本記事は、川尻 征司氏の著書『GLOBAL CITIZEN グローバル・シチズン 世界標準の自分らしく夢を叶える7ルール』(扶桑社)の中から一部を抜粋・編集しています。
「AIディレクション」で人工知能は自己成長する
AIは人力でやっていたことを代替しているに過ぎません。
「目的を定めること」「出力されたデータを判断すること」「作成データを応用すること」は人間にしかできないのです。
AIに対して前提条件や質問を設定することを「AIディレクション」と呼びます。すでにアメリカなどでは、AIへの質問や作業の指示を出す専門家も生まれています。 そのとき重要になってくるのは、次の2つのポイントです。
1.何をさせるか?
実はAIには、不得意ジャンルがあります。
例えば、「人の気持ち」や「微妙なニュアンス」を扱うのは苦手です。
日本人同士ならば簡単に伝わる心、「結構です」「それじゃあ、そういうことで」などの会話は、AIにはわかりません。日本語の「どうも」には数十もの個別の意味があります。
ですから、人間に依頼するようなつもりで文章を書かせると、まったく無関係だったり、目的にそぐわなかったりする内容を織り交ぜることがあります。
「自然に見える文章を出力する」という目的で文章を作成するため、平気で間違った固有名詞を使うこともあります。
2.どのような質問・指示をするか?
ChatGPTのような対話型AIに適切な回答を出させるには、AIに質問の背景を伝え、適切に質問を設計する必要があります。
曖昧な質問では、曖昧な回答しか返ってこないからです。
例えば、この本を執筆するときに私がChatGPTを活用した際には、次のような前提をAIに伝えました。
「私は、経済的に一定の成功を収めています」
「今回、書籍を制作するための取材を受けています」
「古い価値観や行動を変えるためにどうしたらよいかを教えてください」
「お金の使い方について、世の中のために役立つような回答をしてください」
私は、書籍の内容を求めているのではなく、中身の正確性をチェックするためにAIを有効活用しています。資料作成をAIに任せることによって、より生産性のあるクリエイティブな仕事に没頭できます。
AIの最大の能力は、過去の問いに対して、新たな変化を受け入れ、学習して、最適解を瞬時に見つけ出すことです。将来的には、「ドラえもん」のように、人間以上に情緒豊かなAIも生まれるかもしれませんね。
- 資料作成はAIに任せ、クリエイティブな作業に専念する。
- 「何をさせるか?」より「どのような指示を出すか?」が大事。
AIは、今後 年間で1兆倍賢くなる
2023年7月、東京大学で開かれた「東大×生成AIシンポジウム」に登壇したソフトバンク会長の孫正義氏は、「AIは今後10年間で、平均的な人間の100万倍、30年間で1兆倍と圧倒的に賢くなる」と語りました。
また孫氏は、「AIを使わない人は、車があるのに遠くまで歩いていくようなものだ」とも述べています。
人工知能が開く未来に対して、マイクロソフトやグーグル、その他さまざまなベンチャー企業が生成AIを使ったサービスを提供しています。
その結果、生成AIを使う人と使わない人との間には、富でも人脈でも社会的信頼度でも、圧倒的な差がついてしまいます。
文章だけではありません。AIはウェブサイト制作も得意です。
さまざまなパターンのウェブサイトを一瞬で作ることができます。
また、AIを使えば、人間と変わらない対応ができる「チャットボット」(自動会話プログラム)が実現します。これまでアイドルや芸能人がやっていた「握手会」のようなファンと触れ合うイベントも、メタバース上でチャットボットが行い、これに課金されるようになるかもしれません。
Vチューバー(イラストのキャラクターを使うユーチューバー)では、動画のキャラクターを使うサービスも今後は加速していきます。
バーチャル世界は、AIの発展とともに無限に広がっていくでしょう。
- AIはすべての業界の可能性を無限に広げる。
- 現実よりもリアルな世界が創り出されていく。
1982年、兵庫県芦屋市生まれ。
2022年3月に設立した公益財団法人KAWAJIRI FOUNDATIONでは、学業優秀でありながら経済的な理由により学費の支弁が困難な大学生に川尻育英奨学金を給付し、支援している。
また、世界をつなぐアートプロジェクト「DANDELION PROJECT」のサポートや「tHE GALLERY HARAJUKU」の設立など、アート&カルチャーの新潮流を作るアーティストの支援を行う新世代ギャラリストとしても活動している。
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