この記事は2025年11月21日にSBI証券で公開された「NISA活用も~好決算・高配当利回り期待10銘柄」を一部編集し、転載したものです。
目次
- NISA活用も~好決算・高配当利回り期待10銘柄
- 一部掲載銘柄を解説!
- クレハ(4023)~2026・2027年はDOE5%を目安
- メイテックグループホールディングス(9744)~総還元性向100%以内、DOEは防波堤的位置付けに
- 飯田グループホールディングス(3291)~累進配当+万博出展記念配当金
- 丸井グループ(8252)~フィンテックが利益の8割、DOE10%へ
- 西松建設(1820)~DOE5%を維持
- 日本M&Aセンターホールディングス(2127)~配当性向60%以上が基本方針
- 平和不動産(8803)~配当性向50%が目安
- 日本精工(6471)~配当性向30~50%、DOE2.5%が目安
- パーソルホールディングス(2181)~配当性向50%が目安
- H.U.グループホールディングス(4544)~DOE6%が目安
NISA活用も~好決算・高配当利回り期待10銘柄
乱高下続く東京株式市場
東京株式市場では、日経平均株価が10月31日(金)に史上最高値(終値ベース)の52,411円34銭を記録しました。しかし、11月に入り相場は下落基調に転換。史上最高値を付けた10月31日(金)から11月19日(水)までに日経平均株価の終値は7.4%下落しました。同期間、TOPIXの下落率は2.6%にとどまり、日経平均株価への寄与度が大きい半導体・AI関連銘柄の下落が目立ちました。
11月20日(木)には米AI半導体大手エヌビディアの好決算を受けて日経平均は大幅反発。しかし、米国市場でエヌビディア株が決算発表後に下落したことから、翌21日(金)の東京市場は再び売り先行となり、不安定な状況が続いています。
投資環境の落ち着きに期待
日本企業の業績は改善傾向が鮮明です。11月19日(水)に大手損保の決算発表をもって決算シーズンは終了。日経報道によると、上場企業の純利益は2025年4~6月期に前年同期比12%減でしたが、7~9月期は32%増と増益に転じました。同報道によると2026年3月期は前期比4%減の見込みですが、増益転換の可能性も指摘されています。
円安基調や高市政権の補正予算への期待もあり、東京市場は押し目買いの好機を探る展開となりそうです。
好決算・高配当銘柄に注目
決算発表が一巡し、業績予想修正の動きも落ち着きつつあります。今回の「日本株投資戦略」では、好業績・高配当利回り銘柄を抽出すべく、以下の条件でスクリーニングを実施しました。
・東証プライム市場上場
・時価総額1,000億円以上
・3月決算銘柄
・アナリスト3名以上が予想
・2025年7~9月期純利益が市場予想超過かつ前年同期比10%超増益または黒字転換
・通期会社予想純利益が決算後に下方修正なし
・市場予想純利益が10月17日→11月18日に現状維持または上方修正
・26年3月期・27年3月期ともに純増益予想
・明確な配当政策(配当性向、DOE、累進配当など)
・信用規制・注意喚起銘柄を除外
掲載銘柄はいずれも予想配当利回りが東証プライム市場の平均(11/20時点・2.45%)を大きく上回り、高配当銘柄といえます。図表は上記のすべての条件を満たした銘柄を市場予想配当利回りの高い順から10銘柄並べたものです。
※配当性向・・・DPS(1株当たり配当金)/EPS(1株利益)で計算されます。
※DOE(株主資本配当率)・・・DPS(1株当たり配当金)/BPS(1株純資産)で計算されます。
※累進配当・・・1株配当金を毎期、前期比で増配または現状維持を継続する配当政策です。
一部掲載銘柄を解説!
クレハ(4023)~2026・2027年はDOE5%を目安
主力は「NEWクレラップ」で知られる樹脂製品事業で、2025年3月期の調整前営業利益の約7割を占めます。機能製品、医薬品・農薬などの化学製品事業も展開。今期の業績は概ね計画線で推移しており、通期会社計画は売上収益1,650億円(前期比1%増)、当期利益100億円(同28%増)です。
配当方針は2025年5月にDOE(株主資本配当率)導入を発表し、2026年3月期および2027年3月期はDOE5%を目安にしています。参考値として、2025年3月期末BPSは4,209円で、その5%は210円。会社計画の年間配当は219円(上期・期末各109円50銭)、市場予想は217円80銭です。
メイテックグループホールディングス(9744)~総還元性向100%以内、DOEは防波堤的位置付けに
中核はエンジニアリングソリューション事業。正社員エンジニア(2025年9月末12,393名)を約4,000社に派遣し、成果報酬を得るモデルです。主要取引先はデンソー、三菱重工、ソニーセミコンダクタなどです。
2026年3月期は採用難で売上高は下方修正も、採用経費減で諸利益は上方修正されました。純利益は139億円(前期比9%増)の見込みです。株主還元はPBRが3倍を下回らない限り配当が基本。今期予想EPS180円、年間配当181円で総配分性向100%超の計算です。DOE5%(前期末BPS631円の5%は31円)は「最後の防波堤」と位置付けられます。
飯田グループホールディングス(3291)~累進配当+万博出展記念配当金
戸建分譲が売上の83%(2025年3月期)を占めています。2026年3月期は土地原価上昇も販売価格増で営業利益以下が上方修正されました。当期利益は580億円(前期比14%増)見込み。配当は累進方針で年間90円以上を継続する方針です。今期1株配当金は万博出展記念配当金10円を加え、年間100円(上期45円、期末55円)を計画しています。株主優待は「江の島アイランドスパ」利用券などです。
丸井グループ(8252)~フィンテックが利益の8割、DOE10%へ
営業利益(2025年3月期)の約8割は「エポスカード」等のフィンテック事業です。会員790万人を擁し、カード取扱高4兆5,305億円にのぼります(2025年3月期)。2026年3月期は増収増益で純利益280億円(前期比5%増)が会社計画。DOE目標を8%→10%に引き上げ、累進配当を継続。自己株式取得も積極的で、最大200億円(1,000万株)の買い付け枠を設定済みです。
西松建設(1820)~DOE5%を維持
土木・建築を主力に不動産開発も展開。伊藤忠商事(8001)との資本業務提携で案件連携を強化しています。2026年3月期は売上高4,000億円(前期比9%増)、純利益176億円(同0.3%増)が会社計画です。DOE5%を目安に、予想配当220円(前期末BPS4,361円の5%は218円)で基本方針通りの予定です。
日本M&Aセンターホールディングス(2127)~配当性向60%以上が基本方針
M&A仲介専業。2026年3月期上半期は売上高225億円(前年同期比21%増)、純利益54億円(同44%増)。通期純利益は110億円を見込みます。市場予想では2026年3月期、2027年3月期ともに増益基調です。今期会社計画の年間1株配当金は前年同様29円(特別配6円含む・配当性向83.6%)となっています。「配当性向60%以上を維持」とする基本政策を上回る見込みです。
平和不動産(8803)~配当性向50%が目安
東京、大阪、名古屋、福岡等の証券取引所ビルのオーナーとして1947年に設立しました。2014年以降は東京兜町・茅場町の再開発に注力し、また札幌においても再開発事業を推進しています。2026年3月期上半期は物件売却増加やホテル収益伸長、賃料増額改定等で増収増益。通期は売上高16%増、純利益1%増を見込みます。配当性向50%を目安にしています。
日本精工(6471)~配当性向30~50%、DOE2.5%が目安
ベアリング大手で精密機械部品の製造・販売を行う企業です。自動車部品や産業機械向けの製品を提供し、世界中で事業を展開しています。
11/4に上期決算発表と同時に通期業績見通しを上方修正。売上高7,600億円→8,850億円(前期比11%増)、純利益70億円→160億円(同50%増)が修正後会社計画です。自動車生産の上振れ、中国補助金政策による需要増に加え、持分法適用会社の完全子会社化(負ののれん発生益計上)等が寄与しました。
安定的な配当を基本方針とし、配当性向は30%~50%、DOE下限2.5%を目標としています。なお会社計画によると2026年3月期は、1株当たり年間34円と、前期と同額が実施される予定です。前期末BPS1,332円の2.5%が33円で、これに近い予想1株配当金です。
パーソルホールディングス(2181)~配当性向50%が目安
1973年に六本木に設立された「テンプスタッフ」がルーツの会社です。総合人材サービス企業として、国内の事務領域を中心とした人材派遣事業、東南アジア等での人材サービス事業、広範囲な業務を対象とするアウトソーシング受託事業、技術者派遣、人材紹介等を展開しています。
上半期は人手不足を背景に企業の積極的な採用活動が追い風で増収増益でした。通期も売上収益6%増、純利益14%増を見込みます。配当性向50%が目安です。今期予想EPSは18.37円で会社計画では1株11円(配当性向59.9%)の予定です。
H.U.グループホールディングス(4544)~DOE6%が目安
臨床検査薬大手です。臨床検査の「検査・関連サービス事業」、検査で使用する「臨床検査薬事業」、「ヘルスケア関連サービス事業」(感染対策、滅菌消毒コンサル他)が3本柱です。上半期は「検査・関連サービス事業」でサービスレベル・販売価格の適正化により赤字が縮小したこと、「ヘルスケア関連サービス事業」で滅菌・手術関連が増加したことが追い風となり増収増益でした。通期では売上高3%増、純利益153%増が会社計画です。
配当政策としてDOE6%を目安に掲げています。2022年3月期以降は1株配当金125円が維持されており、今期も同額の予定です。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。





