本記事は、川尻 征司氏の著書『GLOBAL CITIZEN グローバル・シチズン 世界標準の自分らしく夢を叶える7ルール』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています。

Abstract swirling tunnel of dollar bills, representing economics
(画像=Sweet Mango / stock.adobe.com)

「変化の時代」になり、お金のルールが変わった

資本主義社会は、今、限界が近づいているようです。

原因は、新型コロナウイルス感染症の蔓延による世界的経済の大ダメージです。

私はこれを「マネーサプライの膨張」と呼んでいますが、落ち込んだ経済を回復するために各国は必要以上に紙幣を刷りました。

大量に刷られた無限のお金が市場に流通していったら、世の中はどうなるでしょうか? 答えは、「お金の価値がどんどん暴落していく」です。

お金の過剰供給が激しいインフレを招き、結果的に海外からの物流が止まり、銀行の預金封鎖も起こります。最終的には、ギリシャ、イタリア、ロシアなどのように国家単位の破産にまで及ぶでしょう。

まさに今、世界規模の「変化の時代」を迎えているのです。

私たちは望むと望まざるとにかかわらず、そういう時代に生きているのです。

まずは、お金のルールが変わったことを強く認識しましょう。

1.お金の形態が大きく変わった

古代では、お金は石や貝殻を使っていましたが、やがてお札やコインなどの現金が流通し始めました。

特にお札は、ゴールドと交換できる証明書としてスタートしました。

その後、アメリカのニクソン大統領がゴールドと交換するのをやめると宣言しました。

そのときから、お札はただの紙切れになりました。

お金はみんなが信用しているから価値があるのです。現在ではお金はデジタル化しており、電子マネーや暗号通貨へと大きく変化しています。

2.お金に対する価値観が大きく変わった

日本では高度経済成長のとき、カラーテレビ、クーラー、車の3Cが「三種の神器」と呼ばれ、庶民の憧れの的でした。

1950年代には、お金で何でも買えるような雰囲気がありました。

また、1986〜1991年のバブル期、「必ず値上がりするから、不動産を買ったほうがいい」とすすめられ、多くの方が支払えない額のローンを組んで不動産を購入しました。

このように一時代前は、お金や不動産に価値がありましたが、現在は情報に価値があったり、お金で買えない経験や一緒に夢を叶かなえてくれる仲間が、かけがえのない財産だったりします。

多くの人はやっと、「お金で買えるものには限界がある」と気づいたのです。

3.お金がなくても幸せになれる時代になった

平成生まれの人は、「ゆとり世代」「さとり世代」と言われていて、お金に対してもあまり執着していません。お金がなくても、公園のベンチでパートナーと一緒に過ごすことに幸せを感じる世代です。

フェラーリのような高級車は必要なく、自転車で自然の中をサイクリングし、週末はマイカーで郊外に出かけてバーベキューをするだけで満足する……。

経済も価値観も変わってきました。しかし、新しいグローバルなルールを知らないと、どんどん時代から取り残されてしまいます。

いつの時代にも「富のスパイラル」があるように、「貧しさのスパイラル」があります。そこに落ち込むと、一生抜け出せなくなってしまいます。

私も、そこから抜け出すのに大変な苦労をしました。

たとえ、あなたがダイヤモンドの原石のような才能を持っていても、それを活かすことなく一生を終えてしまうかもしれません。

物質的な幸せと精神的な幸せは車の両輪のようなものです。

どちらも欠けてはならず、バランスが大事なのです。

グローバル・シチズンの法則
  • お金は絶対的な幸せを約束してはくれない。
  • 「ゆとり」がお金以上の価値を持つようになった。

お金は「貯蓄」するのではなく、「循環」させる

2006年に岩波新書から刊行された『格差社会』(橘木俊詔著)は、大ベストセラーになり、このころから日本は本格的な格差社会に突入しました。

中流階級が消えて、富める人と貧しい人との格差が広がりました。

この現象は日本だけではなく、世界でも同時に起こっています。

世界中で貧富の差が拡大しているのは、なぜでしょうか?

私は、残念ながら資本主義も共産主義も、どちらも「お金の循環システム」がうまく機能していないからだと考えています。ピラミッド構造の上の人たちだけが潤い、下の人たちはいくら働いても貧しい状態から抜け出せないのです。

例えば、アフリカでコーヒー豆やカカオ豆の栽培に従事している人たちは、長時間労働をしていても貧困から脱出することができません。

世界には食糧も富も十分にあるにもかかわらず。

1番の問題は、食糧や富の再分配がきちんとされていないこと。

例えば、日本のフードロスは年間に約600万トンにも上り、世界の食糧援助量の1.6倍に匹敵するそうです(消費者庁データ)。

「賞味期限が切れたから捨てる」という食糧を、世界中の飢えている地域に送るだけで、飢餓問題は一気に解決できます。

また、日本人のよくない習慣として、「目的もなくお金を貯める」ことが挙げられます。

戦争中に貯蓄を奨励した日本政府の影響がいまだに残っているのです。当時は戦争のための武器を買うお金が必要だったので、国民の貯蓄を奨励しました。

しかし、多くの人がお金を使わなくなると、経済が回らなくなります。

すると物価も下がり、給料も下がってしまい、デフレ状態になって、景気が悪くなってしまいます。

経済を回す特効薬は、お金を循環させることです。

私は、多くの人に富を得るチャンスを提供して、人を幸せにすることで日本経済を活発にしたいと考えています。そのため、若いベンチャー企業に出資する投資家としても活動しています。

志のある企業が成長することで、日本は国も会社も人も豊かになります。

私にとって「お金」とは「ありがとうの印」です。

多くの人の感謝の量が数字(金額)となって返ってくるのです。

この「ありがとうの循環」が世界中に広がることによって、貧しい人にも富の分配ができます。お金が循環することで、貧困問題も教育問題も解決します。

世界の人がWin-Winになり、最終的には戦争のない平和な世界にもつながると考えています。

「お金の循環」は水の循環と同じです。水は滞ると濁って、最後には腐ります。

お金も同じです。自分だけで抱え込んでいると、お金に宿っている「恨み」「妬み」などのおんねんまで抱えてしまいます。

私が投資家になったのは、お金を循環させるためです。

この循環方法を、私は「お金のクリアリング」と呼んでいます。

そして、お金は循環させることで何倍にも増えて返ってくるのです。

グローバル・シチズンの法則
  • お金が循環することで人は幸せになる。
  • お金は循環させることで増えて返ってくる。
GLOBAL CITIZEN グローバル・シチズン 世界標準の自分らしく夢を叶える7
  ルール
川尻 征司(かわじり・せいじ)
公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATION創設者【内閣府認定】
1982年、兵庫県芦屋市生まれ。
2022年3月に設立した公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATIONでは、学業優秀でありながら経済的な理由により学費の支弁が困難な大学生に川尻育英奨学金を給付し、支援している。
また、世界をつなぐアートプロジェクト「DANDELION PROJECT」のサポートや「tHE GALLERY HARAJUKU」の設立など、アート&カルチャーの新潮流を作るアーティストの支援を行う新世代ギャラリストとしても活動している。

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GLOBAL CITIZEN グローバル・シチズン 世界標準の自分らしく夢を叶える7ルール
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