英大手不動産コンサルタント、ナイトフランクが発表した「ウェルス・レポート」によれば、アジア圏における資産3000万ドル以上(約30億6000万)以上の超富裕層(UHNWI=UltraHighNetWorthIndividuals)が飛躍的に増加したとのことだ。

特にシンガポールとドバイがニューヨーク、ロンドン、香港などに代わる「次なる超富裕層都市」として期待されていることなどが報告されている。

超富裕層とは?

同じ調査レポートでは、世界の富裕層は大きく5つにカテゴライズされている。ミリオネア(資産額100万ドル/約1億200万円以上、1ドル102円換算)、マルチミリオネア(1000万ドル/約10億2000万円以上)、超富裕層(3000万ドル/約30億6000万以上)、センタミリオネア(1億ドル以上/約102億円以上)、ビリオネア(10億ドル/約1020億円以上)と、総資産額に応じてピラミッド状に区切られている。

UHNWIと称される超富裕層はこの大富豪ピラミッドの中間に位置する。今年の報告では過去8年以来初めて3%減り、世界中で18万7000人となっている。

日本の富裕層は安定して増加中

まずは気になる日本の富裕層の状況から見てみよう。2015年のミリオネア数は126万人。2005年と比較すると22万7200人増えており、今後10年間で158万7600人に伸びると予想されている。マルチミリオネアは2万900人、超富裕層は6448人、センタミリオネアは663人、ビリオネアは28人だ。

いずれの層も過去2005年から増加傾向にあり、今後も増え続けることが期待されている。超富裕層の増加は過去10年間で1032人(前年比125人増)、2025年にはさらに1676人増えると見込まれている。

調査の対象となったアジア19カ国中、原油安などの影響から中国を含む12カ国で超富裕層が2014年から2015年にかけて減少したーーという事実を考慮すると、一見非常に安定しているといえるだろう。

「最も重要な超富裕層都市」成長国はシンガポールとドバイ

それでは都市単位で見た場合はどうだろう?日本で最も超富裕層の多い都市、東京は世界ランキングでも5位に入っているほどの「国際超富裕層都市」だ。

しかし今後10年間の成長見込みは26%と、同じく国際ランキング入りしている北京(74%)やソウル(56%)といったほかのアジア国に大きく差をつけられている。

勢いが期待されているのはシンガポールやドバイだ。同レポート内の「最も重要な超富裕層都市ランキング」でも、シンガポールは香港を、ドバイは上海を追い越し3位と5位にランクインされている。

シンガポールは過去10年間で超富裕層が約2倍に増加。昨年は若干の減少が見られたものの、現在の2360人から48%増加が見込まれている。ドバイも現在までの2倍の増加に加え、現在の939人からさらに2倍の伸びをみせるといわれている。

経済危機寸前のモスクワと北京で超富裕層が驚異的に伸びる

すでに国際超富裕層として上位にランクインしている、モスクワと北京の驚異的な伸びにも注目だ。ルーブルの暴落で経済的な混乱が市民にも広がっているロシア。原油価格の崩壊に最も影響を受けている国のひとつとされている。経済成長率が?3.83%、インフレ率が+15.79%という経済状況にも関わらず、大富豪ピラミッドの中間に属する超富裕層は今後も急増すると予測されている。

ダイレン・ワンダ(大連万達)グループの王健林氏が住居をかまえていることでも有名な北京は、中国きっての大富豪都市だ。低迷する経済や株価の暴落をものともしない「正真正銘の超富裕層都市」ということなのだろう。

富裕層が多い世界の都市トップ10

最も富裕層が多い世界の10都市と、超富裕層の2015年から2025年までの増加予想を見てみよう。

10位 サンパウロ 1677人(34%)
9位 ソウル 1740人(56%)
8位 チューリッヒ 1745人(11%)
7位 シカゴ 2030人(30%)
6位 東京 2035人(26%)
5位 台北 2062人(47%)
4位 北京 2073人(72%)
3位 モスクワ 3457人(73%)
2位 ロンドン 4905人(31%)
1位 ニューヨーク 5600人(29%)

(ZUUonline編集部)