「医療費控除は住民税も減額される?」と考えている人もいるだろう。10万円を超える医療費について所得控除が適用される医療費控除は、住民税も減額される。たとえ所得税が0円でも、発生している住民税が減額されることがあるため、医療費控除はぜひ提出してほしい。この記事では、医療費控除の対象や計算・提出方法について詳しく解説する。

医療費控除の住民税に関するQ&A

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(画像=PIXTA)
Q


医療費控除って何?

医療費控除とは、10万円以上の医療費について所得控除するものだ。サラリーマンでも原則として確定申告で申告する。ただし、税額から直接控除される住宅ローン控除などとは異なり、医療費控除は税額計算前の所得金額からの控除となる。したがって、税額控除より節税効果は低くなる。

医療費控除とは、10万円以上の医療費について所得控除するものだ。サラリーマンでも原則として確定申告で申告する。ただし、税額から直接控除される住宅ローン控除などとは異なり、医療費控除は税額計算前の所得金額からの控除となる。したがって、税額控除より節税効果は低くなる。


Q


医療費控除で住民税も安くなる?

医療費控除を申告することにより、所得税だけではなく住民税も安くなる。住民税の税率は10%なので、申告した医療費控除額の10%の金額が、翌年の住民税から差し引かれる。過去の医療費でも、5年以内のものならば医療費控除が申告できる。

医療費控除を申告することにより、所得税だけではなく住民税も安くなる。住民税の税率は10%なので、申告した医療費控除額の10%の金額が、翌年の住民税から差し引かれる。過去の医療費でも、5年以内のものならば医療費控除が申告できる。

Q


所得税が0円でも住民税の医療費控除はしたほうがよい?

所得税が0円でも住民税の医療費控除はしたほうがよい。なぜなら、所得税と住民税とは所得控除や税額控除の計算方法が異なるからだ。所得控除や税額控除で所得税が0円になっても、住民税が発生するケースがある。

所得税が0円でも住民税の医療費控除はしたほうがよい。なぜなら、所得税と住民税とは所得控除や税額控除の計算方法が異なるからだ。所得控除や税額控除で所得税が0円になっても、住民税が発生するケースがある。

医療費控除とは?

医療費控除とは、1月1日~12月31日の1年間で支払った医療費の一部分を所得控除するものである。

「一部分」とは、原則として「支払額10万円以上の部分」となる。ただし、課税所得額が200万円未満の場合は、課税所得額の5%以上の部分だ。また、医療保険などにより医療費の補填を受けている場合は、医療保険などから給付された保険金も控除額から差し引かなければならない。

注意が必要なのは、医療費控除が「所得控除」であるということだ。

控除には「税額控除」と「所得控除」の2種類がある。住宅ローン控除などの税額控除は、控除額が税額から直接差し引かれる。

一方、医療費控除などの所得控除は、控除額ではなく、税額を計算する前の所得額から差し引かれる。したがって、実際に減税される金額は、控除額に税率をかけたものになる。税率が10%なら、減税額は控除額の1/10だ。

減税額を計算し「こんなに少ないの?」と感じる人もいることだろう。その理由は「医療費控除は所得控除だから」だ。

医療費控除は住民税も安くなる? いつから?

医療費控除は所得税だけでなく、住民税も安くなる。医療費控除の申告は、サラリーマンでも年末調整では行えず、原則として確定申告をする必要がある。確定申告をすると所得税と住民税の両方が、医療費控除の適用により安くなる。住民税の税率は10%なので、医療費控除によって安くなる住民税の減税額は、申告した医療費控除の10%だ。

なお、住民税の医療費控除による減税額は、翌年の住民税に反映される。例えば、3月15日までに確定申告で医療費控除を申告すると、5月~6月に送付される住民税通知書の税額が医療費控除の分だけ安くなっている。6月~翌年5月まで、その安くなった住民税を支払っていくことになる。

過去の医療費は?

過去の医療費についても、5年以内のものは医療費控除を申告可能だ。1月1日~12月31日までに支払った医療費の医療費控除を受けるためには、翌年1月1日から5年以内に申告することになっているからだ。

前述のとおり、住民税の医療費控除は原則として現金で還付されるのではなく、翌年の住民税に反映される。ただし、過去の年度の医療費控除を申告した場合は、控除されるべき年度の住民税をすでに支払ってしまっているため、払いすぎた分の過去の住民税が現金で還付される。

所得税が0円でも住民税の医療費控除をしたほうがよい理由

「所得税が0円になったのだから、住民税ではもう医療費控除は申告しなくてよい?」と思われるかもしれないが、所得税が0円の場合でも住民税の医療費控除はしたほうがよい。なぜなら、所得税と住民税では税額の計算方法が異なるからだ。

所得税が0円になるには、以下の2つの理由がある。

・所得控除により所得が相殺された
・住宅ローン控除などの税額控除により税額が相殺された

所得控除も税額控除も、以下のとおり所得税と住民税では計算方法が大きく違うのだ。

【所得控除の違い】

主な所得控除について所得税と住民税を比較すると下表のとおりとなる(いずれも2020年度時点、住民税は東京都のもの)。

 控除の種類  所得税控除額  住民税控除額
 基礎控除(2,400万円以下)  48万円  33万円
 配偶者控除(900万円以下、一般)  38万円  33万円
 扶養控除(一般)  38万円  33万円
 勤労学生控除  27万円  26万円
 寡婦(寡夫)控除  27万円  26万円
 障害者控除  27万円  26万円
 地震保険料控除  最高5万円  最高2万5,000円

上の表のとおり、同じ名前がついた控除でも、所得税と住民税では住民税のほうが額が低い。したがって、所得控除を積み重ねて所得税が0円になった場合でも、住民税は0円とはならず税金が発生するケースがあるのである。

【税額控除の違い】

税額控除についても、所得税と住民税とでは異なる。住宅ローン控除を例にその違いを見てみよう。

住宅ローン控除は、原則として所得税に適用されるものである。ただし、所得税では控除しきれなかった金額がある場合のみ、住民税からも控除される。しかも、住民税からの控除額には上限が設けられている。

すなわち、住宅ローン控除を利用して所得税が0円になっても、住民税が発生している可能性は高いのだ。

このように、所得控除についても税額控除についても、所得税と住民税では控除額や仕組みが異なり、控除によってはたとえ所得税が0円になっていたとしても、住民税は発生しているケースがある。したがって、住民税の医療費控除は所得税の額によらず、申告したほうがよいのである。

医療費控除の対象は?

医療費控除の対象となる医療費の種類を見てみよう。

・病院または歯科医院での治療費(健康診断費、医師への謝礼は含まれない)
・治療のための医薬品の購入費(病気予防や健康増進のためのサプリメントなどは含まれない)
・入院の部屋代や食事代
・マッサージ院、鍼灸院、整体院などでの施術費用(疲労回復や体調改善のためのマッサージなどは含まれない)
・保健師や看護師などの世話の費用
・助産院での分娩費用
・病院への通院費や医師の送迎費(原則として電車やバスなどの公共交通機関のみ。電車やバスが利用できないときはタクシーも可。自家用車のガソリン代や駐車場台は含まれない)
・コルセットや義手・義足・松葉杖・補聴器・義足・メガネなどの購入費
・6ヵ月以上寝たきりの場合のおむつ費用

医療費控除の計算方法

医療費控除の計算方法の流れ、およびセルフメディケーション税制について見てみよう。

●医療費控除を計算する流れ

1. 必要書類を準備する

医療費控除の計算にあたっては、必要書類の準備が必要だ。必要書類は以下のとおりだ。

・確定申告書(国税庁のホームページからダウンロード可能。様式AとBとがあり、サラリーマンが医療費控除や住宅ローン控除だけを申告する場合は、様式Aを使用する)
・医療費控除の明細書(国税庁のホームページからダウンロード可能)
・医療費や交通費の領収書

2. 年間の医療費総額を計算する

医療費や交通費の領収書から、1月1日~12月31日までの医療費の合計を計算する。

3. 医療費控除額を求める

支払った医療費の総額から、以下のものを差し引いて医療費控除額を計算する。

・10万円(または総所得金額が200万円以下の場合は総所得金額の5%の額)
・医療保険から給付された保険金などの金額

4. 住民税の減税額を計算する

医療費控除額を計算したら、その金額に住民税の税率10%をかけたものが、医療費控除による住民税の減税額となる。

5. 確定申告書と医療費控除の明細書を作成す

最後に計算結果に基づき、確定申告書と医療費控除の明細書を作成する。

●セルフメディケーション税制とは?

2017年から新たに「セルフメディケーション税制」がスタートした。セルフメディケーション税制とは、医療費控除が健康診断や病気の予防、健康増進などの費用を対象としないことから、健康の維持や増進、病気の予防についての取り組みに対し、所得控除されるものだ。

対象となる費用は以下のとおりだ。

・特定健康診断、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診
・医療用から転用された医薬品(スイッチOTC医薬品)の購入費用

購入費用について、1万2,000円を超える部分の金額が所得控除の対象となる(最大8万8,000円)。ただし、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合は、医療費控除の適用は受けられない。どちらの適用を受けるかは、その年に支払った医療費や医薬品代などの金額を比較して決めよう。

医療費控除の提出方法

医療費控除の提出方法を、確定申告をする場合および住民税のみ申告する場合で見てみよう。

●確定申告をする場合

医療費控除を確定申告する場合には、以下の提出方法がある。

・所轄の税務署へ持参する(窓口時間外でも税務署玄関前にある時間外収受箱への投函で提出できる)
・所轄の税務署へ郵送する
・e-Taxで提出する

提出期間は、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間だ。

●住民税のみ医療費控除を申請する場合

住民税のみ医療費控除を受けるためには、市区町村役場の窓口へ住民税申告書と医療費控除の明細書を提出する。提出期限は確定申告の場合と同様、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年間である。