この記事は2025年12月12日にSBI証券で公開された「12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄」を一部編集し、転載したものです。

12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄
(画像=SBI証券)

目次

  1. 12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄
    1. ■東京市場は「主役探し」の展開か
    2. ■好決算・高配当銘柄に注目
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. ■DIC(4631)~印刷インキや有機顔料で世界トップクラス。2025年12月期は特別配当含め5%超の配当利回りを予想
    2. ■KHネオケム(4189)~独自技術で人々の生活に不可欠な素材を提供。配当性向40%が基本方針
    3. ■日本たばこ産業(2914)~多くの国で上位シェア。配当性向は75%が目安
    4. ■ビジョン(9416)~モバイルWiFiルーターをレンタル。株主優待も実施

12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄

■東京市場は「主役探し」の展開か

東京株式市場は、総じてもみ合い商状となっております。足元の日経平均株価は、前向きに捉えれば「5万円での値固め」、後ろ向きに捉えれば「上値の重い展開」と見受けられます。TOPIXは一時3,400ポイントを超え、過去最高値圏で推移しておりますが、3,400ポイント台では利益確定売りが増える傾向が見られます。

注目されていた米FOMC(米連邦公開市場委員会)は、米国時間12月10日(水)に政策金利を0.25%引き下げることを発表しました。市場予想通りの結果であり、むしろややハト派的と受け止められ、米国株式市場は引き続き高値更新をうかがう展開となっております。ただし、市場の主役は徐々に変化しつつあるように見受けられます。東京株式市場も「主役探し」の様相を呈しており、銘柄によって強弱が分かれる状況が指数の上昇を抑える一因となっていると考えられます。

■好決算・高配当銘柄に注目

今回の「日本株投資戦略」では、高配当利回り銘柄をご紹介いたします。分析対象は、間もなく権利付最終日が来る12月決算銘柄にいたしました。業績面にも一定の配慮を行い、以下の条件(データは12月10日時点)で選定しております。

選定条件は以下の通りです。

・東証プライム市場に上場
・時価総額500億円以上
・12月決算銘柄
・2025年12月期の会社予想年間1株配当金を基準とした配当利回りが3.4%以上
・2025年1~9月期純利益が前年同期比10%以上の増益、または黒字転換
・2025年1~9月期営業利益が前年同期比で増益、または黒字転換
・2025年12月期(通期)の会社予想純利益が前期比で増益、または黒字転換
・信用規制・注意喚起銘柄を除外

掲載銘柄はいずれも、予想配当利回りが東証プライム市場の平均(12月10日時点・2.38%)を大きく上回っております。また、平均配当利回りは4.15%に達しており、「高配当利回り銘柄」と表現することは妥当であると「日本株投資戦略」では考えております。図表は、上記すべての条件を満たした銘柄を予想配当利回りの高い順に並べたものです。

12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄 12月決算・5%超銘柄も! 高配当利回り・好業績11銘柄
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

■DIC(4631)~印刷インキや有機顔料で世界トップクラス。2025年12月期は特別配当含め5%超の配当利回りを予想

祖業である印刷インキから、その基礎素材である有機顔料・合成樹脂他へと事業を拡大させてきたグローバル企業(2024年12月期・海外売上高比率71%)です。主力事業は「パッケージ&グラフィック」で、売上高の51%、営業利益の62%(同)を占めています。パッケージ用インキや接着剤、包装材料の他、ジェットインキ等に展開しています。「カラー&ディスプレイ」は売上高の23%(営業損益は3億円赤字)を占め、ディスプレイ用顔料、化粧品用顔料の他、自動車塗料用顔料等を製造販売しています。「ファンクショナルプロダクツ」は売上高の26%、営業利益の39%(同)を占め、デジタル分野、自動車、住宅向け等に機能性材料を提供しています。

2025年12月期第3四半期累計(2025年1月~9月)売上高は7,858億円(前年同月比2.7%減)、営業利益404億円(同18.9%増)でした。「カラー&ディスプレイ」事業で、関税コストに伴う追加料金徴収や価格改定を背景に、営業利益が改善したことが全社の営業増益に貢献しました。2025年12月期(通期)では売上高1兆600億円(前期比1%減)、営業利益500億円(同12.3%増)が会社計画です。会社資料では「計画通りの進捗」と説明されています。

2024年12月期~2026年12月期に、事業ポートフォリオ変革、構造改革、運転資本改善、資産圧縮等を行い、キャッシュを創出し、それを最適配分することで株主還元を充実させる方針です。その一環として保有美術品384点を100点程度に圧縮し、本年中に100億円程度のキャッシュインを目指します。

2024年12月期より年間1株配当金を最低100円(中間50円・期末50円)とする配当方針を導入しました。しかし2025年12月期は中間50円に対し、期末は150円(前期と同額の50円+増配20円+特別配当80円)を計画し、年間予想1株配当金は200円となります。2026年12月期は年間120円(中間60円・期末60円)が基本的な配当方針となりそうです。

■KHネオケム(4189)~独自技術で人々の生活に不可欠な素材を提供。配当性向40%が基本方針

協和発酵工業(現在の協和キリン)の化学品製造子会社をルーツとする会社です。一酸化炭素と水素他を反応させてアルデヒドを合成する「オキソ反応」をコア技術とし、有機合成・精製技術、品質管理技術を組み合わせ、独自技術を確立し、人々の生活に欠かせない多くの素材を提供しています。

主力事業は「機能性材料」で、売上高の47%、営業利益の71%(2024年12月期)を占めています。冷凍機器のコンプレッサー(圧縮機)に使われる潤滑油(冷凍機油)原料、水性塗料や接着剤、化粧品等に耐水性・耐摩耗性、密着性を付加する原料、スキンケア等化粧品の原料等を製造販売しています。その他「電子材料」では、液晶ディスプレイや半導体製造プロセスで使う溶剤(フォトレジスト等の原料)を、「基礎化学品」では、溶剤や可塑(かそ)剤(材料に柔軟性や加工性を付与)、樹脂原料等を提供しています。冷凍機油やフォトレジスト原料等は世界でトップクラスのシェアを有しています。

2025年12月期第3四半期累計(2025年1月~9月)は売上高865億円(前年同期比0.2%減)、営業利益85億円(同16.2%増)でした。主力の「機能性材料」は、設備増強をテコに冷凍機油原料の売上高が伸びたこと、高品質な化粧品原料が伸長したこと等を背景に増益となりました。2025年12月期(通期)は売上高1,274億円(前期比6.4%増)、営業利益140億円(同14.8%増)が会社計画です。

配当政策としては、配当性向40%目途、DOE4.0%以上を掲げています。2025年12月期は中間52.5円に対し、期末52.5円、年間105円が会社計画の年間1株配当金になっています。

■日本たばこ産業(2914)~多くの国で上位シェア。配当性向は75%が目安

たばこ(24.12期売上収益構成比92%)を中心に、医薬(同3%)、加工食品(同5%)にも展開しています。調整後営業利益のほとんどがたばこからもたらされています。130以上の国と地域で製品を販売するグローバル企業です。たばこの総販売数量は年間5,529億本で、中国煙草総公司、フィリップ・モリス・インターナショナルに次ぎ世界第3位グループです。日本では41.2%、台湾で51.0%、フィリピンで49.7%、英国で43.1%、ロシアで37.4%のシェアを有しています。(2024年12月期)売上収益の地域別構成比(24.12期)はアジア29%、西欧25%、EMA(アフリカ、中近東、ロシア含む東欧、トルコ、南北アメリカ他)46%です。

2025年12月期第3四半期累計(2025年1月~9月)は売上収益2兆6,340億円(前年同期比13.2%増)、営業利益7,629億円(同20.8%増)と増収増益でした。たばこ事業がセグメント全地域で増収増益となったこと、米紙巻きたばこ大手Vector Group Ltd.の買収効果等がありました。2025年12月期(通期)は売上収益3兆4,560億円(前期比13.1%増)、営業利益8,450億円が会社予想です。

配当政策としては、配当性向75%を目安(±5%の枠内で判断)としています。25年12月期の会社計画1株配当金は中間104円・期末104円の当初計画でしたが、第3四半期決算発表時に期末104円→130円、年間で1株234円に修正されました。

■ビジョン(9416)~モバイルWiFiルーターをレンタル。株主優待も実施

グローバルWiFi事業が売上高の55.9%、営業利益の76.8%(2024年12月期・消去前)を占める主力事業です。インバウンド・アウトバウンドの双方に対応し、モバイルWiFiルーターのレンタルを行っています。また、携帯・固定電話の加入取次やOA機器販売等を行う情報通信サービス事業が売上高の40.8%、営業利益の21.7%(同)を占めています。その他、自然の中でホテル並みの快適設備等を提供するグランピングツーリズム事業も行っています。

2025年12月期第3四半期累計(2025年1月~9月)の売上高は289億円(前年同期比10.7%増)、営業利益47.4億円(同10.0%増)でした。訪日外国人が増えたことに加え、日本人出国者数も改善傾向にあり、主力のグローバルWiFi事業が増収増益となりました。2025年12月期の会社計画は売上高400億円(前期比12.6%増)、営業利益64.3億円(同20.0%増)となっています。

2025年12月期の予想1株配当金は中間20円、期末30円(上場10周年の記念配当5円を含む)、年間50円となっています。

12月末付(権利付最終日は12/26)株主に対し、保有株式数に応じて、当社サービスである国内外でモバイルインターネット通信が可能なWi-Fiルーターレンタルサービス「グローバルWiFi」、グランピング施設&温泉旅館「VISION GLAMPING Resort &Spa」の宿泊、およびスキンケアシリーズ「KO SHI KA | こしか」の3点セットに関するご利用券(割引券)を贈呈します。

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数