外国税額控除と聞いても、それまで一度も利用したことのない人にとっては、あまりピンとこないかもしれない。しかしビジネスシーンに身を置く人であれば、いつ何時外国税額控除の知識が求められてもおかしくない。また、個人的に海外企業の株式を取引したい、外国の不動産を購入してそれを活用して所得を得たいと考えている人にとっても、外国税額控除の理解は必須だ。外国税額控除の制度概要とその仕組みについてしっかり確認しよう。

外国税額控除に関わるQ&A

外国税額控除,二重課税,防止
(画像=PIXTA)
Q


外国税額控除って何ですか?

海外で得た課税所得については、その国の税制に従って税金が課せられる。例えばアメリカで得た所得であれば、現地の税制に従ってアメリカで課税されるわけだ。しかし、外国で課税された個人・会社が日本に住んでいる、または立地している場合は、日本でも課税される。そうなると税金を二重に納めてしまう恐れがあるため、それを防ぐために導入された制度だ。

海外で得た課税所得については、その国の税制に従って税金が課せられる。例えばアメリカで得た所得であれば、現地の税制に従ってアメリカで課税されるわけだ。しかし、外国で課税された個人・会社が日本に住んでいる、または立地している場合は、日本でも課税される。そうなると税金を二重に納めてしまう恐れがあるため、それを防ぐために導入された制度だ。


Q


外国税額控除の対象は?

基本的には、日本に居住している人で外国での取引で所得を得た人、もしくは海外にて所得を得ている日本企業などである。最近は個人がインターネットを使って国境を越えて取引を行うことも容易となっており、日本企業の取引相手もグローバル化しつつある。外国税額控除に関する知識は、現代のビジネスパーソンにとって必須といえるだろう。

基本的には、日本に居住している人で外国での取引で所得を得た人、もしくは海外にて所得を得ている日本企業などである。最近は個人がインターネットを使って国境を越えて取引を行うことも容易となっており、日本企業の取引相手もグローバル化しつつある。外国税額控除に関する知識は、現代のビジネスパーソンにとって必須といえるだろう。


Q


外国税額控除の申請方法は?

外国税額控除の申請は確定申告時に行う。その際、「外国税控除に関する明細書」を別途作成する必要がある。また、外国所得税が課税されたことを証明する書類や、外国所得税の名前や金額、税金の納付日、税金を納めた国・自治体の名前など、外国税額控除に該当することを証明する書類なども必要だ。

外国税額控除の申請は確定申告時に行う。その際、「外国税控除に関する明細書」を別途作成する必要がある。また、外国所得税が課税されたことを証明する書類や、外国所得税の名前や金額、税金の納付日、税金を納めた国・自治体の名前など、外国税額控除に該当することを証明する書類なども必要だ。

外国税額控除ってどんな制度? 

外国税額控除の定義と制度導入の目的、対象となる人・企業について詳しく解説する。

外国税額控除とは?

日本と外国での二重課税を調整するために、外国で納めた税金を所定の範囲で日本の課税額から控除する制度である。

日本に住んでいる人、あるいは日本企業が得た所得については、国内取引で得たものはもちろんのこと、国外の法人などとの取引で得たものについても所得税・法人税が課せられる。しかし、外国税額控除の制度を活用することで、海外で納付した税金を所得税額から控除することができる。正確に言うと、確定申告を行うことで、余計に納付した税金を還付してもらえるのだ。

二重課税の典型例が、株式の配当金に対する源泉徴収である。海外で株式を取得して配当を得た場合、その国における税率に従って源泉徴収される。一方そこで得た所得に対しては、日本においても源泉徴収されるのである。

外国税額控除の仕組みを使えば、こうした過剰な課税を避けることができる。なお、外国税額控除を活用できるのは、日本と租税条約を締結している国のみである。

外国税額控除という制度の目的は?

二重課税のような事態が生じるのは、日本が「居住地国課税」という制度を用いているからである。居住地国課税とは、居住している場所が日本であれば、所得が発生した場所が国内だろうと国外だろうと同様の所得と判断され、同じように所得税が課せられるという仕組みだ。

二重課税は、この居住地国課税の制度を用いている国の個人や法人が、「源泉地国課税」の国で所得を得た場合に発生する。源泉地国課税とは所得が生じた場所で課税を行うという制度で、この制度を採用している国では、たとえ外国人であっても自国で所得を発生させれば、自国の税制に則って課税を行う。この場合、居住地国課税を課せられる個人・法人は、海外で所得を得ると必ず二重課税に直面する。

つまり外国税額控除の制度は、日本が居住地国課税の仕組みを採用しているがゆえに、源泉地国課税の国で所得を得た人に生じる二重課税を解消するために設けられている仕組みである。

外国税額控除の対象となるのはどんな人?

外国税額控除を受けることができるのは、日本に住んでいる個人または法人である。海外在住の人及び企業は受けることはできない。

また、外国税額控除はすでに述べたとおり二重課税による弊害をなくすことを目的とした税制である。そのため、すでに海外で源泉徴収などにより納税を済ませてしまっている個人または法人が適用対象となる。海外ですでに税を納付しており、日本でさらに課税することで不当な負担増にならないために、外国税額控除は適用されるのである。

では、具体的にどのような人・法人が外国税額控除を受けているのか。

まずは、日本在住で、海外の株・海外の上場投資信託・投資信託により配当を受けた人または法人である。その配当所得に対して現地で課税された場合、日本でも所得税が課せられると二重課税となるため、外国税額控除の適用を受けることができる。

また、日本在住で、海外にて不動産所得もしくは不動産取引によって利益を得た人または法人も対象である。この場合も、海外で不動産を売って得た収入に対して海外で課税されれば、日本でも所得税が課税されると二重課税となる。

さらに、日本に籍を置く法人が、外国で取引などにより所得を得てそれに課税された場合も日本で課税されれば二重課税となるため外国税額控除の対象となる。

外国税額控除の対象となる税金とは?

どのような税を海外で払うと控除対象となるのか、控除に限度額があるのか、について解説しよう。また、開発途上国など優遇税制を受けられる国で課税されたときに適用される「みなし外国税額控除」についても説明する。

法人税、所得税が対象

外国税額控除制度の対象となるのは、外国所得税・外国法人税である。より正確に言うと、海外の現地での法律に基づいて、現地の自治体によって個人または法人の所得を課税対象として課される税である。

ただし、外国の自治体によって課される税金であっても、外国所得税として含まれないものもある。例えば、「税金の納付者が納付後にその全部または一部の還付を請求できる税金」、「税の納付を猶予できる期間を任意に決めることができる税金」、「外国所得税に付帯して課される付帯税」などである。

ほかにも、通常行われている取引とは認められない取引によって生じた所得についても、外国税額控除の対象とはならない。実は、こうした例外として規定されている項目はかなり多く、外国所得税・外国法人税だからといって、無条件で外国税額控除が認められるわけではない。

控除には限度額もある

外国税額控除には限度額が設定されているため、海外で納付した税金がすべて還付されるわけではない。外国税額控除の限度額は次の計算式で算出される。

(内国法人の場合)
外国税額控除限度額=当期における全世界所得を対象とした法人税額×(当期における国外所得÷当期における全世界所得)

ここで言う全世界所得とは、日本と海外で得た所得総額のことを指す。なお、海外で得た所得がその事業年度における全世界所得(母国+海外で得た総所得)の90%を超える場合、全世界所得の90%までが国外所得金額とみなされる。あくまで9割までが限度である。

もし外国税額控除が限度額を上回っている場合は、翌年から3年間の繰り越しが認められている。また、限度額を下回っている場合は、「控除余裕額」として認められ、翌年から3年間で限度額を上回った場合に使用できる。

税制面で優遇措置を設けている国の場合に生じる問題

開発途上国の中には、自国に海外企業を誘致して経済発展を図るため、税制優遇措置をとっているケースが多い。そのような国では、現地で徴収される法人税額等は他国に比べるとかなり安く、進出する企業にとってメリットは大きい。

ところが、先述したとおり日本が採用しているのは居住地国課税だ。日本を母国とする企業である限り、海外で得た所得に対しても日本の税率で課税される。もちろんこの場合、現地で課税されている分については、外国税額控除が認められるが、そこで控除されるのは現地の安い税額分だけだ。この経緯をわかりやすくするために、以下に計算例を示してみよう。

計算を行う上での前提として、仮に「日本」での法人税率を50%、「途上国X」の法人税率が優遇措置をとっているので30%、日本とは別の「先進国Y」の法人税率を優遇措置がとられていないので50%とする。そして日本企業の「Z社」は、日本では販売活動をしていないとしよう。

このとき、Z社が途上国Xに進出し、課税対象となる利益を10億円得たとしたら、納める税金は3億円である。一方、先進国Yに進出して課税対象となる利益を10億円得たとしたら、納める税金は5億円となる。

しかし、居住地国課税を採用している日本では、海外で得た利益すべてに対して法人税50%が課せられる。そのため、Z社は途上国X、先進国Yのどちらに進出しても、10億円の利益を得ている限りは日本で50%の法人税、5億円が徴収されるのだ。

このとき、これまで説明してきた二重課税を防ぐための外国税額控除の制度を使えば、海外で課税された分について税額は控除される。控除額は途上国Xだと3億円、先進国Yだと5億円だ。

そうなると、問題が起こる。Z社の税負担は、途上国Xで10億の利益を上げた場合だと「3億円(現地の課税)+5億円(日本での課税)-3億円(外国税額控除)」となり5億円である。一方、先進国Yで10億の利益を上げた場合だと「5億円(現地の課税)+5億円(日本での課税)-5億円(外国税額控除)」となり同じく5億円。つまり、Z社の税負担額は途上国Xも先進国Yも同じなのだ。

税負担が同じであれば、Z社は途上国Xに進出することで得られる税制面の優位はない。途上国Xは税制優遇措置を採用しているが、このままでは日本の税制のせいで無意味になってしまう。

途上国の優遇措置を生かすための「みなし外国税額控除」

途上国の税制優遇措置を無駄にしないために導入されているのが「みなし外国税額控除」の制度である。これは租税条約によって締結されているもので、みなし外国税額控除が認められていると、「途上国の優遇措置によって減免された税金を、納付したものとみなす」ことが可能となる。

つまり、例えば本来の法人税は50%だが優遇措置によって30%となっている場合、「50%であるとみなす」という形で外国税額控除を適用する、というわけだ。

先の計算例で言えば、途上国Xについても、外国税額控除として3億円ではなく「5億円」が認められるというわけだ。計算するとおわかりのとおり、先進国Yよりも途上国Xの方が「2億円」分だけ税額がお得になる。本来の優遇措置の政策効果が、きちんと現れるわけだ。