「源泉徴収票」は、年末が近づくとよく耳にする言葉の一つだが、普段あまり見慣れない用語が多く使われているため、「よくわからないから、金額だけ何となく確認している」という人も多いのではないだろうか。この記事では、源泉徴収票の見るべき4つのポイントを中心に、概要や必要になるタイミングについても詳しく紹介する。
源泉徴収票に関するQ&A
源泉徴収票とは何か?
源泉徴収票とは、1年の間に勤務先から支給された給料と賞与の総額、および納付した所得税額が記載されている紙のことを指す。
課税対象となる所得額が記載されているため、内容を確かめることで、自分の年間の収入額と照らし合わせながら、なぜその金額が所得税として徴収されるのかも把握できる。重要な情報が多く記載されているため、交付を受けたら必ず保管しておこう。
源泉徴収票とは、1年の間に勤務先から支給された給料と賞与の総額、および納付した所得税額が記載されている紙のことを指す。
課税対象となる所得額が記載されているため、内容を確かめることで、自分の年間の収入額と照らし合わせながら、なぜその金額が所得税として徴収されるのかも把握できる。重要な情報が多く記載されているため、交付を受けたら必ず保管しておこう。
源泉徴収票はいつ必要になる?
源泉徴収票は確定申告のとき、再就職のとき、住宅ローンを組むとき、扶養親族になるときなどに必要となる。人生の節目の出来事で必要となるため、記載されている内容を正確に読み取れるようになっておくと、後々助かるだろう。
源泉徴収票は確定申告のとき、再就職のとき、住宅ローンを組むとき、扶養親族になるときなどに必要となる。人生の節目の出来事で必要となるため、記載されている内容を正確に読み取れるようになっておくと、後々助かるだろう。
源泉徴収票では何を見るべきなのか?
源泉徴収票で見るべきポイントは、支払金額(収入)、給与所得控除後の金額、所得控除後の額の合計額、源泉徴収税額の4つで、特に重要なのは支払金額(収入)だ。会社員の場合、仕事内容に関係なく年収の額によって所得税や住民税が決まってくるので、その額をしっかりと確認する必要がある。
源泉徴収票で見るべきポイントは、支払金額(収入)、給与所得控除後の金額、所得控除後の額の合計額、源泉徴収税額の4つで、特に重要なのは支払金額(収入)だ。会社員の場合、仕事内容に関係なく年収の額によって所得税や住民税が決まってくるので、その額をしっかりと確認する必要がある。
源泉徴収票とは?
源泉徴収票には「勤め先である会社から1年間にどのくらい給料をもらって、いくらの税金が徴収されたのか」が書かれている。
そもそも源泉徴収とは、給料を従業員に支給する会社側が給与からあらかじめ所得税等の税金を差し引いて、その税金を国に納付するという制度のことである。源泉徴収票は、給与額や税額などを記載した書類であり、会社側によって発行される。
●源泉徴収票が発行される理由とは?
源泉徴収票の発行は所得税法第226条第1項において規定されており、給与などを支払う者が発行することが義務付けられている。そのため、もし会社側が源泉徴収票を発行しない場合、税務署によって罰せられることになる。法律により規定されている以上、企業としては源泉徴収票を毎年必ず発行しなければならない。
源泉徴収票は原則として会社側が2通作成し、1通を管轄の税務署に交付し、もう1通を納税者である従業員に交付する。本来、所得税の納税義務は従業員個人にあるので、各人が個別に毎年納税すべきものではある。
しかし、税制は複雑で、税金の計算・納付をすべて個人に任せると、時間がかかるだけでなく、計算ミスにより納税漏れなどが発生する恐れもある。効率的に税を徴収するという点で、個人に任せるのは非合理的といえるのだ。
そのため、会社側が給与を従業員各人に支払う前に税金を天引きし、会社が納税を代行する仕組みがとられている。しかし、こうした税金の天引きは従業員と相談しながら行うわけではなく、会社の経理が税制に則って行うことになる。
そのため従業員側からすれば、内容を確認する機会も必要になる。いわば源泉徴収票は、なぜその額が税として天引きされたのかを、会社側が従業員に説明するために発行する書類でもあるのだ。
●源泉徴収票がもらえるのはいつ?
源泉徴収票は通常、12月中の年末調整が行われた後で従業員に配布されるのが、一般的である。年末調整とは、従業員の給料から天引きした所得税額等と本来納付すべき1年間の所得税とを比較し、税金の過不足を調整することだ。いわば源泉徴収票とは、年末調整の結果を記した紙であるともいえる。
そのため正社員もアルバイトも年末の時期に配布されるのが通例であり、制度上では翌年の1月31日までに源泉徴収票を税務署に提出する必要があるため、それまでに配布される。
会社を退職するときは、年末を待つまでもなく税額の調整が必要となる。その場合、最後の給与額が確定したときに、源泉徴収票も作成できる。通常、源泉徴収票は退職後1カ月以内に本人宅に郵送される。もし届かない場合は、会社側で送付のし忘れなどミスが生じている可能性もあるため、会社側に請求する必要がある。
源泉徴収票で見るべき4つのポイント
源泉徴収は、見るべきポイントを押さえて読み取れば、必要な情報をきちんと得ることができる。以下では、源泉徴収票を見る際に目を通すべき項目を4つ紹介しよう。
●「支払金額」と「給与所得控除後の金額」
まず見るべきなのが、「支払金額」の項目だ。支払金額の欄には、1年の間にその従業員に支払われた支払金額の総額が記載されている。従業員側から見れば、年収が記載されているわけだ。その金額には基本給に加えて、ボーナスや残業代、各種手当がすべて含まれている。
ただし、支払金額に加算されているのはあくまで課税対象となるものだけである。例えば、交通費や出張時にもらう電車代・飛行機代などは、非課税扱いの手当であるため含まれない。
続いて目を通したいのが、通常支払金額の右側に記載されている「給与所得控除後の金額」である。「給与所得控除」とはいわゆる経費にあたるものである。所得税あるいは住民税などの税は、所得額に応じて税率が決定する。そのため、給与所得控除を多く受けて課税所得が低くなれば、それだけ納める税金の額も少なくなる。
自営業者であれば事業の中で発生した経費を計上できるが、会社員の場合は経費がない。そのため、会社員については支払金額(年収)に応じた給与所得控除の額が国税庁によって定められている。
●「所得控除の額の合計額」と「源泉徴収税額」
3つ目は、給与所得控除後の金額の右側にある「所得控除の額の合計額」だ。ここには、給与所得以外の所得控除の額が記載されている。例えば、社会保険料控除や扶養控除、生命保険料控除などが該当する。会社側に申請を行った控除額が多いほど、所得控除される額は大きくなる。
4つ目が「源泉徴収税額」だ。ここにはその年に納付する所得税の金額が記載されている。年収から給与所得控除とそれ以外の各種所得控除を差し引いて計算される課税所得に、所定の税率を掛けて算出される金額である。
なお、2020年4月1日時点における所得税の速算表は次のとおりである。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円から194万9,000円まで | 5% | 0円 |
195万円から329万9,000円まで | 10% | 9万7,500円 |
330万円から694万9,000円まで | 20% | 42万7,500円 |
695万円から899万9,000円まで | 23% | 63万6,000円 |
900万円から1799万9,000円まで | 33% | 153万6,000円 |
1800万円から3999万9,000円まで | 40% | 279万6,000円 |
4000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
源泉徴収票は転職と確定申告のときに必要
以下のような特定の条件に該当する会社員は、源泉徴収票が必要となる。交付されたときは必要ないと思っていても、思わぬシーンで必要になる場合もあるため、受け取った源泉徴収票は大切に保管しておこう。
●転職時に必要になるのはなぜ?
通常、転職して働き始めるのは、採用試験に合格した直後となる。その場合、勤務開始日が5月からや9月からなど、人によってさまざまであるが、年末調整はその人の1年間における総収入で行う必要があるため、転職先の会社に前の会社でもらった源泉徴収票を提出しなければならない。つまり、転職先の会社は、その人が前の会社で受け取っていた収入も含めて年末調整を行うのである。
緊急の退職などで前の職場から源泉徴収票を受け取っていない場合は、気づいた時点で交付してもらうよう連絡する必要がある。もし源泉徴収票を受け取れず、そのまま年末調整を受けることができなくなった場合は、後日自分で確定申告を行わなければならない。自分で確定申告を行う際にも源泉徴収票は必要なため、前職から交付を受けられない場合は、税務署に相談しよう。
●確定申告時にも必要になる
通常、会社員は年末調整のみで済むので確定申告をする必要はない。しかし、「2カ所以上の勤務先で働いている人」や「住宅を購入して住宅ローン控除を受ける必要のある人」、「副業などにより給与所得以外の収入のある人」、「年収2,000万円以上の人」などは、別途確定申告が必要となるので注意が必要だ。
●そのほかのケース
転職や確定申告のとき以外にも、住宅ローンの審査を受けるときやアパート・マンションなどを借りるときの入居審査にも、源泉徴収票は必要となる。提出書類に年収額を記載したとしても、それが本当なのかどうかは本人の申告だけでは証明できないからである。源泉徴収票はその人の収入状況を客観的に証明する役割を果たしているのである。
さらに、誰かの扶養親族に入る場合(条件となる給与収入の上限があるため)も、提示を求められる。扶養控除を受けられる扶養親族となるには、年間の合計所得が48万円以下(2019年より以前の分については38万円以下)、所得が給与のみの場合は、給与収入が103万円以下であることが必要である。その際、扶養親族に入る人の収入状況を証明する書類として源泉徴収票は用いられるのだ。
扶養親族に入ることを希望する本人が、自分で計算して「おそらく給与収入は103万円以下だろう」と思っていても、源泉徴収票にそれ以上の金額が記載されていれば扶養親族とは認められない。
このように、源泉徴収票は自分の収入を証明する役割も果たすため、日常生活の多様な場面で必要となる場合がある。勤め先から交付された後も、「内容を確認したからもう必要ない」などと思わず、大切に保管しておこう。