専従者控除とは、事業主と生計を一としている配偶者や親族が事業に従事する場合に、条件を満たしていればその給料の一部を経費にできる制度だ。節税効果を得ることもできるため、ぜひ理解しておきたい。この記事では、専従者控除を受けるための条件や、計算の方法などについて解説する。

専従者控除に関わるQ&A

専従者控除
(画像=PIXTA)
Q


専従者控除とは何か?

専従者控除とは、事業を行っている者と生計が同じである配偶者・親族(=専従者)がその事業主の下で働いている場合に、条件をクリアすることでその配偶者・親族への給与の一部を経費にできるという制度だ。経費として計上できれば節税効果を得られる。

専従者控除とは、事業を行っている者と生計が同じである配偶者・親族(=専従者)がその事業主の下で働いている場合に、条件をクリアすることでその配偶者・親族への給与の一部を経費にできるという制度だ。経費として計上できれば節税効果を得られる。


Q


専従者控除を受けるには?

確定申告の際に提出する書類に、専従者控除を受けたい旨とその金額を記入するだけでよい。申請は簡単なので、配偶者や親族がともに働いている場合はぜひ受けるべきだ。

確定申告の際に提出する書類に、専従者控除を受けたい旨とその金額を記入するだけでよい。申請は簡単なので、配偶者や親族がともに働いている場合はぜひ受けるべきだ。


Q


専従者控除の計算方法は?

専従者控除の基本的な計算式は、「事業所としての所得」を「専従者の人数+1」で割るというものである。しかし条件として、配偶者の場合は86万円、配偶者以外の場合は1人あたり50万円という上限が定められており、際限なく経費として扱えるわけではない。配偶者以外の親族については1人あたりの上限額が50万円となるので、複数人が働いている場合は人数分を掛ければよい。

専従者控除の基本的な計算式は、「事業所としての所得」を「専従者の人数+1」で割るというものである。しかし条件として、配偶者の場合は86万円、配偶者以外の場合は1人あたり50万円という上限が定められており、際限なく経費として扱えるわけではない。配偶者以外の親族については1人あたりの上限額が50万円となるので、複数人が働いている場合は人数分を掛ければよい。

専従者控除はどんな控除?

事業主と生計を一としている配偶者や親族が事業に従事することは、決して珍しいことではない。例えば、息子や娘が、学校の夏休み・冬休み中だけアルバイトがてら親の仕事を手伝う、ということはよくある光景だ。

その場合、無償でのお手伝いなどではなく、正式な形で給与を払う場合もあるだろう。その際、事業に従事している配偶者あるいは親族の給料は、そのままでは経費に算入できない。しかし、専従者控除という形で申請を行うことで給与額の一部を経費にでき、その分節税効果を得ることが可能だ。

●白色申告者を対象とする専従者控除

税制上、一般の従業員に対して支払う給与は経費として計上できるものの、配偶者・親族に対する給与は原則として経費とは認められない。これは当然ともいえ、もしそれが経費として計上できれば、配偶者・親族の間で計画的な租税回避行為をすることができ、不当な節税を認めることになるからだ。

しかし、事業主の下できちんと働いている配偶者・親族がいる場合は、そのことに配慮した制度設計が必要となる。そこで設けられたのが、専従者控除という制度である。この制度で規定されている条件を満たすことにより、配偶者・親族に支払われた給与額の一部を経費として計上することが認められる。

なお、専従者控除は確定申告を白色申告で行った者を対象とするもので、青色申告者に対しては専従者給与という制度が設けられている。「白色申告者」が行うのが「専従者控除」であることをまず押さえておこう。

●青色申告の場合は専従者給与

青色申告者の場合、「専従者給与」という制度を適用できる。専従者給与とは、事業主の下で働く配偶者・親族の給与額を一定の範囲内ですべて経費にできる制度だ。ただし、専従者給与として認められるには、白色申告者と同様、所定の条件を満たしていることが必要である。

専従者控除を受けるための条件

専従者控除は、給与を支払った相手が配偶者・親族であれば無条件で認められるというわけではない。専従者控除の対象となるのは、制度上定義づけられている「事業専従者」のみである。

●白色申告者の事業に従事する事業専従者がいること

専従者控除を受けるには、事業主の下で働き、給与をもらう者が「事業専従者」でなければならない。事業専従者となる条件は主に3つある。

①白色申告者の配偶者または親族であり、生計を一にしていること
②申告年の12月31日の時点で、15歳以上であること
③白色申告者が行う事業に、1年間のうちに6ヵ月を超えて従事していること

これらの条件を満たさない限り、親族が働いている場合でも事業専従者とは認められない。例えば、白色申告者の13歳になる中学1年生の子どもが、親の手伝いがてら仕事をして報酬をもらったとする。しかしその場合、上記②の条件を満たさないため事業専従者には該当しない。

また、「たまに仕事の手伝いをして、報酬をもらっている」という親族がいる場合も、③の条件を満たさない限りは事業専従者ではないので注意が必要だ。6ヵ月を超えて手伝いをして報酬を支払っている場合にのみ、専従者控除は認められる。

●確定申告書に記載

専従者控除を受けるには、特別な届け出を別途行う必要はない。確定申告の際に提出する書類の中に、専従者控除を受けたいとの意向と金額を記載するだけでよい。

白色申告者は確定申告時に「確定申告書B」と「収支内訳書」を提出する必要があるので、それぞれ専従者控除を受ける際の書き方を説明しておこう。

確定申告書Bは第一表と第二表とがある。第一表には「その他」の欄の中に「専従者給与(控除)額の合計額」という項目があるので、そこに控除額を記載する。第二表は「専業専従者に関する事項」という欄に、「事業専従者の氏名」、「個人番号」、「続柄」、「生年月日」、「従事月数・程度・仕事の内容」、「専従者給与(控除)額」を記入する箇所があるので、それぞれ記入しよう。

第二表のほうが記載項目は多く、第一表でも記入する「専従者給与(控除)額」の欄もあるので、まずは第二表から先に記入するとよい。

一方、収支内訳書には、専従者控除に関する記載箇所は2箇所ある。一つは、専従者控除額を書く箇所、もう一つは事業専従者の「氏名」、「続柄」、「従事月数」、「延べ従事月数」を書く箇所だ。

事業を行っている個人事業主・フリーランスの人は、毎年行う確定申告時にちょっとした記載事項を増やすだけで専従者控除を受けることができる。専従者控除はいわば個人事業主・フリーランスの優遇措置であり、節税効果を最大限に得るためにも、配偶者・親族が働いている場合は制度を活用すべきだ。

専従者控除の計算

専従者控除の計算はシンプルで、電卓があれば簡単に金額を把握できるだろう。以下では、専従者控除額の計算方法と、具体的な計算例を紹介する。

●専従者控除の計算方法

専従者控除は以下のうち、どちらか低いほうの金額で算出される。

①「専従者控除を行う前の事業所得等の金額」÷「事業専従者の人数+1」
②配偶者の場合は86万円、配偶者以外の親族の場合は1人あたり50万円

①の「事業所得等」には、本来の事業で得られる所得に加えて、不動産所得なども含まれる。分母は事業専従者の総数に1を加える必要がある。

②は専従者控除の上限額である。配偶者の場合は1年間で最大86万円、配偶者以外の場合は事業専従者1人あたり最大50万円までが控除対象額である。親族については1人あたりの上限が50万円なので、複数人の親族が勤務している場合は、人数分を掛けた額が事業所としての専従者控除の上限額となる。

①の計算式で算出される専従者控除額がこれらの上限額を超える金額となる場合は、上限額のほうが控除額となる。

●年間収入500万円、経費350万円で、配偶者が専従者の場合の計算方法

では、具体的に金額を当てはめて専従者控除を計算してみよう。ここでは事例として、年間収入500万円、経費350万円の事業を行い、専従者は配偶者という状況を想定してみる。

専従者控除を計算するにあたって、まずは事業所得を計算する必要がある。このケースでは事業所得は、以下のように求められる。

500万円-350万円=150万円

これが専従者控除前の事業所得である。

では、先述の①で示した計算式に当てはめて計算してみよう。

①150万円÷(1+1)=75万円

計算の結果75万円と計算される。この数字は、②で示されている配偶者の専従者控除額の上限である86万円よりも少ない値である。そのためこの場合、専従者控除額は「75万円」となる。

課税対象となる最終的な事業所得は、以下のように計算され、「75万円」となる。

150万円-75万円=75万円

●年間収入700万円、経費200万円で、配偶者が専従者の場合の計算方法

同様に次のケースも計算してみよう。収入が700万円で経費が200万円、事業専従者が配偶者1人のケースである。この場合、事業所得は500万円となり、①の計算式で専従者控除額を計算すると、500万円÷(1+1)=250万円となる。

この場合だと、②で提示されている配偶者の専従者控除額の上限である86万円を越えているため、②の「86万円」が専従者控除額となる。課税対象となる事業所得は、500万円-86万円=414万円である。

●年間収入600万円、経費480万円で、親族1人が専従者の場合の計算方法

最後に、専従者が親族である場合を想定してみよう。収入が600万円、経費が480万円、事業専従者が親族1人の場合、事業所得は120万円である。①の計算式に当てはめて専従者控除額を計算すると、120万円÷(1+1)=60万円となる。

この60万円という金額は親族1人あたりの上限額である50万円よりも高いので、専従者控除として認められるのは50万円である。

●専従者控除を計算する上で注意すべきポイント

上限額は配偶者の場合は86万円、その他の親族は50万円であるので、確定申告書類に記入する際は気を付ける必要がある。例えば、年配の男性が事業主である事業所に、男性の妻と親族が働いているとしよう。

働き手としては親族のほうがずっと成果を出していて、報酬額も高くなっているとしても、専従者控除は親族の場合だと50万円が上限で、配偶者である妻の場合は86万円である。これは事業主の判断で変えることはできない。

また、先ほど紹介した①の計算式で算出される値と②の上限額とを比較して、「低い」ほうの金額が該当することにも注意が必要だ。確定申告書類に、誤って高いほうを書かないように気を付けなければならない。