住宅ローン控除を適用して個人の税負担を抑えることで、家計の負担を減らすことができる。どのくらい税負担を抑えられるかは、住宅の購入を検討中の人にとって気になるところではないだろうか。

住宅ローン控除は、住宅の種類などによって受けられる控除が変わるほか、連帯債務や持ち分によっても変わる。今回はこれから住宅を購入し、住宅ローン控除の適用を検討している人に向けて住宅ローンの計算方法について解説する。

中村太郎
中村太郎
中村太郎税理士事務所所長・税理士。1974年生まれ。和歌山大学経済学部卒業。税理士、行政書士、経営支援アドバイザー、経営革新等支援機関。税理士として300社を超える企業の経営支援に携わった経験を持つ。税務のみならず、節税コンサルティングや融資・補助金などの資金調達も得意としている。中小企業の独立・起業相談や、税務・財務・経理・融資・補助金等についての堅実・迅速なサポートに定評がある。

住宅ローン控除に関するQ&A

住宅,ローン,控除,計算
(画像=PIXTA)
Q


住宅ローン控除って何?

住宅ローン控除は、個人の税額控除の1つである。税額控除とは、計算した税額から直接控除できるもののことだ。金額が小さくても、所得控除(生命保険料控除や配偶者控除など)より節税効果が高い。

例えば、所得が400万円、所得控除が100万円の場合、所得税は30万円となる。節税のためにiDeCoに加入して所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を24万円計上した場合、所得税は27万6000円となる。24万円の支出で2万4000円の節税となった。(節税額は個人の所得税率によって決まる)

この例で、ローン残高1000万円で住宅ローン控除を適用した場合どうなるだろうか。住宅ローン控除は年末のローン残高の1%なので、控除額は10万円となる。住宅ローン控除は税額控除なので、所得税30万円から10万円を直接控除できるため、税額は20万円となる。

つまり10万円の控除で10万円の節税ができるのが税額控除である。たった1%でも節税効果が非常に高いと言える。

住宅ローン控除は、個人の税額控除の1つである。税額控除とは、計算した税額から直接控除できるもののことだ。金額が小さくても、所得控除(生命保険料控除や配偶者控除など)より節税効果が高い。

例えば、所得が400万円、所得控除が100万円の場合、所得税は30万円となる。節税のためにiDeCoに加入して所得控除(小規模企業共済等掛金控除)を24万円計上した場合、所得税は27万6000円となる。24万円の支出で2万4000円の節税となった。(節税額は個人の所得税率によって決まる)

この例で、ローン残高1000万円で住宅ローン控除を適用した場合どうなるだろうか。住宅ローン控除は年末のローン残高の1%なので、控除額は10万円となる。住宅ローン控除は税額控除なので、所得税30万円から10万円を直接控除できるため、税額は20万円となる。

つまり10万円の控除で10万円の節税ができるのが税額控除である。たった1%でも節税効果が非常に高いと言える。


Q


住宅ローン控除に上限額はある?

住宅ローン控除の計算対象となる年末のローン残高には、上限額がある。無制限に税額控除ができるわけではない。

住宅ローン控除の上限額は、過去に何度も改正されて現在の形に至っている。しかし改正されたらすべて改正後のルールが適用されるわけではなく、入居開始年のルールが最後まで適用されるので注意が必要だ。

住宅ローン控除の計算対象となる年末のローン残高には、上限額がある。無制限に税額控除ができるわけではない。

住宅ローン控除の上限額は、過去に何度も改正されて現在の形に至っている。しかし改正されたらすべて改正後のルールが適用されるわけではなく、入居開始年のルールが最後まで適用されるので注意が必要だ。

2020年入居の住宅ローン上限額

2020年(令和2年)中に入居した人は、2019年(令和元年)10月1日以後に入居を開始した人と同じルールが適用される。

同10月1日からルール変更となった理由は、消費税率が8%から10%に増税したことが関係している。増税の負担を軽減するため、住宅を取得した代金や増改築の費用に対してかかった消費税が、住宅ローン控除の上限額の計算にかかわってくるのだ。

【2019年(令和元年)10月1日~2020年(令和2年)12月31日までに居住した場合の上限額】

 適用期間  1年目~10年目  11年目~13年目
 消費税率  右以外(すべて8%など)  8%又は10%  すべて10%(特別特定取得)
 認定住宅の
 新築等
 残高×1%
 (最大30万円)
 残高×1%
 最大50万円)
 AかBのいずれか小さい額
 A:残高×1%(最大50万円)
 B:建物の対価等(税抜)×2%÷3
 上記以外  残高×1%
(最大20万円)
 残高×1%
 (最大40万円)
 AかBのいずれか小さい額
  A:残高×1%(最大40万円)
  B:建物の対価等(税抜)×2%÷3

増税による負担を軽減するため、10%取引が含まれているときの住宅ローン控除の上限が50万円か40万円に上がっている。すべて10%取引という特別特定取得のケースについては、通常10年間の控除期間が3年延びて13年となっている。ちなみに上限額の引き上げは、5%→8%のときにも実施された。

認定住宅とは「認定長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」のことで、それぞれ一定の性能評価の基準を満たす家のことだ。新築等のみが住宅ローン控除の対象となる。なお、2021年(令和3年)中に居住した場合は、特別特定取得の適用はなく、11年目から13年目の控除もない。

新型コロナウイルス関連で入居が遅れて控除が受けられなかったり、3年間の延長が受けられなかったりした場合は、例外的な扱いがある。

 適用期間  1年目~10年目
 消費税率  右以外 (すべて8%など)  8%又は10%
 認定住宅の新築等  残高×1%
 (最大30万円)
 残高×1%
 (最大50万円)
 上記以外  残高×1%
 (最大20万円)
 残高×1%
 (最大40万円)

<よくある質問>

Q


中古で取得した認定住宅の住宅ローン控除の上限額はどうなる?

認定住宅の「新築等」とは自分で新築した場合と、新築後一度も使用されていない住宅を取得した場合をいう。認定住宅であっても新築等でなければ、認定住宅の上限額は適用されず、中古住宅等の取得として検討することになる。

国税庁:タックスアンサーNo.1221

認定住宅の「新築等」とは自分で新築した場合と、新築後一度も使用されていない住宅を取得した場合をいう。認定住宅であっても新築等でなければ、認定住宅の上限額は適用されず、中古住宅等の取得として検討することになる。

国税庁:タックスアンサーNo.1221

住宅ローン控除の計算方法

●計算手順

住宅ローン控除は、家屋や土地の取得対価や増改築の費用に対する住宅ローンから計算する。ただしローンの全額を住宅ローン控除の計算に使えるわけではない。本人の持ち分にかかる住宅の取得対価の額が、本人が負担するローンよりも少なければ、取得対価の額を住宅ローン控除の計算に使う。

まずは住宅ローン控除を受ける本人の持ち分にかかる住宅の取得対価の額を計算する。

【取得対価の額の計算(手順1~4)】
1:住宅の取得等(新築・中古取得・増改築)の対価の額を計算する
2:補助金がある場合は、1から補助金を控除する
3:2に住宅ローン控除を受ける本人の共有持分をかける
4:住宅取得資金の贈与を受けている場合は、3から特例を受けた額を控除する
ここまでが本人の持ち分にかかる住宅の取得対価の額となる。

【住宅ローン控除額の計算(手順5~11)】
以下の手順で、住宅ローンのうち本人が負担する額を計算する。
5:借入先のローン残高を確認する。複数あれば合計する。
6:連帯債務があれば負担割合を計算する
7:6の負担割合から連帯債務のうち自己負担分を計算する
8:7と自分の単独債務を合計する
9:8と4のどちらが少ないほうの額を判定する。
10:9に居住用割合をかける
11:10に1%をかける

住宅ローンの残高は、銀行などの借入先から送付される住宅ローン残高証明書をもとにするが、住宅ローン控除の計算に使えるのは、申請者本人が負担するローンのみで、かつ居住用部分に限られる。さらにローンが連帯債務であれば、連帯債務の額を負担割合で分けて本人が負担するローンを計算する。

本人の負担する住宅ローンを計算したら、手順4で計算した住宅の取得対価の額と比べる。2つのうちどちらか低いほうの額が、その年の住宅ローン控除を計算するローン残高になる。

●連帯債務の計算

連帯債務は、誰がいくら返済するか通常は決まっていない。夫や妻が連帯債務者であれば、夫が全額返済してもいいし妻が全額返済してもよい。(返済していない人に求償することは可能)

ただし、住宅ローン控除はローン残高のうちその人が負担する分しか計算対象にできない。 そのため、連帯債務者がいるときは、連帯債務のうち個々が負担する割合を計算し、自分が負担するローン残高を計算する必要がある。

この計算は、計算明細書の「付表」によって行う。計算方法は、まず家屋と土地それぞれの持ち分から、各人が取得した資産の額を計算し、資産の内訳をみていく。

連帯債務による借入額は、資産の額のうち自己負担額と単独債務を除いた額となる。その額のうち、各人が取得した資産から自己負担額や単独債務を除いた額が占める割合が連帯債務の負担割合となる。

仮に自己負担額も単独債務もなければ、連帯債務の負担割合は、各人の持ち分と一致する。

住宅ローン控除の計算例

住宅ローン控除の計算を具体例で見てみよう。

<例>
・住宅の取得対価の額 5000万円(共有持分:夫婦で各2分の1)
・借入金 年末残高4000万円(連帯債務者 配偶者)
・夫婦で500万円ずつ資金を負担している
・居住割合100%
・夫の住宅ローン控除を計算する

<手順1~4>
・夫の持ち分にかかる取得対価の額の計算
夫5000万円×持ち分2分の1=2500万円

<手順5~8>
ローン残高4000万円(連帯債務)
連帯債務の負担割合
・夫の取得対価の額 2500万円-自己負担500万円=2000万円
・連帯債務の負担割合 2000万円/4000万円=50%

本人が負担する住宅ローン残高
4000万円×50万円=2000万円

手順4と手順8の比較
 2500万円>2000万円 ∴2000万円

居住割合 2000万円×100%=2000万円
住宅ローン控除額 2000万円×1%=20万円

特定増改築等がある場合の住宅ローン控除の計算例

増改築等のうち特定増改築等にあたるものがある場合、特定増改築等から計算した住宅ローン控除額と通常の増改築等の住宅ローン控除額を選択できる。

特定増改築等に対する住宅ローン控除の計算方法は、通常の住宅ローン控除とは異なり、以下の計算式となる。

【計算式】
特定増改築等の年末残高×2%+(増改築等の年末残高-特定増改築等の年末残高)×1%

特定増改築等の年末残高は、特定取得にあたる場合は最高250万円、あたらない場合は200万円が上限だ(多世帯同居改修工事は250万円)。ここでは、増改築等の年末残高は1000万円が上限となる。

上述の計算式による値と増改築等から計算した通常の住宅ローン控除のいずれかを選択する。特定増改築等の控除期間は「5年」しかないので、選択時は十分注意が必要だ。

<例>
・増改築等の費用2500万円(すべて特定増改築等にあたる)
・増改築等の借入金年末残高2000万円
・共有持分・連帯債務なし、居住用割合100%
・特定取得にあたる

【特定増改築等】
250万円×2%+(1000万円-250万円)×1%=12万5000円

【増改築等】
2000万円×1%=20万円

この場合、増改築等による通常の住宅ローン控除を選択する。通常の住宅ローン控除の額が少し低くても控除期間が長いことから、増改築等を選ぶケースが多いだろう。ただし年末残高は毎年減少するので、1年目の額を単純に10倍・5倍しても正確な判定はできない。

住宅ローン控除の計算は早めに相談しよう

住宅ローン控除は通常、「年末ローン残高×1%」という非常にシンプルでわかりやすい計算となっている。

しかし、計算ルールが多いため、この計算式に行き着くまで人によっては複雑な計算をしなければならない。計算方法で迷ったときは、税務署や税理士に早めに相談するとよいだろう。