ふるさと納税とは、自分が応援したい都道府県や市区町村に寄付ができる制度だ。
そんなふるさと納税の確定申告はどうすれば良いのか。詳しく解説しよう。
執筆者:森 泰隆
確定申告とは?
確定申告は、1年間の所得を税務署に申請する制度である。1月1日から12月31日までの所得金額を計算して、それに対する所得税を計算する。
サラリーマンには必要ない?
給与などを1ヵ所から受けている人は会社が源泉徴収するだけでよく、確定申告は必要な
い。多くのサラリーマンはこれに該当する。
ただし、年収2000万円を超えている人や副業などで2ヵ所以上から20万円以上の所得がある人は確定申告をしなくてはならない。投資やネットショッピングなどで20万円以上の収入があれば、確定申告をしなくてはならない。
所得税の確定申告をしている人は約2204万人(2019年分)で、2011年からほぼ横ばいで
推移している。
給与などを1ヵ所から受けている人は会社が源泉徴収するだけでよく、確定申告は必要な
い。多くのサラリーマンはこれに該当する。
ただし、年収2000万円を超えている人や副業などで2ヵ所以上から20万円以上の所得がある人は確定申告をしなくてはならない。投資やネットショッピングなどで20万円以上の収入があれば、確定申告をしなくてはならない。
所得税の確定申告をしている人は約2204万人(2019年分)で、2011年からほぼ横ばいで
推移している。
確定申告の時期
確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日となっている。2020年の確定申告は新型 コロナウイルスの影響で、4月16日まで延長された。4月17日以降でも柔軟な対応で受 け付けている。
確定申告の時期は、毎年2月16日から3月15日となっている。2020年の確定申告は新型 コロナウイルスの影響で、4月16日まで延長された。4月17日以降でも柔軟な対応で受 け付けている。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、自分が応援したい都道府県や市区町村に寄付ができる制度である。寄付をした自治体からその地域の特産品がもらえることなどで人気がある。
●ふるさと納税がスタートした背景
2006年に当時の福井県知事が故郷寄付金控除を提言したことが始まりだといわれている。
税収の減少に悩む自治体や地方間の格差を解消し、いかに活性させるかの議論があった。 2008年からスタートしたこの制度は、右肩上がりで利用者が増えており、2019年度は約2334万件を受け入れている。
●2019年度から新制度
以前から、返礼品の競争激化が問題となっていた。2019年6月から返礼品は地場産業に限る、返礼品の調達額を寄付金の3割にする、寄付金の募集を適正に実施することなどの3条件を順守することを自治体に義務化されるようになった。
この際、大阪府泉佐野市などの4自治体がふるさと納税制度の適用から除外されたが、2020年6月30日の最高裁判決で復活が決まった。
ふるさと納税には確定申告で寄付金控除が受けられる
ふるさと納税の本来の大きなメリットは寄付金控除を受けられることである。ふるさと納税は寄付金額から自己負担額2000円を引いた額を所得税・住民税から差し引くことができる。
ふるさと納税には確定申告が必要?
ふるさと納税は、スタート当初は確定申告が必要だった。年末調整はできないが、現在はは便利なワンストップ特例制度もあり、確定申告が必ずしも必要なわけではない。
●確定申告が必要な人は?
もともとふるさと納税とは関係なく、年収2000万円以上や2ヵ所以上から20万円以上の収入がある人や、医療費控除や住宅借入金等(住宅ローン)特別控除などで確定申告することでメリットがある人なら、ふるさと納税もついでにできるだろう。 ふるさと納税の申込先が6ヵ所以上ある人はワンストップ特例制度が使えず、確定申告をしなければ、寄付金控除を受けることができない。
●ワンストップ特例制度
1年間のふるさと納税の申し込みが5自治体以内で、給与所得者ならワンストップ特例制度を使えば、税金控除の手続きを簡単に行える。ただし、確定申告の義務がある人は使えない。ワンストップ特例制度は、寄付を受けた翌年の1月10までに申請書を提出しなければならない。
ふるさと納税確定申告とワンストップ納税制度どちらがお得?
ふるさと納税には確定申告で寄付金控除を受ける方法とワンストップ特例制度で寄付金控除を受ける方法がある。
●確定申告のメリットデメリット
ふるさと納税の確定申告は6ヵ所以上の自治体で使う人にとってはメリットがある。確定申告なら住民税だけでなく、所得税も控除されるので節税効果は大きい。 一方、寄付する自治体が少なく、寄付金の額が少ない人にとっては手間ばかりかかってしまう。
●ワンストップ特例制度のメリットデメリット
5自治体以内しか使わない人で、確定申告の必要がない人にとってワンストップ特例制度は書類を書いて、返送するだけなので確定申告の煩雑な手間を省くことができる。 しかし、住民税の控除しか受けられず、所得税を控除できないという意味ではデメリットである。
ふるさと納税確定申告でどれだけお得に?
ふるさと納税は返礼品だけでもお得だが、ふるさと納税サイトによってはポイントが貯まるサイトもあるので、控除も含めて二重三重にお得な方法がある。
控除にしても、確定申告でどれくらい節税できるかも、年収や扶養家族などの家庭の事情でも大きく変わってくる。
●年収350万円単身世帯なら
独身で扶養家族もいない人が、ふるさと納税を始めた場合を例に考えてみよう。
他の控除はないと考えて、大体3万5000~4万円くらいまで寄付できる。仮に3万5000円寄付した場合、確定申告をすると、所得税1700円、住民税3万1400円が還付される。
●年収600万円の子供二人世帯なら
年収600万円で、夫婦子供4人家族(妻は専業主婦)の例ではどうだろうか。
7万円以上寄付できることになり、仮に7万円寄付した場合、所得税7000円、住民税6万1200円が控除されることになる。
ふるさと納税確定申告の仕方
ふるさと納税をすると、自治体から返礼品とは別送で、お礼の手紙と寄付金を受領したことを証明するワンストップ特例制度に関する書類と、寄付金受領証明書が送られてくる。このうち、寄付金受領証明書が確定申告に必要である。
ふるさと納税確定申告に必要な書類
確定申告は、確定申告書に手書きで提出するか、国税庁のホームページの確定申告書作成コーナーにアクセスして記入し、印刷して提出する方法と、e-Taxで提出する方法がある。e-Taxなら書類提出の手間を省くことができるが、入力する際に必要な書類がある。
●寄付金受領証明書
寄付をした際に自治体から送られてくる書類だが、書類で確定申告書を提出する際に添付しなくてはならない。提出しなくても保存しなくてはならない。 捨ててしまったなど紛失した場合、自治体に問い合わせて再発行してもらう必要がある。
●源泉徴収票
勤務先から発行される源泉徴収票が必要となる。e-Taxなら提出不要だが、入力する際に必要となる。書面で提出する場合は、添付しなくてはならない。
●還付金の銀行口座
還付金は勝手に振り込まれるわけではなく、振込口座を記入しなくてはならない。銀行やゆうちょ銀行、信用金庫、農業協同組合などの口座を利用できる。インターネット専用銀行については利用できない銀行もあるので事前に問い合わせたほうがよいだろう。
●マイナンバーカード・印鑑
確定申告書類には個人番号を記入する欄がある。e-Tax以外は提出する際に運転免許証や保険証などの本人確認書類の添付が必要となる。マイナンバーカードがある人は、マイナンバーカードを本人確認書類とすることもできる。
ふるさと納税確定申告の書類作成方法
最寄りの税務署で書類をもらって手書きで提出もできる。手書きが面倒だが、e-Taxができないという人は国税庁のホームページから数字を入力して、完成すれば印刷して必要書類を添付して税務署に提出することができる。
書類の入力は、税金額や還付額などは自動で計算してくれる。時間がかかるので、1回でできなくても、途中で保存することもできる。
ふるさと納税の還付金を受けられる時期は?
ふるさと納税の確定申告をしたものの、いつ還付金が振り込まれるか気になるところだろう。 住民税の還付は、納税を行った翌年の6月以降に控除されるので、6月頃に配布される住民税決定通知書にて確認することができる。確定申告による所得税の還付は、確定申告から1ヵ月〜1ヵ月半後くらいに振り込まれる。
ふるさと納税でカンタンな確定申告の方法
確定申告書は、直接税務署の窓口に持参してもよいし、郵送で送ってもよい。税務署への持参は時間外でも専用ポストに投函するだけでも受け付けている。
●便利なe-Tax
e-Taxは、2004年の行政手続きオンライン化法に基づき整備された。e-Taxの普及により、パソコンやスマートフォン(2020年1月より)から所得税、青色申告、法人税の申告が行えるようになった。
2019年度は、所得税の申告のe-Tax利用率は59.9%となっている。
マイナンバーカードリーダやカードリーダライタが普及するまでの暫定的な措置ではあるが、ID・パスワードを取得すれば、e-Taxを国税庁の確定申告書作成コーナーから申告書を作成して完了でき、税務署への添付書類も郵送も省略できるようになっている。スマートフォン、タブレットからも送信できる。
●確定申告に間に合わなくても還付を受けられる?
ワンストップ特例制度も確定申告も忘れてしまい、期限を過ぎてしまった場合、「今年は諦めて来年しよう」と思って、そのままにしてしまうかもしれない。
しかし、ふるさと納税の寄付金控除は確定申告書の提出期限から5年以内なら、更正の請求という形で寄付金控除の適用を受けられる場合がある。これを還付申告という。ただし、住民税には適用されない。
ふるさと納税の注意点
ふるさと納税はお得な制度ではあるが、無条件に寄付すればするほど、得するというわけではない。やり方によっては損をすることもある。
申請を忘れていたということ以外にも、申請しても意味がないからとあきらめていたということもある。
ふるさと納税の確定申告は、医療費控除や住宅借入金等(住宅ローン)特別控除とも併用できる。医療費控除と住宅借入金等特別控除で、所得税がゼロになったので申請しなかったというケースなら、住民税の減額が受けらないので損をしたことになる。
あとは、同じ年に同じ自治体に2回以上寄付してしまうと、返礼品がもらえないケースもある。自治体によってルールが違うので、よく調べてから寄付したほうがよいだろう。
ほかにも、税金を払っていない専業主婦や扶養されている家族が、自分の名前で申し込んでしまった場合は還付が受けられない。クレジットカードで支払う場合、名義を確認しないといけない。
返礼品目当てでも結構だが、やり方によっては税金の還付を受けられない普通の寄付になってしまうこともあるので、注意が必要だ。