼することで得られる青色申告特別控除のメリットは、正規の簿記で記帳していることで受けられる控除額65万円だ(e-Taxで申告することも含むむ)。
簡易の帳簿でも10万円の控除を受けられることから、実際のメリットは、65万円と10万円の差、55万円である。
所得税の税率(累進課税制度で、課税所得の額が増えるほど税率が高くなる)にもよるが、仮に現在の所得税率が10%の場合、55万円×10%=5万5000円となり、所得税は5万5000円の節税になると考えられる。
青色申告特別控除は、所得税だけでなく、住民税や事業税、国民健康保険税にまで影響してくることがある。人によって異なるが、総節税額は軽く10万円を超えることもある。
ざっくりとした目安ではあるものの、複式簿記による帳簿の作成を専門家に依頼するコストとしては、10万円程度が目安となる。(複式簿記による記帳を専門家に依頼した場合のコストはそれ自体も必要経費となるので、その分を考慮すればより税額が下がることになる。)
クラウドの会計ソフトはどうなの?
専門家に依頼せず、自分で複式簿記による帳簿を作成しようと考えたときに検討したいのが、会計ソフトの利用だ。
会計ソフトに領収書など原始資料を記録、仕訳していくことで、複式簿記による帳簿作成ができる。多くの会計ソフトは、複式簿記の詳しい知識がなくても使いやすいように工夫がされている。
最近では、クラウドを利用した会計ソフト が増えてきている。クラウドを利用した会計ソフトは、クラウド会計ソフトに関連した請求書作成ソフトや給与計算ソフト、経費精算システムなどと連動させることで、自動的に会計データを取り込めるようになっている。
さらにインターネットバンキングやクレジットカードなど、Web上で取引明細が確認できるサービスを利用すれば、こちらのデータもクラウド会計ソフトに取り込める。会計ソフトへの入力作業を大幅に減らすことができ、結果的に帳簿作成が楽になる。
実際は、そのような会計ソフトの機能だけでなく、最低限の簿記の知識と技能も必要だ。やはり最後は専門家に相談すると間違いないだろう。
青色申告特別控除と給与所得控除の併用
普段はサラリーマンとして給与収入を得ていて、ほかにも賃貸不動産を所有するなどして不動産の賃料を受け取っていたり、フリーランスとして働いた売り上げがあったりした場合、給与収入の給与所得控除と青色申告特別控除を併用することができる。
このような人たちは、すべての収入が給与収入である人や事業所得である人よりも、大きな控除枠が使える。
例えば、サラリーマンが副収入を得るために、アルバイトで給与収入を稼ごうとするよりも、フリーランスとして仕事をしたり、不動産投資で収入を得たりしたほうが、税務的にはメリットがあると言える。
逆に、事業所得のみの人の場合、副収入は、アルバイトのような給与で収入を得たほうが税務メリットがあると考えられる。
青色申告特別控除を使うと国民健康保険税も変わる?
青色申告特別控除と言えば、所得税や住民税、事業税といった税額が減る節税としての効果が中心だが、意外と見落とされがちなのが社会保険に加入していない人が支払っている国民健康保険税だ。
実は、国民健康保険税も青色申告特別控除を利用することで減額されることがある。
国民健康保険税の税額に影響する所得割の計算で使われる所得は、総所得金額だ。 つまり、生命保険料控除や扶養控除などが控除される前の金額になる。
この総所得金額は、青色申告特別控除が控除された後の金額であり、青色申告特別控除を行っていない場合は、その分国民健康保険税も上がることとなる。
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