確定拠出年金,定期預金,投資信託,比較
講演する高山さん(写真=ZUU online編集部)

老後のために毎月決まった額を積み立てる「確定拠出年金(DC)」。近年、老後の資産形成に適した方法として加入者は増えている一方、勤務先の企業から言われてなんとなく実行している人、知識は持っていてもまだ手をつけていないという人は少なくない。

2016年3月12日、東京都内でセミナー「プチリッチな老後生活を送るための 貯め方&増やし方」(主催:Money&You)が開かれ、FPの高山一恵さん(CFP、Money&You取締役)と前野彩さん(CFP、Cras代表取締役、FPオフィスwill)が講演した。

「プチリッチな老後生活を送るための『年利20%の最強マネー術』」と題して講演した高山さんは、効率よくお金を増やせる「最強マネー術」として確定拠出年金(DC)を紹介。DCのメリットや実際に運用すると30年後どれくらいの効果があるのかについて解説した。定期預金や投資信託の積立と比較すると、思いの外大きな差が出ることが分かった。

確定拠出年金3つのメリット

高山さんが挙げる、DCのメリットは3つ。

①毎月の掛け金が全額所得控除になる
②運用益が非課税
③年金を受取るときも非課税

①については、そもそも所得税は年収500万であれば、まるまる500万円に対してかかるわけではない。年収から所得控除、生命保険控除などいろんな控除の金額を引いた、いわゆる「課税所得」に対して所得税がかかってくる。

年収から引ける所得控除が増えれば増えるほど、支払うべき税金が安くなるのである。確定拠出年金の場合、毎月の掛け金がまるまる所得控除になるので、税金が非常に低く抑えられるという。

このほか、②や③についても、金額のインパクトは①ほどではないにしろ、定期預金をしたり、投資信託を積み立てた場合に比べるとお得になることは明らかである。

どれくらい税金の軽減効果があるのか?

3つのメリットのうち、最もインパクトが大きいのが①である。実際にどれくらいのインパクトがあるのだろう。月々2万3000円を拠出していた場合、減らせる税金の額は下記のようになっている。

課税所得150万の場合…4万1400円(利回り換算:15%)
課税所得300万の場合…5万5200円(同:20%)
課税所得600万の場合…8万2800円(同:30%)

いずれも1年間の節税額である。加入するだけでこれだけの節税メリットがあるのなら、まさに加入しなければ損、というわけである。

ちなみにDCには企業型、個人型の2種類があり、サラリーマンであれば企業が導入していれば企業型、導入していなければ個人型に加入することができる。毎月の積立額は企業型であれば最大で5万1000円、個人型なら最大2万3000円となっており、上限まで利用した方が節税効果は高いだろう。

毎月2万円を30年間積み立てた場合の比較

DCの節税効果は年月がたつほどに大きくなる。

たとえば毎月2万円を30年間積み立て続けるとどうなるか。高山さんの試算では、①定期預金(金利0.02%)した場合が722万円、投資信託を使って利回り3%で運用した場合が1051万円だったのに対し、確定拠出年金を使って投資信託を利回り3%で運用した場合は1309万円になった。

定期預金とDCの差額は588万円。同様の利回りで投資信託を運用した場合でも、DCとそうでない場合とで258万円の差が出る計算だ。所得税の節税効果が30年積み上がった結果であり、運用中の売却益が非課税となる効果でもある。

※詳細については高山さんと頼藤太希さんの共著『 金融機関が教えたがらない 年利20%の最強マネー術 』参照。

効率よくお金を増やす4つのコツ

確定拠出年金,定期預金,投資信託,比較
(写真=ZUU online編集部)

高山さんによると、「効率よくお金を増やす4つのコツ」は下記の通り。

①長期投資
②積立投資
③低コスト
④分散投資

高山さんは「長期投資と聞くと、日本だけを見ていると人口を減少して経済が減退する気がするかもしれないが、基本的に長期投資というときには世界全体に投資することが大切。世界の人口は右肩上がりにドンドン増えている。利息が利息を生む『複利効果』も長期になるほど増す」と力説する。

長期投資、積立投資、低コスト、分散投資のどの視点から見ても、DCがいかに効率よくお金を増やせるか、が伝わってくる。

かつては浪費家だった

今でこそお金の大切さを多くの人に伝える仕事をしている高山さんだが、かつては稼いだら稼いだ分だけ使ってしまう浪費家だった。友人の勧めでFP資格を取得して以来、幅広く投資を実行し、成果が出るようになったという。

高山さんは「お金の知識はやるかやらないか、知ってるか知らないか、ただそれだけ。知れば誰でもできるので、とにかく実行してほしい」と呼びかける。

どうせやるなら「なんとなく」ではなく、自分で知った上で運用したい。自信を持って将来に備えておきたいものである。(ZUU online 編集部)

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